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「郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)」 上映禁止となったヴィスコンティ初監督作品

有名なケインの小説である、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は、何度か映画化されていますが、これは最初のもの。ただし、無許可で翻案した形のようです。そして、ルキノ・ヴィスコンティの初監督作品であるこの映画。かつて読んだ小説を思い出しつつ、じっくり楽しみました。1943年の映画になります。
原題:Ossessione

あらすじ
河沿いでレストランを経営する、ブラガーナ(ジュアン・デ・ランダ)とその妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)のもとに、トラックの荷台に無断で乗り込んでいたジーノ(マッシモ・ジロッティ)が転がり込んできました。ジョヴァンナは、年の違う夫との生活に希望を見いだせず、退屈な日々を送っていたため、一目でジーノに魅せられてしまいます。ブラガーナが家を空けたすきに、二人はすぐにベッドに向かい、数日後二人は駆け落ちを決意するに至りました。

主人の留守中に駆け落ちを決行してみた二人ですが、ジョヴァンナは安定した生活にも未練が湧き、途中で引き返してしまいます。一人で汽車に乗ったジーノは、汽車の中であった行商人と知り合い、2人で気ままに商売をしながら旅を続けることにしました。ある日、偶然街にやってきたブラガーナ夫妻は、ジーノと再会。再び一緒に働くことになった彼らは、三人でブラガーナのレストランに戻ることにします。その帰路、酔ったブラガーナをジーノとジョヴァンナは事故死に見せかけて殺害してしまいました。

警察の取り調べをかわした二人は、店を改装し平穏な生活に戻ろうとしますが、ジーノにとっては不安に苛まれる毎日となってしまいます。耐え切れず町に出たジーノは、一人の売春婦に魅力を感じ入りびたるようになります。一方警察は捜査を続け、二人が犯人だと断定するに至り、追跡を開始します。これを察知したジーノはジョヴァンナが売ったのだと疑いますが、ジーナの子供を授かったとジョヴァンナから告白され、ジョヴァンナのジーノを想う本心をしると、レストランを放棄し、二人で逃避行を始めました。幸せに見えた逃避行もつかの間、ジーノが運転を誤りトラックと衝突。崖下に車は落下し、ジョヴァンナは亡くなってしまったのでした。



郵便配達は二度ベルを鳴らす 1943

ルキノ・ヴィスコンティの初監督作品で、ネオレアレズモの先駆的作品と言われています。ケインの小説の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を原作としているようですが、無許可で製作し、題名も「強迫観念」を意味するイタリア語になっています。これは、ジーノがブラガーナを殺したことの罪悪感の表現からくるものでしょう。ともかく、こういった経緯もあって、イタリアでは数日で上映中止になったとの事です。内容と時代背景もあったのではと思います。

主要なテーマは、ジーノとジョヴァンナの心の動き。夫との生活に不満が募るジョヴァンナは、ジーノと出会い相思相愛に。駆け落ちを決行しますが、安定した生活を捨てられないジョヴァンナは一人で帰宅。しばらくして偶然出会った二人は再び愛を確認し、こんどは夫を事故に見せかけて殺害。その後、水を得た魚の様に店を盛り上げるジョヴァンナと、精神の呵責と警察の捜査を恐れて落ち込み、酒におぼれるジーノ。ジョヴァンナはジーノが売春婦と付き合い始めたことから、ジーノを警察に売ると脅迫。しかし、実際は売らずジーノに妊娠を告白。今の生活は放棄しジーノを選ぶジョヴァンナと、警察が迫り逃げ出さざるを得ない二人は…。

というような、不倫と犯罪からむ2人の物語が、状況や時間に翻弄されながら二転三転し悲劇を迎えるお話で、原作に準拠しているといえばそうなんですが、犯罪小説に寄った形から、男女の愛情の揺れを描き出していく物語に作り上げたような雰囲気です。この当時のイタリアの風景。農村風景の埃っぽい風景や、都会の喧騒までの描き方はネオレアリズモの先駆と言えるのでしょうが、時節柄、ムッソリーニ政権によりネガが廃棄されたというのも、無許可という以上に当時の情勢の中では内容自体に問題があったということでしょうか。いずれにしても、イタリア映画らしい雰囲気を持った愛憎劇で、私がイタリア映画らしいと感じる要素のルーツはこのあたりの表現にあるのかなという気がしました。

2019.12.21 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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