FC2ブログ

「サンセット大通り」 迫真の演技で綴るハリウッドの歴史

月が替わって12月。コロナに揺れた1年もいよいよあと1ヶ月となりました。今月は、先月の延長になりますが、より広い範囲でアメリカの映画を楽しんでいきたいと思います。テーマはアメリカ国立フィルム登録簿の登録作品ということで、2019年まで775本の作品が登録されていますが、その中の作品から。まずは、初年度登録作品の一つの「サンセット大通り」で、各方面から絶賛される不朽の名作。ビリー・ワイルダー監督の1950年の映画で、オスカーでは脚本賞・音楽賞・美術監督賞を受賞、そのほか、作品賞など8部門にノミネートされていました。
原題:Sunset Blvd. (1950)

あらすじ
サンセット大通りのある邸宅で、一人の男の射殺体がプールに浮かんでいました。殺されたのは、B級映画の脚本を書く、しがない脚本家。事件の真相が本人のナレーションによって語られていきます。

借金の返済に追われていたジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)は、書き上げた脚本を映画会社に持ち込みますが、不採用。各方面への金の無心も実らず、道ですれ違った取立て屋に追われて逃げ込んだのは幽霊屋敷のような寂れた大邸宅でした。ジョーはそこで、執事のマックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)と二人で生活する、サイレント時代の大女優、ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン)と出会います。ジョーは銀幕への復帰を目指すノーマの願いで、彼女が書き上げたサロメの脚本の手直しを請け負い、その代わりに屋敷での生活を強制されました。ノーマは既に忘れ去られた存在でしたが、ノーマを崇めるマックスによって、今でも大スターであると思い込み、いつでも復帰できると考えていたのでした。

奇妙な共同生活を続ける中で、ノーマはジョーへの愛情を露骨に示すようになっていきます。ジョーが彼女から離れようとすると、ノーマが自殺未遂を起こしたため、ずるずると関係を続け、ジョーは彼女に囲われたセレブの生活を送るようになっていきました。ある日、撮影所からのノーマの所有するクラシックカーを貸してほしいという電話を、ノーマは自分への出演のオファーだと勘違いし、撮影所に向かうと、セシル・B・デミル監督を訪ね、美容に励むようになるなど、妄想は一段と進展します。一方、ジョーは親友アーティ・グリーン(ジャック・ウェッブ)の婚約者で、閲覧部のベティ・シェーファー(ナンシー・オルソン)と、密かにシナリオを共作するようになりました。毎夜屋敷を抜け出すジョーに、マックスは、自分がノーマをスターに育てた映画監督で最初の夫だと語り、決してノーマにベティとの関係を気づかれないようにと忠告します。

ベティとの関係はすぐにノーマの知るところとなり、ジョーはベティに現実を見せ、全てをうちあけて別れを告げると、ノーマに向かってすべての現実を突きつけ、荷物をまとめて屋敷を出ていこうとします。その時、ノーマはジョーを追い、自殺の為に用意していた拳銃を発砲して、ジョーを射殺。翌日、事件を報道するカメラマンや記者たちがノーマの屋敷に押し掛けることになりました。ノーマはその報道陣の持ち込んだ機材を、映画撮影のカメラだと思い込み、マックスがそのカメラの前に立って、監督を演じると、ノーマはサロメを演じる大女優となって、取り巻く報道陣の中を、カメラに向かってゆっくりと大階段を降りていくのでした。



サンセット大通り

まず、製作背景などはおいといて、この映画を見た素直な感想からです。グロリア・スワンソンの演じるノーマが凄い演技です。サイレント時代の演技をほうふつとさせる大げさな表情や、いでたち。力強い声。サイレントでは声は勿論聞こえませんが、その時代がかったセリフは、いかにもサイレント映画で話している様な雰囲気です。これは、圧倒されます。セリフの中で、トーキーになり、カラーになりという歴史を呪詛する言葉も聞かれますが、それは僅か20~30年の間の急速な進歩。完全に過去の遺物となってしまった人々の呪詛の言葉でした。そして、ラストのシュトロハイムが監督の位置に立って、ノーマにカメラを向ける場面は感動的でもありました。

さて、バックステージものだけに、製作背景などのゴシップも映画を見るには欠かせない要素。これは、Wiki情報などを参照しました。まず、グロリア・スワンソンに決まる前に、口説きに行ったのがグレタ・ガルボとの事。なんとなく、頷けるエピソードではあります。ただし、彼女の場合はサイレントだけではないですが…。そして、シュトロハイムとスワンソンが衝突して撮影中止となった、「クイーン・ケリー」をホームシアターでスワンソンが鑑賞する様子。映すのは、執事として仕えるシュトロハイムという構図。シュトロハイムは、この映画の監督・脚本・美術ですが、スワンソンは製作兼主演女優という立場でした。この関係がなかなか皮肉です。シュトロハイムはこの後1~2本で監督業を廃業してしまいました。

「クイーン・ケリー」と言う映画は、アメリカでは非公開でしたが、スワンソンによるエンディングが追加されて、ヨーロッパなどで公開されたとのこと。そして、Wikiにはサンセット大通りにこのクリップの使用を提案したのは、シュトロハイムだとあります。二十数年の年を経て、アメリカ初公開となった訳ですが、その間にシュトロハイムもスワンソンも、決してこの映画のような隠遁生活を送っていた訳ではないでしょうから、この映画はまさに当時ハリウッドで映画に従事していた人たちが結集してハリウッドの歴史を語ったということかもしれません。この年のオスカーは同じバックステージものの「イヴの総て」とガチンコ勝負でしたが、あちらは主演女優二人が共倒れになったので、スワンソンにも機会があったことでしょう。残念でした。

途中で蝋人形の一人として出てくるバスター・キートン。無表情でパスを二回です。いろいろ面白い映画です。

2020.11.29 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR