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「忘れじの面影」 ツヴァイク原作、一途な女性の悲恋の物語

忘れじの面影は、オーストリアのユダヤ人作家ツヴァイクによる小説「未知の女からの手紙」の映画化作品です。1922年の短編小説集に含まれているもので、何度か映画化されました。原題は、映画も小説も"Letter from an Unknown Woman"で、邦題は創作です。1948年のアメリカ映画で、マックス・オフュルス監督の作品です。

あらすじ
あるウィーンの夜。ステファン・ブラント(ルイ・ジュールダン)は、不利な決闘を挑まれ夜逃げの準備をしていると、リザ(ジョーン・フォンテーン)という女性からの手紙が届いていました。そして、ステファンはその手紙に目を通し始めます。

リザは少女時代に母(マディ・クリスチャンス)と住んでいたアパートの隣室に、天才ピアニストのステファンが引っ越してきます。リザはステファンに心を奪われ、毎日ピアノを聞くのを楽しみにしながら過ごしていました。ステファンとの接触はただ一度。アパートの入り口のドアを支えた時に、短く言葉を交わしたときだけでした。やがて母が再婚を決め、リザは再婚相手の住むリンツに引っ越すことになります。

成長したリザはリンツでの縁談を断り、ウィーンに一人で戻ります。そして、ピアニストとして成功して絶頂のステファンと再会しますが、ステファンはかつてのリザのことは覚えていず、偶然出会った恋人の様な一晩を過ごしました。しかしその後ステファンは2週間の予定でミラノに演奏旅行に旅立ち、それきり帰ってきませんでした。リザは妊娠しており、男の子を産むと、ステファンを待ちきれず、ヨハン(マルセル・ジュルネ)と結婚。ある日、リザはオペラの演奏会でステファンと再会してしまい、リザの心は乱れます。ステファンはピアノをやめ、リザのことも思い出せませんでしたが、夫との離婚を覚悟でステファンの家に会いに行くと、そつなくリザに好意を語るものの、リザの事を思い出せず、彼女は幻滅してステファンの元を去りました。その直後、息子を汽車で送り出すリザですが、汽車でチフスが発生し、息子は死亡。リザも感染していました。

手紙はリザが死んだのちに病院から送られてきたものでした。召使のジョン(アート・スミス)は、自分はリザを覚えていたとステファンに伝えると、ステファンは夜逃げをやめ、決闘の場に向かっていくのでした。



忘れじの面影

一通の未知の女からの手紙によって語られる構成の物語。短編小説という形式にピタリとはまった物語です。ストーリーはメロドラマ度がMAXなので、映画としてもいい題材になるお話だと思います。問題は、それほど二人のエピソードを織り込めない為に、90分のストーリーをどうやって作るのかということと思いました。なぜなら二人の会合を多くすればするほど、覚えてないということが不自然になるか、ステファンが超遊び人でどうしようもない男になり、興を削いでしまうか、ということでは無いかと思いました。この映画はギリギリまで会ってはいますが、普通に考えると覚えていないことに不自然さを感じてしまいます。観客はステファンのような遊び人ばかりではないので、普通に受け入れづらい線があると思います。

ジョーン・フォンテーンは素晴らしいです。この頃が映画出演の絶頂の時代ですね。前半はあまりアップが無いように感じますが、演技で若々しさを見せ、成長して色っぽくなった後半はアップが増えてくるような気がしました。さすがに13歳の役柄をアップでというのは厳しかったのでしょうか。音楽もいいですね。タイトルバックはオーケストラだったので、聞いたことあるけど何の曲だっけ?という状態になっていましたが、あとでピアノでしっかり演奏されます。リストの「ため息」ですね。そのほか、魔笛なんかも出てきました。メロドラマの音楽としてもピタリでした。

ツヴァイクのこの小説は、2004年に「見知らぬ女からの手紙」が、中国のシュウ・ジンレイ監督により製作されています。舞台を中国に映し、内容はほぼ原作に準拠しているようです。 日本公開は、このくらいかなと思いますが、IMDbで検索するといくつか出てくるようですが、プロットを利用した翻案もあると思います。ずっと思い続けていた女性から手紙で死の直前に知らされるという設定は、いろいろ膨らませることができるでしょう。気に留めておいて、他の作品もいつか見てみたいものです。

2019.12.8 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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