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「アンヒンジド(原題)」 警笛が原因のサイコ男追跡の恐怖

名画を見る8月という事にしていましたが、久しぶりに映画館に行ってみたくなって、見に行きました。まぁ、やっている映画を見るという事になりますので、言わば箸休めです。ラッセル・クロウが出演のスリラー映画で、監督はデリック・ボルテ2020年の映画で、現在各国で順次公開中です。
原題:Unhinged (2020)

あらすじ ネタバレ注意
雨の夜、男(ラッセル・クロウ)は指輪を投げ捨てると、斧とガソリンを持って住居に侵入。家人を惨殺し、火を放って立ち去りました。

レイチェル・ハンター(カレン・ピストリアス)は、元夫のアンディ(ジミ・シンプソン)の支援を受けながら、15歳の息子のカイル(ガブリエル・ベイトマン)と一緒に暮らしていました。その日も、レイチェルはカイルを学校まで車で送っていく途中、渋滞やかかってくる電話によってストレスがつのっていきます。何度も道を選び直して焦るレイチェルは、信号で前に停まっていたピックアップが青になっても動かないことから、強く警笛を鳴らして追い抜いてしまいました。ところが、その車が追い付いてきて、運転手(ラッセル・クロウ)は執拗に謝罪を要求してきます。レイチェルは何とかその車を振り切り、カイルを学校まで送ります。

途中で、ガソリンスタンドに立ち寄ったレイチェルは、会計中に男の車に追いつかれ、再び逃走しますが、男は通行人を巻き込みながら追跡。レイチェルは車内に置いてあった携帯電話を盗まれてしまったことに気づきます。男は携帯の情報をもとにアンディの待つレストランに向かうと、レイチェルと連絡を取ったうえ、アンディを殺害。これにより警察も出動しました。さらに、レイチェルと同居していたフレッドを脅すと、そこに警察が踏み込んできたため、フレッドに火を放って逃走しました。レイチェルはカイルに危害が及ぶのを心配し、カイルを学校から連れ戻すと、車にあった携帯端末が電話と同期していることに気づき、位置情報を確かめました。

ハイウエイで事故を引き起こしながらのカーチェイスとなり、警官を含む多くの人々を傷つけた後、端末の電源が切れたため、お互いの位置が判らなくなりました。レイチェルは母の家に隠れ、男を罠に掛けようとし、男はレイチェルの車を見つけて家の中に侵入します。そして、二人は相対することとなり…。



Unhinged(2020)

昨今、あおり運転が問題になり、運転中に切れる行動が話題になっていますが、この映画はその行動を、大きく拡大した映画になっています。その男の性格は前夜の一家惨殺事件によって凶悪であることが示され、その上で話が展開していきました。事故や殺害シーンも、ホラー並みの残酷さが全編を覆っていきました。また、社会的背景として、交通渋滞の映像が何度も示され、現代人のストレスの大きさを表現していきます。単純なワンシチュエーションの物語ですが、スピルバーグの「激突!」を思い起こさせる、インパクトを遺す映画になっています。

被害者のレイチェル側の問題点も指摘されていました。警笛の件はテーマになっていますが、それ以外に渋滞を避けるために路側帯を通行したり、あおるような急発進をしたりと、全く問題が無い訳ではありません。そういったことも一方では戒める映像でもあります。また、ラッセル・クロウの巨漢ぶりが目立ちますが、これに対し、被害者側に比較的スリムな俳優を配置し驚異の大きさを示すという印象付けもされていると思いました。

という訳で、上映時間90分のインパクトのあるスリラー。ヒロインのカレン・ピストリアスは見るのは初めてかなと思いましたが、「光をくれた人」で、成長した娘の役で出ていました。あまり印象は無かったです。やはり、この映画はラッセル・クロウの非情な怪演ぶりが目立ちます。決していい後味を遺すものではないのですが、緊張と恐怖の90分を味わうことのできる映画で、ストレスや感情に流されず、交通マナーを守って余裕を持った運転をしなければならないことを再認識させます。それが、Good Choice!なのです。

2020.8.9 HCNC CGV Cinemas Vincom Dong Khoi にて鑑賞 (Gold Seat)

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「シマロン(1931)」 オクラホマ開拓40年とヤンシーの生涯

名作を見る8月その8。第4回アカデミー作品賞を獲得したシマロン。同時に脚色賞・美術監督賞と3部門の受賞に輝きました。1931年の映画で、監督はウェズリー・ラッグルズ。RKOの製作です。
原題:Cimarron (1931)

