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「ジュリエッタ」 美しい映像と音楽に彩られた魅惑的な映画

スペインの名匠、ペドロ・アルモドバル監督の映画です。いままで、それほど印象が無かったのですが、この映画を見てかなり好印象に変わりました。何よりの映像が素晴らしい映画でした。2016年のスペイン映画で、ゴヤ賞でエマ・スアレスが主演女優賞を受賞のほか、英国アカデミー賞の外国語映画賞や、カンヌのパルムドールへのノミネート作品でもあります。

あらすじ
ジュリエッタ(エマ・スアレス)は、パートナーのロレンソ(ダリオ・グランディネッティ)とともに、ポルトガルへ移住を控えていた時、偶然、娘のアンティアの幼い時の親友ベア(ミチェレ・ジェネール)と遭遇します。ベアは12年前から消息が判らないアンティアと、イタリアのコモ湖で出会ったとの事。アンティアは3人の母親になっていると伝えました。また、アンティアが母の消息を気にしていたことを知り、ジュリエッタはマドリードに残ることにします。そして、かつてアンティアと暮らしたアパートに引っ越し、消息を待つことにしました。そして、ジュリエッタは、アンティアに話せなかった過去の出来事を、手紙に書き始めます。

ジュリエッタ(アドリアーナ・ウガルテ)が若い頃、列車でショアン(ダニエル・グラオ)と出会いました。その後、ショアンからの手紙で、彼の家を訪ねると、家政婦マリアン((ロッシ・デ・パルマ)が出迎え、ショアンはアバ(インマ・クエスタ)という女性と一緒にいると告げます。ジュリエッタはショアンの帰りを待ち、2人は久しぶりに夜を共にします。その後、アバとも出会い、親しくなりました。ジュリエッタは、やがて娘のアンティア(プリシージャ・デルガド)が産まれ、アンティアは9歳になると、ショアンとよく海に出るようになります。アンティアの夏休みのキャンプが始まる日、仕事を辞めるマリアンの言葉から、ジュリエッタはショアンとアバとの関係を疑い、ショアンと喧嘩。気まずくなったショアンは漁に出ていきます。そして、天候が大きく荒れ、ショアンは帰らぬ人となりました。

キャンプ中にアンティアとベア(ミシェル・ジェネール)は仲良くなり、ジュリエッタとアンティアはベアの家の近くに引っ越します。しかし、ジュリエッタは鬱状態になってしまい、アンティアとベアが介護していました。病気を克服したジュリエッタは、自宅で出来る仕事を始め、残りの時間をアンティアと過ごしていましたが、アンティア(ブランカ・パレス)が大学の卒業を控えた頃、瞑想のためピレネー山脈に出かけ、3ケ月後に迎えに行ったジュリエッタは、団体の職員から、アンティアが転居したうえに、居場所を母に伝えるなと言いつけたと聞かされ、ジュリエッタは、娘のことを知らなすぎたと後悔するのでした。

ジュリエッタは孤独な日々を送り、ついに娘を思い出すものは全て処分し、転居しました。そして、入院中のアバを見舞った時、アバは、ショアンが亡くなる前に二人が口論したことを、アンティアに話したと打ち明けます。アバはふさぎ込むジュリエッタに彫刻家のロレンソを引き合わせ、人生をやり直させます。

そして、現在。アンティアへの想いを綴り終えたジュリエッタは、街で再びベアに遭遇しました。ベアは、アンティアが失踪する直前から様子がおかしく、その後も狂ったような連絡が来たこともあったと打ち明けます。何も知らなかったジュリエッタは茫然とし、赤信号で道に出て事故あってしまい、通りかかったロレンソに助けられました。入院のためにジュリエッタの荷物を取りに行ったロレンソは、アンティアからの手紙が届いているのを見つけます。アンティアはショアンと名付けた長男を亡くし、娘を失ったジュリエッタの気持ちを初めて知ったのです。

ジュリエッタはロレンソと共に、スイスのアンティアの手紙の住所を訪ねることにしました。不安そうなジュリエッタに、ロレンソは、封筒に住所を書いてきたんだから大丈夫、と励まします。2人の眼下には、美しい湖と山脈が広がっていました。



ジュリエッタ

映像や音楽の大変美しい映画でした。丁寧に計算され尽くしたような映像美と音楽は、圧倒的な美しさで見るものを取り込みながら、ストーリー展開のキーにもなっていきます。それぞれの瞬間が雄弁に語りかけてくる、素晴らしい映像だと思いました。代表的な場面としては、鬱状態で動けない母を浴槽から出して、髪の毛をタオルで覆うと主演女優が交替する場面。夫が口論の後で漁に出かけるときに、窓の外が嵐に変わり、海が微妙に盛り上がっていく場面、そして最後の瞬間に明るい音楽が流れる場面など。言葉で表す以上に雄弁です。

エマ・スアレスが素晴らしい演技です。いろんな表情を見せてくれますが、ペドロ・アルモドバル監督の表現にこたえて、一つ一つの場面で心情が滲み出るような演技をしていると思いました。年齢は私とほぼ同世代ですが、年齢不詳の美しさです。場面によっては若くも見え、老け込んでも見え、素晴らしい表現と思います。部屋の中で日記を書いている情景が、廊下の方からシルエットのように映し出される場面が非常に印象に残りました。細くて長い四肢をシルエットで見せる映像は魅惑的でした。

いままで、アルモドバル監督の映画は数本見ただけですが、この表現は音楽と映像をフルに使って、物語をより分かりやすく印象深く語らせるとこんなことができるという、素晴らしい出来栄えになっていると思います。久しぶりに美しいものを見た感じで、この感覚は映画館の空間の中でじっくり味わってみたいと思いました。また一つ好きな映画が増えました。エマ・スアレスも多くの出演作がある中で、日本公開が数少ないという恵まれない状況ですが、これから注視していきたいと思いました。

2020.3.1 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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