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「女は二度生まれる」芸者を演じる若尾文子のリアルな現実感

若尾文子主演の花街ドラマ。監督は川島雄三で、若尾文子の魅力がたっぷり楽しめそうです。1961年の映画で、大映作品。当時はR18だったようです。ちょっと時代の流れを感じます。

あらすじ
ある花街の一角では、近所の靖国神社の太鼓の音がよく聞こえていました。その一室の布団の中で、芸者小えん(若尾文子)は、客の建築士筒井(山村聡)の相手をしていました。そんな彼女は、時々お風呂屋への行きかえりに見かける大学生の牧(藤巻潤)に惹かれるものを感じ、声をかけて身の上話に興じたりしましたが、牧も大学を出て東京から離れると聞き、淋しさを感じます。毎日、客から客へと寝るだけの生活の中で、知りあった寿司屋の板前、野崎(フランキー堺)にふれあうものを感じ、商売をはなれて関係を盛ったりしましたが、野崎も将来のことを考え、婿養子に行ってしまいます。

そんなある日、置屋の売春がばれて営業停止になってしまい、もとの同僚にさそわれてバーにつとめたところ、そこで筒井に再会し、二号となりました。彼女は、町で出会った少年工を旅館に連れ込んだりして、筒井を怒らせたりしたものの、献身的筒井を愛し、筒井が病にたおれると本妻の居ぬまに、懸命に看病したりもしました。生活の為に芸者に戻りましたが、筒井を愛しているため客をとるのをやめていた小えんでしたが、筒井の訃報を聞くと嘆き悲しみます。そして、座敷にでて牧に再会しましたが、彼に外国人客の接待を頼まれ絶望し、街でいつかの少年工に出会うと、山に行きたいという彼を故郷の松本へと誘い、彼女から金をもらって元気に山に向かう少年を見送り、新しい人生を生きていくことを想うのでした。



女は二度生まれる

若尾文子が主人公で全編に登場します。芸者としての男あしらいのうまさは、派手さはなくても超一流で、建築士、大学生、板前、遊び人、一元の客、少年と次々と男と巡り合い、別れていく。仕事としてこなしていく中で愛情も生まれ、仕事柄の割り切りも見え、という微妙な心情を演技していきます。それだけで全編語られると言ってもいいストーリー。体を売ることを職業としていたとしても、心のつながりができればまた話が変わってくる。それを愛というのかはわかりませんが。体を許すハードルは低いのは、少年を連れ込むあたりには見られますが、当然プライドが許さないこともある。そのような境遇を、常に心に見えない壁があるような雰囲気で演じ切る若尾文子が見事でした。

花街の女性を表現する、男から見た一つのステレオタイプとも感じました。働く女性も各人各様です。男もいろいろなタイプが現れます。どういう会話をしようと、基本は娼婦という見方をしているのはほぼ共通していました。二号を囲うのに、経済的援助という大義を騙りますが、所詮は男の願望。きれいごとを言っても男女の関係、お互いの不安定な愛情や刹那的な恋心で繋がります。美しくもありますが、つつましやかな表現の中で、描かれる現実はかなりリアルでした。その中で、少年は純真であり好感が持てました。現実を冷めた目でリアルに見ている映画だと思いました。

いろいろな事を経て、振り返れば解る時もくるということですが、やはり愛情の只中にいる時は盲目で、それが恋心という者で、それはまた人生の至高ななひと時にもなりえます。小えんを通じて、控えめな表現の中に、そういった大人の男女の機微が描かれます。若尾文子を全編堪能できる映画であることは間違いありません。そして、当時は東宝の川島雄三監督によるもので、やはり先入観かもしれませんが、いつもの大映とは、ちょっと雰囲気が違うという感じもしました。

2020.3.13 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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