FC2ブログ

「魔術師」 ベルイマンのストーリー展開の力強さを感じる

イングマール・ベルイマンの名作映画の鑑賞です。魔術師は1958年の映画で、1959年のヴェネツィア国際映画祭のコンペティションでは、審査員特別賞を受賞しています。その他ニューシネマ賞とPasinetti賞も受賞しました。ベルイマンの映画は、いつもなかなか手ごわいので、ちょっと構えた感じで、心して鑑賞しました。

あらすじ
魔術師の一座、魔術師ヴォーグレル(マックス・フォン・シドー)、祖母(ナイマ・ウィフストランド)、助手のアマン(イングリッド・チューリン)とシムソン(ラーシュ・エクボルイ)、司会のテューバル(オーケ・フリーデル)の5人が、森の中を進んでいくと、倒れている男を見つけました。その男はアル中の元役者(ベント・エケロート)で、助け起こして馬車に乗せますが、途中で死んでしまいます。馬車は町に入る前に、領事の館へと連れていかれます。館には、領事(エルランド・ヨセフソン)、警察署長(トイヴォ・パヴロ)、医師(グンナール・ビョルンストランド)が待ち構えていました。彼らは魔術興行がまやかしであると怪しみ、特に医師は、超常現象はあり得ない事と考えていました。署長は、翌日の昼間に魔術を披露する条件で興行を許可するとし、一座は館に宿泊することになりました。

その夜、テューバルは、館の料理番のソフィーア(シフ・ルット)を誘惑し、シムソンもメイドのサラ(ビビ・アンデショーン)をものにします。そして死んだはずの元役者が、一旦蘇生して皆を怯えさせ、本当に死んでしまいました。翌日、館では魔術が披露され、署長は一度は仕掛けを暴いて一座を笑いものにしたものの、ヴォーグレルは次々と魔術を披露し、逆に署長を笑いものにします。しかし、魔術に導かれた館の使用人(オスカー・ジャング)が、ヴォーグレルを殺してしまい、医師が検視をすることになりました。いざ検視にかかると、ヴォーグレルが医師を翻弄し始めます。ヴォーグレルは、役者の死体とすり替わっていたのでした。

混乱の中で、再度警察署長に見とがめられる前にと、一座は早々に出発しようとします。テューバルはソフィアと生活する為、祖母は十分金が貯まったということで一座を離れ、代わりにサラがシムノンについていくことになりました。しかし、サラの支度が遅いせいで、署長が現れてしまいます。署長は再び館に一行を導くと、国王の前で魔術を披露するようにと、命が下り、一座は華々しく出発するのでした。



魔術師

ベルイマンの映画という事で、少々難しい映画というイメージで見始めたのですが、なかなか面白いという部類の映画でした。ラストはなんかフェリー二みたい。雰囲気はちょっと違うけど、ただこの音楽が…。そして、このプロの魔術師のパワーがすごかったです。そして、ラストに向けての豹変ぶり。いったい彼の本当の性格やパワーはどこまであるのだろうかと思うほど、いろんな性格を演じておりました。このいろんな仕掛けは前日に仕込んでおいたのだろうか…。凄すぎる。

舞台となったこの館の人々の、一人一人の性格描写も秀逸です。魔術や呪術を信じる者や、科学以外を一切拒絶する医師。ご都合主義の警察署長。そして、いろんな性愛を語り実践する男女。権力には逆らえない上流階級と、そんなものには頓着しない、常に反骨で生きる下層の劇団。一夜の劇に本当にいろんなものが詰まっていました。それらの要素が緊密に交錯し、構築されている感じです。ベルイマンの映画は、このスタイルがすべてではないと思いますが、この力強い表現力は素晴らしいと思いました。

やはり、魔術師を演じるシドーの熱演ぶり。まさに、性格俳優とはこういうものだという感じで、演技の変化も面白い。髭ありの時と、髭なしの時と。そして、媚薬を売るおばあさんがアクセント。性愛がこの世で一番売り物になるらしい。なるほど、それはわかります。また、ビビ・アンデショーンは、奔放で冒険を求める開放的な女性を楽しく演じています。そして、この時代のパワーも感じます。戦後の1950年代は、映画にとっても幸福な時代だったのだとしみじみ思いました。日本では黒沢明とか、映画大国でない国から出てきた映画のパワーを感じました。

ウディ・アレンはベルイマンを知らない人に勧める5作品のうちの1つとして『魔術師』を挙げた。とWikiに書いてありました。それで、そのTIME誌の記事を見てみると、「第七の封印」「野いちご」「魔術師」「叫びとささやき」「仮面ペルソナ」…。いやま、そうですよねという感じでした。

2020.2.18 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR