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「ムーンライト」 月光に映えブルーに輝く

普段、新作映画を見られる環境にない私は、ちょっと新作映画に飢えています。そんな中で、久しぶりに飛行機に乗った私は、夜行便かつ明日は朝から仕事という厳しい状況にもかかわらず、さっそくメニューをまさぐっていました。有りました有りました。「ムーンライト」や「ラ・ラ・ランド」。ここは、ムーンライトと決め、寝静まった機内で映画に集中したのでした。

あらすじ
1.リトル(小学生時代)。シャロンは、学校で苛められている内気な少年。ある日、麻薬ディーラーのフアンに助けられ、フアンの恋人テレサとともに、シャロンを気にかけるようになる。やがてシャロンもフアンを父親のように感じ始め、フアンと男友達のケヴィンだけが心を許せる友達となった。しかし、麻薬に手を染め、乱れた生活を送っているている母親のポーラに麻薬を売っているのもフアンの組織だった。
2.シャロン(高校生時代)。シャロンは高校でも相変わらず苛められていた。母親はますます麻薬に溺れる日々。ある日、同級生の言葉にショックを受け、一人夜の浜辺に向かったところ、ケヴィンが現れる。月明かりが輝く夜、シャロンはケヴィンに身を任せ、ケヴィンはシャロンを愛撫する。しかし翌日、学校で起きた事件によって、シャロンはついに切れてしまう。
3.ブラック(成人)。シャロンは、体を鍛え上げ、麻薬の売人として仕切っていた。ある夜、突然ケヴィンから電話がかかる。昔のことは忘れたつもりのシャロンだったが、翌日ケヴィンのもとを訪れる…。



この映画は、あらすじの通り3つのパートに分かれています。3つを通じて現れるのは、まず、シャロンとケヴィン。それぞれ3人の役者さんが演じています。そして、ポーラ。これは、ナオミ・ハリス1人で演じられます。他の主要登場人物は、フアン(1のみ)とテレサ(1・2)でした。

シャロンは、いじめられている寡黙な少年。ケヴィンと親友ですが、その事件を機に性格も体格も変えてしまいます。しかし、心のどこかで、昔のシャロンを持ち続けています。
ケヴィンは、そつのない男で、内気なシャロンを励ましていますが、その事件ではうまく立ち回れませんでした。
母親のポーラは、母としてシャロンを愛してはいるようですが、ちゃんと育てることができず、シャロンにつらくあたり、乱れた生活を続けています。最後のパートで、母親らしい姿を見せ、シャロンに許しを求めます。
そして、フアンとテレサ。この映画の冒頭はフアンで始まります。このフアンのイメージがこの映画を作っていきます。悪い商売に手を染めているが、そもそもが人情家である。そのようなどうしようもない矛盾が、この映画を支配します。わずか、1/3の部分の出演ですが、アカデミー助演男優賞です。それだけ、物語に与える影響が大きい役割だったということでしょう。

ムーンライト

この映画の登場人物は、ほぼすべてが、アフリカ系アメリカ人です。最後のケヴィンの店にそうでない客が少しいたような気がする程度。これは、日本で公開された映画では、非常に珍しいのではないかと思いました。だいたい、アメリカ映画でアフリカ系の人たちは、白人と色々な意味で対比されてしまうような形で出ている形が多いのですが、純粋に、アフリカ系アメリカ人だけのドラマのみを題材とした映画。最初は見ていて少し戸惑いました。でも、それはごく自然のことかもしれません。

そして、フアンの言葉。キューバ時代にフアンは「ブルー」と呼ばれた。その褐色の肌が、月光に映えるときに、ブルーに輝くように見える。シャロンも夜の浜辺でブルーに輝きます。それが、この映画の美の象徴であり、一つのアイデンティティーを形作っているように思えます。厳しい現状を受け入れ、克服しながら形成されていった正しい心と躍動の発現が、月光の下のブルーだった。そんな風にとらえられるのではと思いました。

演技は、どれもこれも素晴らしい、心情がにじみ出るような演技です。3つのパートに一貫して出演していた、ナオミ・ハリスさんは、特に圧巻でした。残念ながら賞は逃しましたが、助演女優賞にノミネートされていました。

今年のアカデミー賞。作品賞を読み間違えたのはご愛嬌としても、昨年はすべて白人が独占した反動とか、トランプ大統領就任とのバランスとか、いろいろ考えてはいましたが、これは、見て納得の素晴らしい1本でした。


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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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