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「オーケストラ!」 ソ連共産党時代の回顧と風刺をこめて

ボリショイ交響楽団を題材にした映画と言うか、かつてのソ連政権下を代表する楽団ということで、名前を使ったという位置づけかと思います。2009年の映画で、フランスの製作。監督はラデュ・ミヘイレアニュ。ゴールデングローブの外国語映画賞ノミネート、セザール賞や、ダヴィド・ディ・ドナテッロ賞の受賞もあります。

あらすじ
ボリショイ劇場の指揮者だったアンドレイ(アレクセイ・グシュコフ)は、ブレジネフ時代に解雇され、今では劇場で清掃員の身。ある日、支配人の部屋を掃除中、パリからの出演依頼のファックスが入り、アンドレイはそのファックスを奪うと、かつてのオーケストラの仲間を集めてパリで演奏をすることを思いつきます。友人のチェロ奏者のサーシャ(ドミトリー・ナザロフ)に計画を持ち掛け、活動開始。交渉役として、かつて自分を解雇した共産党員ガヴリーロフ(ヴァレリー・バリノフ)にやむなく頼みました。曲目はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ソリストはアンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)を指名しました。アンヌ=マリーは快諾しますが、アンドレイを知るマネージャーのギレーヌ(ミュウ=ミュウ)は、思惑を察知し警戒します。アンドレイは二週間の間に、30年ぶりの昔の仲間を集め、ビザはジプシーのヴァイオリニストが、空港で偽造パスポートを仕上げました。

ホテルに着くと、団員たちはお上りさんなみに大騒ぎ。まずギャラを要求すると、それぞれ行きたい場所へ解散してしまい、アンドレイはリハーサルには来るように叫びますが、翌日来たのはサーシャとスポンサーだけ。現れたアンヌ=マリーは、茫然としますが、サーシャが演奏し、現れたジプシーのヴァイオリニストが演奏すると、アンヌ=マリーは、半信半疑で納得し、リハーサルも行われませんでした。その夜、アンドレイとアンヌ=マリーは予定通りディナーに向かい、その最中、アンドレイはかつて自分が指揮をしていた頃の事を話し始めます。それは、今は無きレアというソリストの話で、最高の芸術を目指していたコンサートで、政府の介入により中止にさせられたのでした。アンヌ=マリーは、それを聞いて、自分はレアではないと話し、キャンセルしてしまいます。

アンヌ=マリーの元へサーシャがやってきて、一緒に演奏会をすれば両親が見つかるかもしれないと話します。ギレーヌに育てられたアンヌ=マリーは両親の秘密を知りたがっていたのです。ギレーヌは手紙と、レアのコメント入りの楽譜を置いて出て行きます。アンヌ=マリーはレアの書き込みを見て会場に向かいました。団員たちの携帯には、「レアのために戻れ」というメッセージが届き、無事全員が揃って開演。ブランク30年後のぶっつけ本番が始まりました。アンヌ=マリー奏でる、レアとアンドレイの音楽に団員たちの30年前の音楽が蘇えります。レアは、アンヌ=マリーの母親で、アンドレイがかばおうとしたユダヤ人演奏家の一人。しかし、コンサートを妨害され、収容所で亡くなりました。当時団員だったギレーヌが、アンヌ=マリーを隠して亡命したのでした。演奏は大喝采を浴び、好評を得て、一行は世界一周公演に向かいました。



オーケストラ!

久しぶりにオーケストラものの鑑賞です。オーケストラの映画は基本的に大好きなので、今回はどんな感動があるのか楽しみ。いろいろな運命を背負った楽団員たちが、まとまっていって感動の音楽を紡ぎだすというのがけっこう好きなのです。で、今回は、指揮者フィリポフの再生の物語。ボリショイ交響楽団といえば、ソ連時代はレニングラードフィルと双璧をなす名オーケストラで、スヴェトラーノフやロジェストヴェンスキーなど、ソ連の重鎮が指揮した、ロシアらしい金管の咆哮が聴かれるオーケストラというイメージが残っています。また、共産政権下でいろいろな逸話もあるのでしょう。

ストーリーは共産政権下の出来事や、共産党の現状のパロディ、そして、ロシアに対するイメージなどをふんだんに取り込んだコメディで、次々といろんなあり得ないことが起こるというところは、フランスのコメディらしくもありました。ストーりー自体は、あり得ないようなことが、ノンストップで次々と起こって笑わせてくれます。真面目なストーリーの部分もありますが、ちょっと霞み気味くらいです。そして、過去の悲劇を乗り越え、亡き母の為に集まった楽団員たちは、その娘をソリストに迎えての、最後の名演奏へとつなげていくという、見始めたら目が離せない、見事な展開です。

マーラーの巨人がこの映画でも出てきますが、本当にこの曲はいろいろな映画でよく使われると思います。出てくれば自己主張して雰囲気を作ってしまうという曲で、改めて凄いなと思いました。ラストのチャイコフスキーは通俗曲の部類ですが、じっくり聞かせて、いろいろなフラッシュバックや、演奏者の表情を映し出し、いい場面を作っていると思いました。ソ連共産党時代への懐古趣味も含めたパロディは、あの時代には戻ってはならないというメッセージも含まれ、更にロシア社会への風刺も詰まった、面白いオーケストラ映画でした。

2020.5.14 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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