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「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー」 女子大生の援交取材と仮面家族

ジュリエット・ビノシュの名前に惹かれて見てしまいました。日本ではDVDスルーの作品。ポーランドの女流監督マルゴスカ・ズモウスカの作品。最近、ベルリン国際映画祭で受賞を重ね、活躍中です。この映画は、ヨアンナ・クーリグがポーランドの映画賞で、助演女優賞受賞というのが唯一の受賞のようです、2011年の、フランス・ポーランド・ドイツ合作の作品です。

あらすじ
「ELLE」の記者アン(ジュリエット・ビノシュ)は、ここのところ記事の完成に集中しています。それは、売春する女子大生のインタビュー記事でした。アンは大学生のローラ(アナイス・ドゥムスティエ) にインタビューしている時、ちょうどローラに予約の電話が入ります。以前、ローラは普通のアルバイトをしていましたが、忙しくて勉強する暇もなく、その時と比べると、時間も収入も余裕があり、元には戻れないと答えます。アンが、仕事で一番辛いのは何かと聞くと、ローラは嘘をつくことだと答えました。

アンは、女子大生のアリシア(ヨアンナ・クーリグ)に、インタビューに行きます。アリシアはパリの大学に入学した時、スーツケースを盗まれ、電話もできないほど困窮していました。 アリシアは最初の男性とは、いつもキッチンで過ごし、食事をして、ベッドに入るということを繰り返していました。そしてアリシアは、1ヶ月で理想の部屋を見つけ、その部屋で活動し始めます。アンとアリシアはウォッカを飲みながらインタビューをしていると、酒の力で打ちとけていきました。アリシアはある日、母が泊りに来て、高価でエロチックな服装を見つけ、アリシアを咎めますが、アリシアは無視して出ていってしまったようです。

アンは、夫・パトリック(ルイ=ド・ドゥ・ランクザン)との関係について、息子から仮面夫婦だと指摘を受けました。息子は学校を無断欠席しているらしく、そのことをアンはパトリックに告げますが、お互いにパトリックを叱れず、家族の間に微妙な距離感が漂います。女子大生たちの取材を終えたアンは、部屋に戻ると自慰を始めてしまいます。パトリックには、この家の男たちは、パソコンでポルノばかり見ていると詰め寄ります。アンは、パトリックの上司を招いての食事の日、美しく着飾り、パトリックはアンに近寄ります。そして、食卓につくとアンは、2人の女子大生が語った男たちが、食卓についていることを想像し、楽しくなりますが、現実に戻ると失望し、アンは席を外してしまいました。しばらくして戻ると、訪問客は既に帰っていて、アンの中座を責めるパトリックに、自分たちの為といいながらパトリックのズボンをおろして迫りますが、パトリックははっきりと拒否します。

ローラは、本当の名前はシャルロットで、ローラは仕事用の名前と言いながら、一瞬素顔を見せて立ち去ります。そして翌朝、アンと家族たちは、何もなかったように、仮面家族生活を始めているのでした。



ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー

題名が長いし、そしてこれがラヴァーズなのか?と思いますが、まぁ小文字の部分が多いのでいいとして…。この映画の雰囲気は私は好きです。内容は、ELLEの雑誌記者である、ジュリエット・ビノシュが、援交を行っている2人の女子大生たちにインタビューし、影響された彼女自身は、現在の生活の空虚さに気づいていくというものでした。それぞれの大学生の様子は、ありがちな話ではありますが、その一言で片付けていいものでは無いとは思います。エロスの表現はなかなか面白く、男たちのどうしようもなさと、この仕事の悲哀も十分に表現されていて、女性監督ならではの繊細さも備え、見ごたえのあるものでした。

一度だけ出てくる、病床の父を見舞いに行くシーン。そのベッドに横たわる父が、年をとるとだんだん死を意識するようになるが、実際はそれまでの時間が長く、生き続けなければならない、といったことを話します。その言葉が、最後の空虚な仮面家族の光景に重なっていきます。前の日に、新たな家族の再構築まで願っての、ジュリエット・ビノシュの夫へのプロポーズが受け入れられなかったという状況の中で、その翌朝の家族は、このあとは死ぬまでの長いカウントダウンの中で、ひたすら空虚に生きるだけだということを感じ、しみじみと幕を閉じました。

メインの女子大生のインタビューは、2人の性格の違う生徒が、最初は生活の為、そしてリッチに暮らすために始めた売春から抜けられなくなり、金銭面や自由な時間という意味ではうまくいっても、心に闇を抱えながら生活していかざるを得ない様子を、純を追って描いていきます。特に苦悩の話の部分については、ビノシュが彼女たちと、より親密にならないと聞き取れなかったような内容でしょう。そして、それを聞いたビノシュは、自分の生活を顧み、子供からもストレートに仮面夫婦と言われる現実を再認識。夫の上司を招いたディナーで、着飾り脱却を図るわけですが、残念ながら拒絶されてしまったのでした。

そして、全体的な雰囲気の中で、やはり若いことは、リスクもあれば可能性もあり素晴らしい。男も女もだんだん年を取っていけば、死へのカウントダウンを感じ、昔のようにもう一回華をと思っても、限定的なもので、体も世間も言うことを聞かないという状況になってしまう。そのようなことを身につまされるように感じてしまいました。裏返せば、お互い愛情のある家庭を作り上げることが、いかに大切かということだと思います。

ベートーヴェンの交響曲7番の第2楽章、なかなか雰囲気が映像にマッチしてますね。

2020.1.8 HCMC自宅にて、Amazon Primeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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