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「キューポラのある街」 みんなで成長していく時代だった

名作として名前だけは聞いたことある映画だったのですが、見る機会がありませんでした。この映画が製作されたのは、ちょうど私が生まれた年のあたりで、当時の情景もいろいろと楽しみです。1962年の浦山桐郎監督の作品。日活の製作です。実はこの映画は、カンヌ映画祭に出品され、最高賞のノミネートだったのですね。

あらすじ
埼玉の川口市は鋳物工場が多くある街でした。ある日辰五郎(東野英治郎)の勤める工場が買収され、職人気質の辰五郎は解雇されてしまいます。辰五郎には妻のトミ(杉山徳子)と娘のジュン(吉永小百合)、二人の息子タカユキ(市川好郎)とテツハル(岩城亨)が暮らす5人家族で、ちょうどその日に、トミは4人目の子供を出産したのでした。同僚だった塚本(浜田光夫)は、集めた餞別を渡し、労働組合にかけあうと言いますが、昔気質の辰五郎は組合を忌避し、餞別も返してしまいます。そして酒におぼれ始め、やがてタカユキは喧嘩して家出してしまいます。

タカユキは、子分で朝鮮人のサンキチ(森坂秀樹)の家に世話になり、ジュンも修学旅行と高校進学のために、サンキチの姉ヨシエ(鈴木光子)の紹介でパチンコ屋でアルバイトを始めます。そして、ジュンは同級生のノブコ(日吉順子)に勉強を教えていましたが、そのノブコの父親のコネで辰五郎の再就職が決まります。喜ぶ家族でしたが、オートメーション化された鋳物工場で居場所が無く、半月ももたず辞めてしまい、一家は再びどん底に落とされ、母も飲み屋で働くようになっていました。修学旅行の旅費はなんとか学校から借りたものの、ジュンは当日の汽車に乗らず、町で母が飲み屋で男たちに酒を注ぎながら騒いでいる姿を見てしまい、ショックを受けてしまいました。

サンキチは、父と姉と一緒に朝鮮へ帰ることになり、ジュンや塚本も見送ります。そして、ジュンは工場に就職し、定時制に通うことにしました。その時塚本が辰五郎が古巣に戻る話を持ってきて、ジュンに普通高校への進学を勧めますが、ジュンは一度決めたことだと言って定時制に通うことを通します。朝鮮に帰ったはずのサンキチが一人で母(菅井きん)に会いたくて戻ってきましたが、母はすでに再婚していなくなっており、辰五郎の一家に笑顔が戻り、母にも会えず、朝鮮に帰る決心がついたサンキチが乗る汽車を、ジュンとタカユキが跨線橋から見送るのでした。



キューポラのある街

高度成長時代。みんなで成長していく時代という言葉が、この時代の雰囲気を伺わせます。吉永小百合は当時17歳ですか。年相応の役ですが、着ている服の為か、幼児体型に見えます。東野のお父さんも熱演。昔気質だが、時代についていけず不甲斐ない役です。でもこれは、時代が変わる中で精いっぱい生きているということと思いました。朝鮮人の帰国事業も、その後の歴史を考えると寂しい限り。その後この人たちはどうなったのかと思ってしまいました。それにしても、菅井きんは変わり身早すぎです。

鉄道がすごいと思いました。飛んで埼玉の導入を思わせるスタートですが、東北本線の列車が手を変え品を変え次々と現れます。客車急行、80系の電車準急、最新鋭のキハ58系の気動車急行、貨物列車、団体列車などなど。いろいろな車両が映し出されました。さすが、川口という立地です。そして、極めつけはラスト近くで、長~い貨物列車の最後尾に連結された、キハ58系2両の回送が映し出されていました。これは偶然なのでしょうか。しかも吉永小百合の背景です!

さて、世相もいろいろ、組合も成長している時代でしょう。定時制高校は、この頃は昼間に職を持つ生徒の需要が旺盛だった時代と思います。中卒は金の卵と言われていました、まさに、みんなが成長を目指しているという時代背景が良く解ります。いろいろ盛りだくさんで、全体が綺麗にまとまりすぎといった感じもありますが、それぞれのエピソードが真摯で素晴らしく、飲み屋で働くことや、修学旅行のことなど、皆が貧困から抜け出し成長を目指す時代の息吹が詰まっていると思いました。そして、そういう時代を過ごしてきたんだと改めて感じます。演出、演技も素晴らしい名作だと思ますいます。

2019.12.14 自宅にてNHKBS Premiumよりの録画鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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