あらすじ
1889年。オクラホマでは、競争によって土地の分割占有権を得ることができる日がやってきました。数千の車馬が一斉にスタート。ヤンシー・クラバット(リチャード・ディックス)は、その競争に臨みましたが、ディクシー・リー(エステル・テイラー)に欺かれ、狙った土地を逃してしまいます。故郷のウィチタに戻ると、家族の反対を押し切り、妻セイプラ(アイリーン・ダン)と小さな息子シマロンを連れて、オクラホマのオセージに移住。ヤンシーは新聞社を興すとともに、町の有名人となり牧師も代行。殺人容疑のかかる町のならず者一家も一掃してしまい、ヤンシーの新聞は町で確固たる地位を築いていきました。さらに、娘も誕生。町を襲った盗賊一家も撃滅します。しかし、元来放浪癖のあるヤンシーは、じっとしていられず、新たな土地占有競争の話を聞くと突然姿を消してしまいます。

1898年に突然帰って来たヤンシーは米西戦争の軍服を着ていました。新聞を発行し続け、町の政界でも有力者となっていた妻の対面を慮ることなく、過去の経歴の為、住民から謂われなく排斥されようとしているディキシー・リーの弁護に立ち、正義を訴え、無罪を勝ち取ります。1907年、オクラホマは合衆国の州となり、インディアンたちも居留地から出た石油のおかげで富を得ていき、白人と肩を並べるようになります。そのインディアンを搾取しようとする一部の政治家の陰謀を、妻の反対を押し切ってすっぱ抜くと、再び町から消えてしまいました。

1929年。セイブラは新聞の40周年にあたり、大反響を起こした20年前の記事を思い起こします。セイブラは、やがて下院議員に当選。婦人としての政界進出を果たし、そのパーティーの日、オクラホマ開拓者ヤンシー・クラバットの像の除幕式と油田の見学会が行われる予定でした。家族や過去から新聞とヤンシー一家を支えた来た人たちに、ワシントンからの来客も加わったパーティーが無事終わり、一行が見学に向かった頃、事故の一報が飛び込んできます。それは、大爆発を起こす寸前に、油田創業以来働いていた、ヤンシーじいさんが、身をもって犠牲となり、多数の人を救って重傷となっているとのこと。セイブラはそれを聞くと、ながらく消息が無かった夫だと確信して現場に駆け付け、重傷で倒れていたヤンシーは、妻の腕の中で息を引き取ったのでした。



シマロン(1931)

オクラホマの40年の歴史を開拓者ヤンシーとその妻のドラマを中心に描いた作品でした。西部劇的な要素もありますが、それは前半まで。後半は町の発展にまつわるドラマとなっていきます。長い歴史を2時間に収めるスタイルで、こういった話は立ち上げの苦労の部分が見もの。そのエピソードは前半に集約され、西部劇風の展開。1907年になると一気に町が近代化しており、現代劇の様相となってくる構成です。そういえば、国盗り物語だって、前半の斉藤道三の下克上がとても面白かったことを思い出し、同じような感じかな…と思ったりしました。後半は、ポンポンと時代が飛んで、端折っていった感じです。

1931年の作品という事で、サイレント時代からトーキーに移行して数年のこと。30年代の後半以降のスタイルが確立した作品と比べてみると、粗削り間はありますが、ストーリーはけっこう楽しめました。発展する町の歴史と、その町の発展の原動力となった開拓者たち。40年たってみれば、ビジネスや政治に活躍するのは、次の世代に移っていき、その中でまだまだ前進するセイブラは中央政界へ。時代を支えた開拓者たちは今や年老いて静かに暮らしているという構図になりました。そんな中で、常にフロンティアスピリットの塊であったヤンシーは、富や権力には無縁で、一人地道な仕事に従事していました。セイブラの政界進出も、ヤンシーの公正かつ前向きな思想あってのことと思います。

オクラホマの油田と言えば、スーザン・ヘイワードが活躍する「タルサ」を思い起こしますが、これも女性が大活躍。実業の世界でも政治の世界でも、女性の進出が目覚ましかった時代の様です。映像も構成的にも、サイレントからの移行期という感じで、ちょっと古いかなという感じもあり、表現もサラッとなぞっている感は否めないのですが、40年の時の経過の中に、その時代時代を象徴するようないろいろな人物像や風俗を織り込み、歴史物語として面白さを出しているところや、冒頭の土地占有競争の迫力や、外連味の無いフロンティア・スピリットの表現など、ちょっと勉強になりました。

