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「黒の超特急」新幹線開業に合わせたテンポのいいサスペンス

大映の黒シリーズは、どれもなかなか楽しめるサスペンス映画で、見るのが楽しみなシリーズの一つです。今回見るのはその最終作品である、「黒の超特急」。東海道新幹線開業の翌年、1964年の映画でした。監督は増村保造田宮二郎藤由紀子のコンビが出演しています。

あらすじ
岡山の庭瀬駅前で不動産屋を営む桔梗敬一(田宮二郎)の元に、東京から中江と名のる男(加東大介)が訪ねてきました。中江は、自動車工場建設が計画されている用地の買収を桔梗に依頼。桔梗には坪あたり百円の手数料で地主たちを調整し、買収を成功させ、二千万を手に入れます。しかし、これをすべて株で失ってしまった桔梗は、地主から買収した士地に新幹線が通ると聞かされると上京し、中江に事前に知っていたはずだと問い詰めて、五百万の融通を要求しますが、断わられてしまいました。

桔梗は、中江の事務所を出たところで、前回の契約時に現れた女性に再び出会い後をつけると、女はかつて新幹線公団に務めていた田丸陽子(藤由紀子)で、彼女は元秘書ながら退職し、今は新幹線公団専務理事である財津政義(船越英二)の二号であることが解りました。桔梗は陽子の部屋に押し入り実情を問い詰めますが明確な答えは得られませんでした。桔梗の動きを知った中江は、陽子と財津を別れさせるように工作し、この中江の仕打に怒った陽子は、桔梗の元を訪れ、中江の工作により、陽子が財津の二号となり、そのことを元に、財津の義父で憲民党の実力者工藤を通じ、三星銀行から大金を融資してもらったという内幕を暴露しました。

陽子を味方につけた桔梗は、証拠をつくるため、陽子にテープレコーダーを持たせ、財津との会話を録音させようとしますが、現れた中江は証拠を消すため陽子を絞殺してしまいます。不審を感じてマンションに現れた桔梗は、隠していたもう一つの盗聴テープを持ち帰り、中江と面会。テープには事の次第と陽子を殺す瞬間が克明に記録されており、しらを切る中江が窮したところで、隠れていた警官が中江を拘束。陽子の遺体も引き上げられ、一切の汚職事件の全貌が明らかになるのでした。



黒の超特急


黒シリーズの最後の作品。増村保造監督です。これは、なかなか面白いクライムサスペンスでした。庭瀬駅の近くの不動産屋に現れる加東大介が、田宮二郎に土地買収を頼むところから始まり、テンポよく話はすすみ、買収はすぐに片が付いて東京へ。もちろん胡散臭い話であることは間違いありません。黒シリーズですから。ただ、田宮は嵌められたとかそういう訳でもなく、一定の役割を果たしただけなので、ここから先の展開は、いわば田宮がすぐに株で失敗してからの自業自得です。株で儲けていれば、この先平穏に終わったという事かもしれません。

加東大介田宮二郎の二人の独壇場です。特に加東大介がいつになく熱演でした。東京から来ておいていきなり関西訛りで話し始めるのはご愛嬌ですが、悪徳商人的な雰囲気を出したかったのでしょう。田宮二郎が加東の会社を再び訪ねた時のやる気のない社員の様子も面白かった。ヤクザな会社であることを象徴しています。藤由紀子の美人度合いと性格描写もなかなか良かったです。女優として目立つのはほぼ一人だけなので、美人度合いがことさら強調されていました。

内容としては、新幹線建設というタイムリーな話題に絡めての土地買収がテーマですが、サスペンスの中身としては、新幹線はきっかけで、あとは留まることを知らない人間の欲望が肥大して行き、お互いを陥れようとする駆け引きが描かれています。シンプルで納得感のある展開で、パワフルな演技もあり、上質の娯楽映画だと思いました。こういった作風は後年の火曜サスペンス劇場なんかに引き継がれていきますね。ラストもサスペンスものとして、なかなかいい感じでした。

2020.3.8 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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