FC2ブログ

「ラブレス」 初冬のロシアでの捜索の緊張感と破綻した夫婦

スピャギンツェフの作品、しばらく見ていませんでしたが、新作出ていたのですね。気づきませんでした。評判につられて「父、帰る」を見たのは2004年。それから「Leviathan」まで飛びました。今回はそれ以来です。前作の雰囲気はかなり気に入っているので楽しみです。2017年のロシア映画で、カンヌ映画祭では審査員賞を受賞しました。

あらすじ
12歳のアレクセイ(マトヴェイ・ノヴィコフ)のは、両親に一流企業で働く父のボリス(アレクセイ・ロズィン)と高級エステで働く母のジェーニャ(マルヤーナ・スピヴァク)を持ち、マンションで暮らしていまし、既に両親はそれぞれ不倫相手を持ち、夫婦関係は破綻して、離婚協議中でした。ボリスには若い恋人マーシャ(マリーナ・ヴァシリイェーヴァ)は既に妊娠中で、一方ジェーニャにも年上の裕福な恋人アントン(アンドリス・ケイシス)がいました。諍いの絶えない二人は、さっさと離婚し新しい生活を始めたいと思っていますが、問題はどちらがアレクセイを引き取るか。双方とも引き取りたがらず押し付け合います。顔を合わせるたびに激しい口論を繰り返し、アレクセイはその様子を泣きながら耳にしていました。

ある日、アントンの家から夜遅く帰宅したジェーニャは、翌朝学校からアレクセイが2日も学校に来ていないとのことを知らされ、ボリスに連絡しますが、最後にいつ会ったかも曖昧で、警察に相談しても取り合ってくれず、市民ボランティアに協力を依頼します。コーディネーター(アレクセイ・ファティフ)は沢山のボランティア救助隊を動員してアレクセイの捜索を開始。父母も捜索隊とともに捜索に加わりました。訪ねたジェーニャの母親からは、別れて中絶しろと忠告したのにと怒鳴られ、帰りの車中でも口論になり、ボリスはジェーニャを車から放り出し、置き去りにします。

アレクセイの捜索は、手がかりをたどって進めていきましたが、アレクセイの上着を見つけただけで一向に進展せず、雪の降る中で不安は増していきました。そんな中で、警察よりの連絡で訪れたのは死体安置所でした。身元不明の少年の遺体の確認をした瞬間、泣き崩れるジェーニャ。遺体はアレクセイではないと言い張ります。ジェーニャはボリスに当たりますが、ボリスも泣き崩れます。数年後、ボリスはマーシャとの幼い我が子を無造作に扱い、ジェーニャもまた抜け殻のようにアントンと過ごしていました。テレビではウクライナの市民暴動を鎮圧する様子が流れ、元夫婦は新しいパートナーと抜け殻のように生活を続けていたのでした。



ラブレス

久しぶりのズビャギンツェフの鑑賞でした。前回はLEVIATHANで、暗く救われない話でしたが、ただただ大自然の力強さに感じ入りました。今回もまた救われない話。父と母の徹底した憎悪の中での子供。この子供にはもう行き場がありません。捜査活動中も、お互いの新しいパートナーと生活する二人。父にはすでに妊娠後期の若いパートナーがいる状況です。母親も毎日ベッドでパートナーと暮らしています。アレクセイの居場所はもうどこにもないという状況をどんどん突き詰めていきました。

安置所の遺体はアレクセイだと明確に説明されません。しかし、雪の降る季節で、これだけ長い間どこにも現れない子供は、やはり絶望的とも言えるので、安置所での確認結果はどちらでも同じ状況ではあります。ただ、父母は明確に答えられなっかただけ、と解釈します。アレクセイは、父母のそれぞれのパートナーとの様子は、詳しくは知らされてなかったかもしれませんが、どちらも引き取ってはくれないことは感じ取っていたのでしょう。

この映画を観ていると極度に人間不信になってしまいます。愛だの恋だのといろいろ語りながらも、人間の本質は変わらない。一時燃えることがあっても、この二人は結局新しいパートナーとの円満な家庭は築けないエゴイストなのでした。最後にウクライナ紛争と、そしてルームランナーで走る母親のジャージはロシアチームのもの。ウクライナをいじり倒して、一人飄々とルームランナーを駆けているのが、ロシアということになりますか。終始ゆっくりした展開ながら、緊張感をひと時も切らせない力強さが素晴らしい映画でした。久しぶりの重い映画に、ずっと見入ってしまいました。

2020.02.23 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR