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「殺しの後にタンゴを」南米らしさと愛と心理的緊張感

原題は、「Naranjo En Flor」邦題では、「花咲くオレンジの木」という1940年代のタンゴの名曲らしいです。
これもGAYO!のちょっぴり過激な映画セレクションからの一品です。やっぱり映画は刺激がなくっちゃ!ということで鑑賞です。南米の映画はあまりお目にかかりませんが、ちょっと暑苦しい雰囲気がなんとなく好きです。ちなみにマカロニウエスタンも好きです。

あらすじ
女性精神分析医のマレーナは帰宅途中、娼婦が男に襲われている場面に出くわし、助けようとして男を殺してしまう。マレーナと娼婦は男の死体を隠し、誰にも口外しないと約束する。テレビで、男が刑事で妻と娘が残されていることを知ったマレーナは、遺族の様子を見に行き、真相を隠したまま男の妻と友人になっていく。



導入部は女性の診察室からで、カウンセリングの情景から言葉で多くが語られています。ちょっと言葉の多い映画かなと思いましたが、結果そうでも無かったです。語りは人生が変わってしまったあの事件へと導入されドラマが始まります。

静かな週末を過ごそうと、金曜日の夜家路を急ぐ清楚な雰囲気の女性。たまたま目にした娼婦が男に襲われている光景に、助けようと思わず頭を強打して男は死んでしまいました。その娼婦といっしょに死体をさびれた工場に隠しますが、その後罪の意識に苛まれていきます。それを払拭しようと、思い切って清楚な雰囲気から派手な雰囲気に転身。テレビで見た行方不明の刑事の捜索のニュースとその家族の映像に、殺したのが刑事であることを知りました。

ここから話は展開し、その行方不明の刑事の奥さんと接触。なぜあえてそうするか?と思いますが、このあたり、罪の意識のある犯人は現場に帰ってくるという話を思い出しました。奥さんと、楽しい女同志の遊び友達となり、その夫の刑事がどうしようもない暴君でDBに悩まされており、死んでいて欲しいが、死体が見つからないと保険がおりないので困ると打ち明けられます。一方で、その刑事の同僚が、刑事殺しは必ず犯人をあげて見せると真摯に捜索しており、奥さんに状況報告をしにやってきた時、居合わせた彼女に興味を持ちます。

殺しの後にタンゴを

そして、この映画の最大の見どころである心理戦がずっと続きます。刑事は彼女に興味を持ったのが、女としてか、容疑者候補としてか、微妙な感じで描かれます。彼女の方も、この男と関係をもって安全圏に入っていこうと下心がありつつ、どうやらいつしか刑事を愛するようになっていくようです。この微妙な関係が、その後のいろんなエピソードを積み重ねつつ、緊張感をほぼラスト近くまでひきずっていくのは見事でした。

一方この刑事は、殺された刑事が追っていた事件を同時に捜索していきます。これは、微妙な緊張感の傍らでの添え物のような印象を受けるのであまり印象に残りません。どうも主眼が男女の微妙な関係の方にいってしまうのです。そして、死体が発見されないのにしびれを切らした奥さんは、彼女と相談して情報を警察にリークし死体を発見させることになるのですが....

そうなんです。最後は思いもよらぬ展開に。参りました。

この映画、B級っぽくて見ていて楽しいとか美しいとか、そういう感じはないのですが、ストーリー展開と見せ方、緊張感の持続が見事でした。意味ありげな伏線もちゃんと回収されます。難をいえば、ラストがあまりに早口にあっけなく終わるので、何?何?何?と思っているうちに終わってしまうことですが、まぁ良しとしましょう。

エピソードにもいろいろと秘められたものがあり、バスク地方の話。アルゼンチンでのバスク人の見下され方。(実はアルゼンチンではバスク人の比率は高く、歴代大統領も相当輩出しているようです)カウンセリングで語られる人生訓等々、いろいろと面白いものも詰まっています。決して万人受けはしないと思いますが、南米の雰囲気が好きとか、タンゴの雰囲気が好きとか、B級映画が好きとかであれば、ちょっとした掘り出し物的に楽しめると思います。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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