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「フラガール」 産炭地の風景からハワイアンセンターの町へ

名画を見る8月その11。2006年の映画で、キネ旬ベストテン第1位。日本アカデミー賞最優秀作品賞、アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作品、などなど、日本では数々のタイトルを獲得。大人気となった映画です。監督は李相日です。

あらすじ
昭和40年。エネルギー革命によって石炭需要は減少し、常磐炭田では従業員の大量解雇も止む無く、町は危機に陥っていました。炭鉱会社の責任者である吉本(岸部一徳)は、豊富な温泉資源を利用し、「常磐ハワイアンセンター」の設立を決意、ハワイアンダンサーの募集を始めます。紀美子(蒼井優)は、募集を見た親友の早苗(徳永えり)に付き合って、ダンサーに応募。説明会に出ましたが、田舎では刺激の強いダンスに皆引いてしまい、残されたのは4人。一方講師として呼ばれたまどか(松雪泰子)は、ここは自分の居場所ではないと、田舎をバカにした態度で接します。しかし、まどかが一人踊る姿を見た4人はダンスに魅了され、教えて欲しいとまどかに頼み込むのでした。

仕方なく紀美子達に教えるようになったまどかですが、その見下した態度を紀美子の兄(豊川悦司)に諫められながら、徐々に真剣に取り組むようになります。一方、紀美子がダンスを習っていることを知った母(富司純子)は激怒し、母に反発した紀美子は家出して、教室に住み込むようになりました。そんな中で、親友の早苗が夕張に引っ越すことになり、紀美子は残されてしまいます。ある日、早苗から届いた小包を紀美子に届けた母は、紀美子がダンスに取り組む姿を見て、娘の情熱を理解し始めました。

いよいよダンスのお披露目が始まり、徐々に興行の体を成していく中で、少しづつ好評を得ていきます。そんなある日、メンバーの小百合(山崎静代)の父が落盤事故に巻き込まれ、危篤となります。小百合は公演の為、父の死に目に会えず、チームは町の人々から糾弾され、まどかは自ら責任を取る形で、町を去ることになりました。しかし、紀美子が列車に乗り込んだ時、メンバーたちが駅を訪れ、まどかを引き留めます。そして、ついに常磐ハワイアンセンターが完成し、その初日の公演。反対派だった町の人も含めて大勢の観客の前で、紀美子達はダンスを披露。その中で、紀美子の母も見守り喝采を送るのでした。



フラガール

フラガールの歴史については、以前NHKのドキュメンタリー番組で見た事がありました。そんな創世のお話を、少女たちが力を合わせて作り上げるサクセスストーリーかなと思って見始めました。その手の映画は、その後もいろいろ作られていて、それなりに楽しく感動的なものです。ところが、そういった単純な先入観は見事に裏切られます。背景にある、炭鉱の斜陽や、炭鉱一筋に生きてきた人々との価値感の相違による偏見。社会の大勢を占める保守的な人々との確執。エネルギー革命という時代の流れの中で、変わっていかざるを得ない人々の心。そういったものが、明るいコメディの中で表現され、この映画を厚みのあるものにしていました。

推進したのは、岸部一徳であり、それには大変な苦労があったと思いますが、保守的な産炭地の人心の変化を決定づけたのは、フラガールたちの頑張りでした。彼女たちが、先陣を切ってこの町を生まれ変わらせたというストーリーになっていると思いました。音楽と踊りがあるだけで十分楽しい映画になりますし、青春の仲間たちのサクセスストーリーは十分感動的なのですが、更に次の時代に向かって、彼女たちは家族の気持ちや社会を変えていっています。炭住の人々との葛藤は、フラガールの成長の過程で挿入されるエピソードを主に表現され、ラストの蒼井優の笑顔で町が一体となり、新たな未来に向けて進み始めるのです。

さて、俳優さんの中で、富司純子が強烈に目立ってました。岸部一徳はフラガールの引き立て役で、しっかり仕事をしている雰囲気。豊川悦司は自然な感じが良かったです。松雪泰子はフラガールと共に成長したような役柄で、ダンスは美しかったです。昭和40年の情景としては、あの立ち並ぶ炭住の佇まいが迫力がありました。バスは、ボンネットバスも登場。鉄道は、茨城交通が撮影地とエンドロールで出ていました。そのような炭鉱の風景の中で、流れる小川などに、澄み切った空気と、日本の風景が感じられて、懐かしく思いました。いろいろな面で感動させてもらった素晴らしい映画でした。

2020.8.10 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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