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「母親たち (2018)」 (Duelles) ベルギーのアカデミー賞を席捲したサイコ・スリラー

AmazonPrimeの特典動画から、比較的近作の映画を鑑賞しました。邦題は「母親たち」で、原題は「Duelles」。デュエルなので、決闘みたいな感じです。そして、英題が、「Mothers' Instinct」で、母の本能。だいたいこの三つから、内容が想像つくというものです。2018年のフランス=ベルギー合作映画。監督は、オリヴィエ・マッセ=ドゥパスで、この年のベルギーのアカデミー賞に相当するマグリット賞で作品賞を含む9部門を受賞しました。

あらすじ
学校にマキシムとテオを迎えに行ったセリーヌ(アンヌ・コエサン)は家に帰ると、盛大な誕生パーティーのサプライズに迎えられました。セリーヌは夫のダミアン(アリエ・ワルトアルテ)と息子のマキシムの3人家族。一方サプライズを主催したアリス(ベルル・バーテンス)は、夫のシモン(メーディ・ネブー)と息子のテオの3人家族。生け垣を挟んで隣同士の2つの家族は、お互いの家の鍵を持ち、親しく交流していたのでした。ある日、庭仕事をしていたアリスは、病気で学校を休んだマキシムが窓を乗り越えて猫を追おうとしているのを発見し、慌ててセリーヌを呼びに隣家に駆け込みますが、時すでに遅く、マキシムは転落死してしまいます。セリーヌは悲嘆にくれ、アリスがすぐに直接助けなかったことを責めます。

アリスは、親しかったセリーヌの行動に恐怖を感じ始めます。セリーヌはテオの大事にしているウサギの縫いぐるみをマキシムの棺に入れたり、またそれを謝って和解したりと、疑惑と和解を繰り返しながら、両家の交流は続きます。ある日テオの誕生パーティーに出席した心臓の弱かったシモンの母が、急に具合が悪くなり息を引き取りますが、セリーヌの行動に疑いをもったアリスは、夫には黙って母を解剖。これが露見すると、夫は妄想のせいだとアリスを責めます。セリーヌは表向きは平静を装いながら、隣家の子供のテオを我が子のような目で見るようになり、それがアリスの疑惑を増幅します。ざわつきながらも気遣いつつ交流を続けてきた両家ですが、シモンも限界を感じ、2週間後に引っ越すことにしました。

引っ越しの話をセリーヌに語った夜。セリーヌはダミアンから、今後はもう隣家との交流を絶つべきだとセリーヌに提案。テオとの時間が無くなるのが耐えられないセリーヌは、その夜ついに自殺に見せかけてダミアンを殺害してしまいます。独りになったセリーヌはアリスの家に身を寄せますが、引きこもってしまい、ある夜ついに、事故を装ってアリス夫婦をガス中毒死させ、テオだけを守りました。そして審判の結果、セリーヌはテオを養子として迎え入れ、浜辺で二人で実の親子のように戯れあう姿があったのでした。



母親たち

表向きの平静を装い、美しい音楽と映像で彩られるこの映画は、後味の悪い映画の典型とも言えるような結末を迎えます。それも落ち着いた静かな雰囲気で迎えます。バッドエンドとしてある程度は思いつくようなラストながら、誰も描こうとしない、あるいは見たいと思わないラストを、映像化してみせましたという感じでした。その他は、それほど特筆するところのないような平凡な作品に見せていますが、こういうラストを敢えて見せられると、印象に残らざるを得ませんという感じでした。セリーヌの常に平静を装うさりげなさと、アリスの正常と狂乱の繰り返しぶり。二人の女優の演技は見事で、マグリット賞では主演女優賞を争いました。

二人の関係を対立させていく一つのポイントが、テオの子供特有のイノセンスさです。しかし、これは少しやり過ぎというか、もう少し分別があれば、こうはならなかっただろうという点も多々あります。このあたりがこの映画が不自然に見えてしまうところかもしれません。しかし、隣家との付き合いということについてては、2017年も、「隣の影」というアイスランドの映画(これもアイスランドのアカデミー賞である、エッダ賞を席捲)がありましたが、あちらも最後は殺人事件に発展してしまっており、静かな確執が離れられないという位置関係にあるだけに蓄積して行き、最後に爆発してしまうという、世の中では普遍的な事のようで、集めてみると一つのジャンルになるのかもしれません。

さて、マグリット賞とはベルギーで2011年に創設された、ベルギーのアカデミー賞にあたる賞で、この作品は2020年2月に発表された10回目のマグリット賞を席捲しました。作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、撮影賞、作曲賞、録音賞、編集賞の9つの賞を受賞。主演女優賞はこの映画から2人ノミネートされたので、落選はその一つだけ。パーフェクトです。ベルギー製作映画と言う、それほど広くない範囲ではありますが、この作品はよほど本国ではセンセーショナルだったのでしょうね。

2020.2.29 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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