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「ポランスキーの欲望の館」 退廃的な70年代のイタリア映画

カルロ・ポンティ製作、ロマン・ポランスキー 監督の1972年製作イタリア映画。 この時代の映画って、ちょうど子供の頃と時代が重なるので、好きです。この映画は、日本未公開で、のちにビデオ発売されています。主演はシドニー・ロームですが、大御所のマルチェロ・マストロヤンニが登場しています。原題のChe?は、「何?」という意味になります。

あらすじ
ヒッチハイク中に乗り合わせた車で襲われそうになり、身一つで大別荘に逃げ込んだアメリカ女性のナンシィ(シドニー・ローム)は、そこに住む風変わりな人々に翻弄されることになる。中でも、アレックス(マルチェロ・マストロヤンニ)に弾きつけられ、彼のちょっと壊れた行動に付き合うことになるが、やがて別荘の主人である老人のノブラー氏(ヒュー・グリフィス)が登場、彼も彼女に惹きつけられることになるが…。



なかなか言葉で説明しようにも難しい映画でした。まずは、3人の男の乗る車に乗った、単身で世界各地を旅行しているアメリカ人女性が車内で襲われ、着の身着のまま、といっても日記だけ持って逃げ出します。道路わきの門をくぐりゴンドラに乗って玄関まで行くと獰猛な犬が…。そーっと回り込むと、犬はナンシィの腰にしがみつき性交の姿勢。思わず日記で犬の頭を叩きますが、これが物語のスタートでした。

ナンシィはとりあえず部屋をあてがわれますが、ベッドメイクをしている老女とも会話が嚙み合いません。部屋で全裸でうろうろ歩き回っていると、窓の外に男(マルチェロ・マストロヤンニ)が…。翌日、Tシャツが無くなり、パンタロンだけで別荘の中を歩き回り、テラスの食卓で食事を取ろうとすると、昨夜覘いていた男。彼は神経質なようで、別荘内にいる3人の風変わりな男と諍いをしています。ピンポンの音が神経に触るとかで、足元に転がってきたピンポン玉を踏みつぶしてしまう始末。ナンシィはこの男に惹かれるものを感じたのか、後で部屋に行く約束をしました。

その後、3人の風変わりな男たちとの交流、マストロヤンニとの変態的性交、主人のパジャマの借用と、パンタロンの盗難、他の男とのモーツァルトの連弾、等々細かなエピソードが続き、それらの話は不条理でうまく噛み合わない話ばかり。そして翌日もいくつかのエピソードが、微妙に細部を違えて繰り返されていきました。

食卓で車いすに乗り、看護師を従えているノブラー氏は、ナンシィの若い肉体に興味をいだき、ついにナンシィを部屋に呼ぶことにします。そこでのノブラー氏の要求は??

というエピソードを期にナンシィはこの館からの脱走を決意。例の番犬にパジャマを破られ全裸になった彼女は、来合わせた豚を積んだトラックに飛び乗り、館を後にしたのでした。

ポランスキーの欲望の館

と、まぁ、そういった不条理映画です。見ていて、同時代の映画「最後の晩餐」や、ちょっと違うかもしれませんが、「ソドムの市」なんかを思い出しました。いずれも、満ち足りて有閑な貴族や裕福な人々が、身を亡ぼすような変態的なことを繰り広げる映画。いずれも70年代のイタリア映画です。当時はこういった退廃的なムードが世の中に漂っていたのでしょう。

この映画のラストの、ナンシィとアレックスのやり取り。
A「待て」
N「無理よ」
A「なぜ?」
N「終わりがないわ」
A「何だって?」
N「映画と同じよ私にもわからない」
A「映画のタイトルは?」
N「Che?がタイトルよ。じゃあね」
そして、アレックスは屋敷の中で話していたのと同じようにナンシィを誘う言葉を繰り返しますが、すでにナンシィを乗せたトラックは遠くに去っていきました。
こういう形で、映画撮影のスタイルと被らせて終わる終わり方も、最後に撮影現場が出てくるフェリーニの映画とか、この時代のイタリア映画となんとなく共通したような物を感じました。そして、この不条理な世界の結論は、そこに留まっている限り、満ち足りているが毎日同じことの繰り返しで、終わりが無く日々が過ぎていく。映画の中に入ってしまったかのように。ということでした。

この映画の素直な感想ですが、まず途中でなんとなく退屈になりました。不条理な噛み合わない世界をずっと見せられているので、そう感じてしまったのかもしれません。時々、マストロヤンニの変態プレイというスパイスが入りますが…。それから、画面がとても美しい。少なくとも、一定の期間をそこで過ごしてみたいと思うような、美しい海辺のリゾートにある大別荘で、調度や絵も凝っているし、日が暮れてベートーヴェンの月光が流れるシーンとからとても美しいと思います。音楽も、シューベルトの死と乙女など、ピアノや室内楽の名曲が使われていて、とても豪華です。

この映画は、そういった意味で、趣味がいいのか悪いのか、どちらとも言えませんが、袋小路にハマった高貴な人たちの悲劇をコメディタッチで描いた面白い映画であることは間違いないと思いますし、全裸でうろうろする女性というシーンも結構盛り込まれてサービス精神も満点でした。そして何よりこの時代の退廃的なイタリア映画の雰囲気を久しぶりに味わえたことが、見てよかったという一番の理由です。

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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