2020.8.8 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「午後の遺言状」 素晴らしい名女優さんたちに感謝を捧げたい

名作を見る8月その7.大女優杉村春子と、乙羽信子の共演。杉村春子にとっては、これが最後の映画出演となり、乙羽信子はこれが遺作となりました。夫、新藤兼人監督と共に、覚悟の上で撮影に臨んだと言われています。1995年の映画で、キネ旬ベストテン1位となりました。その他、日本アカデミー賞の最優秀作品賞、モスクワ国際映画祭でのロシア映画批評家賞など受賞は多数です。

あらすじ
大舞台女優・森本蓉子(杉村春子)は、今年も別荘にやって来ました。管理人・豊子(乙羽信子)とその娘・あけみ(瀬尾智美)の出迎えを受けると、庭の手入れをしていた、ろくべえの自殺を聞かされます。ろくべえが棺桶の釘を打つ石を残して死んだことから、蓉子は川原から石を持ち帰り、部屋に飾りました。翌日、別荘にかつての仲間だった牛国登美江(朝霧鏡子)と夫の藤八郎(観世栄夫)が訪れます。登美江は認知症を患いながらも、蓉子に会いたいと口にすることから、藤八郎が連れてきたのでした。蓉子がチェーホフの「かもめ」の一節を演ずると、登美江は自然に合わせてセリフを暗唱するのでした。。

ある日、脱獄囚(木場勝己)が別荘に押し入ってきますが、警官隊が駆け付けて取り押さえられます。蓉子たちは逮捕に協力したとして感謝状を贈られました。翌日、牛国夫妻は二人の故郷を訪れるとして旅立っていきます。二人だけになった時、豊子は蓉子に今度結婚することになった娘のあけみは、蓉子の亡き夫・三郎(津川雅彦)の子供だと告白します。豊子と激しい口論となった蓉子ですが、夫の子であれば自分の子でもあると思いなおし、豊子を許すと、地元に伝わる、婚約の儀式「足入れ」に参加しました。その翌日、記者の矢沢(倍賞美津子)が突然訪れ、牛国夫妻が心中したと知らせます。衝撃を受けた蓉子は豊子と共に、矢沢の案内で牛国夫妻の最期の足取りを辿っていきました。

牛国夫妻は持ち金の全てを持って、松本の高級旅館で過ごしたあと、故郷の村を眺め、最期は二人で手を取って海に入っていったのでした。蓉子と豊子は二人を忍び、海に向かって手を合わせました。蓉子は自分は死まで女優を全うすると思いなおし、豊子に来年の再会を誓うと、別荘を出発します。その時、自分が死んだらこれで棺桶の釘を打つようにと石を渡します。そして、蓉子が去った後、豊子は、預かった石を河原に戻すのでした。



午後の遺言状

この映画を見るときに、どうしても出演者や監督の背景が頭に浮かび、その目で見ていくことになりました。新藤兼人監督の愛妻で、新藤監督の前妻の生前からずっと寄り添ってきた乙羽信子。監督も彼女の最後の映画になると知りながら脚本を書き、制作に臨みました。杉村春子も当時89歳。これが最後の映画出演となり、二年後に最後まで女優を全うし、亡くなります。まさに、この映画の通りの大女優です。朝霧鏡子はこれが45年ぶりの芸能界復帰となり、この後数本の作品に出演後、4年後に亡くなりました。いろいろな思いの詰まった映画なのでした。

杉村春子も、乙羽信子も一瞬ですが、津川雅彦を巡って若い頃に扮した場面が見られます。このあたりに、老いてもなお美しい女優を感じます。杉村春子の張りのある声は健在で、演劇でずっと現役で通してきたことを感じます。対して朝霧鏡子も、認知症の老女を熱演。大きな存在感を出していました。ほぼこの3人と観世栄夫で構成された映画で、その他エピソードはありますが、影が薄いものとなっています。この映画を見ながら、杉村春子や乙羽信子のかつての名演技を思い描かずにはいられないという、結局そういう見方になってしまいました。

映像からは、死を意識しつつも、死が迎えに来るまで活動し続ける躍動感に溢れていると思います。ここでの乙羽信子は、ただただ女優の乙羽信子であり続けています。最後の諧謔的な音楽を聴きながら、人間として躍動し続けることの尊さを、改めて教えられたような気がしました。映画としてどうこうというよりも、作り演じる人の想いが溢れている映画でした。また、この3人の女優さんたちの古い映画を掘り出して見ていくと思います。そんな楽しみを残してくれた名女優さんたちに感謝する次第です。

2020.8.8 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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