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「ザ・インフェルノ」 圧政時に育てられた悪魔の住む村

かなり胸糞が悪い映画という前評判を知りつつ、見てしまいました。2017年のチリの映画で、監督はルシオ・A・ロハスです。チリの映画は久しぶりですが、この前見た「フルリベンジ」のリメイク元映画がチリ映画ということで、その関連でいろいろ探していた時に出てきた映画です。原題はTrauma。まぁ、トラウマですね。

あらすじ
1978年、ピノチェト政権下のチリ。妻が共産主義者と組んでいると気付いた夫は、その共産主義者を射殺。妻を椅子に拘束し、息子のファンに、妻を犯させ、その最中に妻の頭を撃ち抜きます。ファンはその後も、この暴力的な父親に虐待されながら育てられました。

2011年。サンティアゴから4人の女性が、田舎の別荘にバカンスに向かいます。4人は、アンドレア(カタリーナ・マーティン)とカミラ(マカリナ・カレル)の姉妹、カミラの女性パートナーのフリア(シメナ・デル・ソラ)。そして、アンドレアの友人のマグダ(ドミンガ・ボフィル)でした。途中の酒場で道を聞きますが、不穏な雰囲気で追い出され、外で店の娘ヨヤ(フローレンシア・エレディア)や、地元の保安官・ホルヘとペドロ(エドゥアルド・パヘコ)に出会いました。そして、屋敷へついた彼女たちは、近況を語りあっているうちに、窓の外に人影が見えます。

酒場にいた2人の男、ファン(ダニエル・アンティヴィロ)とその息子マリオ(フェリペ・リオス)でした。2人は銃を取り出してレイプをはじめ、マリオはマグダをレイプする途中で、頬を噛みちぎり、傷口に塩を塗り込みます。一夜が明け、気が付いたマグダは、銃をファンに向けますが、弾が入っておらず、逆にファンに射殺され、2人はそのまま去っていきます。通報で駆け付けた2人の保安官は、パトカーで3人を連れて酒場に行くと、店主が、娘のヨヤがファンに攫われたと訴えました。店の中にいたファンを拘束しようと、2人の保安官と店主と息子が銃を向けますが、ファンはこれを返り討ちにすると、ヨヤを連れて立ち去ってしまいます。

女性3人と負傷したぺドロで、サンティアゴの警察に応援を頼み、ファンのアジトに乗りこみます。ファンのアジトの工場には拘束されているファンの妹のカルメン(クラウディア・アラベナ)と赤ん坊、そしてマリオがいました。ファンとマリオに対峙した4人ですが、マリオは仕留めたものの。ペドロは薬品で殺害され、カミラとフリオも惨殺されてしまいます。ファンとの一騎打ちになったアンドレアは、強酸性の薬品を、ファンに浴びせて仕留めると。赤ん坊に銃を向け、生かしておくと、いずれファンのようになるとつぶやき、引き金を引こうとしたとき、駆け付けた応援部隊が到着。アンドレアは警官隊に射殺されてしまいました。家の裏口から、拘束されていたファンの妹のカルメンは、ヨナを連れて二人で町に向けて歩き始めるのでした。



ザ・インフェルノ

チリ映画は久しぶりというか、せいぜい2回目くらいかもしれません。記憶にあるのはシネパトスで見た「ハッスル!」。青森県住宅供給公社巨額横領事件で有名になった、チリ人妻アニータ・アルバラードが出演していることで、話題になった映画です。その一作を見ただけで、チリ映画は暗いという印象を持っていました。暗いというのは内容というよりは画面で、特に夜が暗いみたいな…。

さて、かなり衝撃的な映画なので要注意、という評判のこの映画、確かにそうでした。特に、冒頭の過去のトラウマ場面は、ピノチェト独裁時代に、権力者の父親から拷問を受け、縛り付けられている思想犯の母親を、息子が無理やりレイプさせられ、さらにレイプ中に、父親は母親の頭を撃ちぬき、息子はそのまま犯し続けるという場面は、深く印象を残します。そして時代は移り、レスビアンシーンが、少し長めに映されます。まず、この連続する2シーンで観衆をつかみ、物語は展開。そこから女子4人の田舎へのバカンスという事で、それぞれの人物背景や、相性など細かく描かれていきますが、ここが先ほどのシーンの反動でグダグダと妙に冗長に感じてしまいました。

そして、第二の鬼畜シーンがこの4人へのレイプシーン。相当に病的かつ破壊的なレイプで、ここも衝撃的です。そして、残ったメンバーで犯人へのリベンジへと移っていきます。ここからは普通にヴァイオレンス映画的な展開でした。最後は男の住む工場のような建物の中でのバトルとなりますが、まずその建物の全景が映されると、ああ、これからこの中で延々とバトルが繰り広げられるんだなと、妙に見切ってしまう感じになったので、そこはちょっと残念でした。バトルの場面ではグロな殺し方が工夫されています。工場なので化学薬品も使われます。このバトルは、ホラー系ではよく見かける残虐タイプのものでした。

まずこの男ファンが、4人に囲まれても動じない、撃たれても動じないほどの強さです。過去に母のレイプから始まり、残虐な経験を続けてきており、そういう殺しに慣れて鍛えられてきたという印象を持ちます。少年期の精神的傷が生んだ部分は、彼の行動の凶悪性として現れますが、一方でこの強さは、訓練されたという印象でした。「怪物を生かしてはおけない」と赤ん坊(おそらくファンとカルメンの子供か?)に銃を向けたアンドレアは射殺され、閉じ込められていた二人は人知れず脱走して行く訳ですが、これは解放されたというよりも、過去がまだ生きていて野に放たれたという印象を持ちました。一方で、外から来た人に助けられた地元の人という構図もあり、よそ者の虚しさ的な情緒も少し感じられます。冒頭のショッキングな映像や、残虐な殺害映像が印象に残る映画ですが、ドラマ的要素も持っているという印象を残すラストでした。

2020.4.1 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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