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「女のみづうみ」 川端康成を題材に岡田茉莉子で描くアート

川端康成の小説「みづうみ」を原作とした、吉田喜重監督、岡田茉莉子主演による、1966年の映画です。原作を翻案した作品となっていて、内容は小説通りではないようです。現代映画社製作で、松竹配給。アートな映画が期待できそうです。

あらすじ
水木宮子(岡田茉莉子)は、会社重役(芦田伸介)の妻としての不自由ない生活の一方で、室内装飾家の北野(早川保)という愛人と、月に数回ホテルで会う関係を持っていました。ある夜、宮子は北野の願いでヌード写真を撮らせ、現像のために持ち帰る途中で、男に襲われバッグを奪われてしまいます。バッグを奪った男からの連絡で、宮子は夫を偽り、男に指定された列車で上野駅発ちました。そして、目的地近くの乗換駅で足止めを食らい。駅で待つ宮子の前に、サングラスの男が現れます。桜井銀平(露口茂)という男で、フィルム入りのバッグを奪った人物でした。

宮子は銀平に脅され、さらに銀平は金での解決には応じません。さらに、北野が宮子を追って現れ、宮子は北野と行動を始めました。温泉地のホテルに二人で宿泊し、楽しんでいると、そこに北野の婚約者の町枝(夏圭子)が現れました。町枝も強引に同じ部屋に泊まることになり、北野は宮子に、町枝と一緒になる気はないと言いますが、宮子の気持ちは離れていきました。そのころ銀平は温泉町の写真屋で宮子の裸体を現像し、さらに写真屋も宮子のヌードを勝手に焼き増したりしていたのでした。宮子は写真屋を訪ね、親父から写真を買い取ると、北野を振り切って銀平に会いに行きます。

宮子と銀平が海岸線を歩いていると、北野がやって来て桜井に襲い掛かり、その時宮子は、北野への気持ちが消えでしまいました。そして、宮子と銀平は険しい海岸線をたどって崖の上に立ちます。再び海岸に降りると、途中で映画の撮影隊に出会い、しばらく見学した後、打ち上げられた難破船の中で体を求め合いました。そして、険しい海岸性を歩きながら、ついに宮子は銀平を突き落とします。宮子がホテルに戻ると、夫が訪ねてきていました。夫にすべてが終わったと話し、二人で東京へ帰る列車の中で、宮子は銀平を見かけます。車内で銀平を追う宮子は、殺す気はなかったとは語るのでした。



女のみづうみ

吉田喜重監督、奥さんの岡田茉莉子さん主演の作品。この組み合わせは、秋津温泉を見て以来です。冒頭からアート系の美しい画像に引き寄せられます。見入っていると、芦田伸介の登場でちょっと現実に引き寄せられます。そして、代ゼミの前の人込みとかで、また少し現実に戻り、再び芦田伸介の夫婦論で、ぐっと現実に引き戻されてしまいました。しかし、そこから北陸への鉄道の旅。汽車旅の雰囲気がいい感じです。

北陸についてからも、アートな基調は続くのですが、やはり芦田伸介の夫婦論が出てから半信半疑で、北野が登場してからは、せっかくの雰囲気が、下世話で卑俗な不倫話に戻されてしまいました。せっかくなら、もっと振り切ってアートに走ってほしかったと少し残念。特に、砂丘の斜面で北野が乱入してくるところとか、ちょっと勘弁してほしい感じです。まさに、あなたなんか、ここではお呼びでないという事でした。

断崖の後の映画の撮影隊の登場で、虚構性を示したのではないかと思いました。ヨーロッパの映画でも時々見かけます。宮子が突き落とす場面は明確に映さず、暗喩的な表現でした。そして、ラストで銀平が再登場。ストーリーとしては筋が通っていますが、それでも、現実と虚構の間を行き来した感じがしました。この海岸に出てからの場面は素晴らしいと思います。芦田伸介も登場しますが、北野が消えたので雰囲気が壊れません。破船といい、露口茂の演技といい、最後までしっかりと締めてくれました。

そして、これは、鉄道の映像が美しく撮られている映画です。行きは客車急行のグリーン車。そして、話の筋からすれば、動橋駅で降りて北陸鉄道の片山津線に乗り換えです。1965年に廃止された、わずか2.7kmの路線で、脱線の復旧待ちというのがのどかです。歩いたほうが早そうですね。北野が追いかけてきたのは471系急行電車、そして圧巻はラスト。ED70のアップと旧客の直江津行きの車内。素晴らしい鉄道風景を残してくれました。北陸本線の旧客の普通列車は、何度か長い距離を乗ったことがありました。大変懐かしかったのでした。

2020.3.9 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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