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「I Want What I Want」 アン・ヘイウッドの日本未公開作

「ミス・ワイコフ」を見たついでに、YouTube にあったアン・ヘイウッドの作品を見てみました。日本未公開で、DVDも日本では発売されていないと思うので、英語での鑑賞です。完全に理解するまではいかないと思いますが、そこはなんとか…。

あらすじ
ロイは、20過ぎの男性であるが、心は女性であった。実業家の父はビジネスの宴席に同席させたりして、教育を施していたが、ロイは一人になると女性の服や化粧品に手を伸ばしてしまう。そんなある日突然父が帰ってくると、全く女装したロイを発見。二人は口論になり、ロイは一生ウェンディという女性として生きると宣言し、決別する。
ロイは女装や化粧を練習し、遠く離れた下宿に一人で住んで女性としての生活を始め、最初は思う存分新しい生活を楽しんでいたが、周囲にカミングアウトできず、男性からの誘惑や、男性の目を引いてしまうことからくる、女性からの嫉妬に悩むようになった。性転換手術も検討したが、先立つ物がなく、働くには身分証が必要になり、ついに八方ふさがりの状況となってしまった…。



冒頭は、アン・ヘイウッドが男装で街を行くシーンから始まります。勿論違和感はありますが、一見東洋人かと思いました。髪の毛なんかがボリューム感があり、パッと見て普通の男性という感じではないようです。自宅では家族が不在の時はついつい女性の衣装に手が伸びてしまいます。一方で父親は一人前の男に育てようと、ビジネス仲間との会食をセットしたりして教育をしていく。しかし、ますますロイは男性でいることが窮屈でたまらないようです。

ある日、父親が女連れで帰って来た時、ロイは女装をして部屋にいました。この時の父親の罵詈雑言は激しいものでした。挙句の果てには、「かつてドイツ人は、お前のような奴をガス室に送ったんだ」とまで。ヘイトスピーチですね。そして、ロイは一生女性でいると宣言します。ロイは、女性用の服や化粧品を揃え、嬉々として女性の服を着、化粧をしますが、初めての経験でなかなか思うようにいきません。この一連のシーンは、睫毛がなかなかつけられなかったり、ブラジャーのホックがはめられなかったりとコミカルに描かれています。アン・ヘイウッドが女性の服をいかにも愛おしげに着ていく様は、一種のフェチズム的感覚を呼び起こされました。

さて、女となったロイはウェンディと名前を変え、まずは外出から。周囲の目線が悉く気になるなかで、女としての行動や言動をしていかねばなりません。女子用の公衆トイレい入るとか…。このあたりもなかなか面白く描かれています。そして、家から遠く離れた町で下宿して一人暮らしをすることに。

ここで大きな問題が2つ発生します。一つは、ウェンディは、生きていくためには労働をしないといけませんが、身分証が無いと雇ってくれない。(働いている間だけ、男に戻ればいいじゃないとも思いますが、下宿生活ではそうもいかないのでしょう)ウェンディとしての正式な身分証を得るためには、性転換手術をしなければいけない。それにはお金がいる。ということです。そして、もう一つは、アン・ヘイウッドは、元ミス・ブリテンという美人ですから、男の目を引いてしまい、何かと男が近寄ってくる。それを見るまわりの女性から嫉妬を受けてしまうということです。男ですというカミングアウトは出来ないようです。

そして、ついに下宿を出ることを決意しますが、ウェンディに魅力を感じていた下宿の主人に迫られてしまいます。そこで男であることが解ってしまうと、主人はウェンディの股間を蹴り上げ、何か汚い物を見るような目で去っていきます。状況に落胆し、嗚咽する中で、ウェンディは自分の性器をガラスの破片で切断してしまうのでした。

病院の一室で目だ覚めたウェンディ。下宿から運び込まれ、手術が成功したようです。これで、心身ともに女性となったウェンディは自分の新居に戻り、ウェンディと名前の書かれた身分証(パスポート)を見てほほ笑むのでした。

I Want What I Want

この映画のポイントは2つあると思います。一つはやはり当時の性同一性障害に関する理解。やっとタブーが解け、映画の世界でも少し描かれ始めた時期です。この人々への無理解は、父親からの激しい罵倒や、下宿の主人の反応に見られる通り、現在とはかなり異なるもので、異なものを見るような目で見られていました。これは、現在とはかなり状況が違います。今でこそ、「リリーのすべて」とか、「ムーンライト」とか絶賛されていますが、当時としてはタブーから抜け切れていない状況でした。

そんな中で、当時としては際物的に見られかねない数々の映画、「女狐」のレスビアン。「ミスワイコフ」の黒人によるレイプと服従。そして、この映画と、アン・ヘイウッドはかなりタブーに挑戦してきた女優であったようです。1980年代に引退し、現在もアメリカでご健在であるとの事です。

もう一つのポイントは、女性が演じていること。確かに、女性となった後の美しさは、非常に効果的ですが、途中でどうしても違和感があって、頭が混乱してしまいます。逆に、その効果を狙ったのか、あるいは男性が演じられるほど当時は世間の理解がなかったのか?そのあたりの事情はよく分かりませんが、見ていてどうも合わない感じが付きまといました。そんな中で、初めて自分で揃えた服や化粧品で、女装をする場面。この、失敗しながらも嬉々として頑張る姿は、なかなかフェチです。

後半の物語の展開については、私の英語理解力が極めて乏しいため、細かいところがよく聞き取れませんでした。一度妹の家に戻る場面がありますが、そのあたりの会話とか、下宿をでる決意にいたる場面とか、細かい会話が理解できればもっと楽しめそうな気がしました。その中に、いろいろな機微がありそうです。とりあえず、英語で見る映画にもっと慣れて理解できれば、また世界も広がるのではないかと思いました。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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