FC2ブログ

「クラウン・ハイツ」 無実で過ごす獄中の時間の長さを体感 (NET邦題:無実の投獄)

Amazon Original作品の鑑賞です。インディペンデント作品をAmazon Studioが配給権を買い付け、劇場公開及びNET配信する形で、良作も多く興味深い分野です。この映画は、2017年のサンダンス映画祭で観客賞を受賞した作品。マット・ラスキン監督による2017年のアメリカ映画です。

あらすじ
コリン(キース・スタンフィールド)は母親に頼まれ、修理に出したテレビを引き取りに行った、帰宅中に警官に止められ拘束されてしまいます。ある日路上で起きた銃による殺人事件の犯人として逮捕されたのでした。全く身に覚えのない事件で途方にくれ、否認を続けるコリンは、拘置所で被害者がかつて殺害した人物の従弟がやったということを収監中の人物から聞き、警察に再捜査を依頼します。しかし裁判の結果、法廷で証人が悉く、警察が作り上げたストーリーに従って証言した為、真犯人ともども共犯として有罪となり、無期の判決が下りました。

獄中からも、友人であるKC(ナムディ・アサマア)の支援で再審請求を続けてきましたが、証拠が弱いため受け入れられず時は流れます。その年月の中で、幼馴染のアントワネット(ナタリー・ポール)と結婚。彼女も加わってコリンを刑務所から出すために活動を続けますが、手詰まりとなりなかなか進展しません。そして仮釈放の申請ができる年となり、コリンは申請しますが、それには罪を認め反省していることが前提で、無実を主張し続ける以上、出ることはかないませんでした。そんな中で、弁護士に頼らず全面的に頼らず、自力捜査に切り替えたKCは、裁判記録の矛盾点から、偽証をしたと思われる人物を探し出し、もう一度あたっていくことにしました。

当時、現場に居合わせた人物の証言を集めるうちに、証言した目撃者は、警察の長時間に尋問に耐え兼ね、苦し紛れに全く関係ないコリンの写真を指差したこと。裏付けた証人も。警察にコリンが犯人であるように証言を誘導されたことが判明。服役の終わった真犯人による単独犯だったとの証言も得て、裁判は無効となり無事釈放され、収監中に結婚式を挙げたアントワネットとの平穏な生活が戻ってきたのでした。



クラウン・ハイツ

無実の罪て投獄され、獄中で21年を過ごすという、実話に基づいた作品。ショーシャンクを思い出させます。この映画の場合、中盤では数年おきに物語が進行していきますが、大きな進展とかエピソードとかが、あまり強調されません。ショーシャンクでは獄中の人間関係や活動を主題として物語が進行しますが、こちらはそれは控えめで、逆に何事も進展しないということが強調される感じです。そういう意味で、かなり現実に根差していると感じ、無為に過ごす時間の長さを思いやることになります。

浮かびあがってくるのは、無実の罪で無為に過ごす時間の長さと諦観。無実でなければ、改悛などの感情が出るのでしょうが、無実のままでどうしようもなく過ごす日々の長さは、主人公のセリフの中でも表現されています。そして、この無実ということは、本人とごく一部の人しか知らない事実。通常は裁判で決まったことで周囲の人は確定した事実と考えているはず。そのギャップは壁のように立ちはだかります。再審も容易に行われないのは、判決というものの重さと信頼性が非常に重要視されるからでしょう。

最後に、目撃者の証言により無実が確定しますが、当時の刑事の強要によって虚偽の証言をした人たちが、それぞれ心に重荷を背負って生きてきたということは、この暗い長さを感じる映画の中で、救いを感じるところです。そして、KCの依頼で真摯に対応した弁護士は、信念に基づいて仕事をしたとこが、自然にサラリと描かれていて好感が持てます。監督はドキュメンタリー映画からスタートした監督さんで、これが4作目。ドキュメンタリータッチとドラマが見事に融合していると思いました。冤罪の理不尽さを感じるとともに、静かな感動を呼ぶ映画でした。

2020.3.4 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR