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「嵐が丘(1992)」 原作のストーリーを忠実に再現した愛憎劇

エミリー・ブロンテの唯一の小説である嵐が丘は、世界の十大小説とも評される名作文学です。映画化された回数もかなり多く、その激しい内容が人々を引き付けています。今回見たのは、1992年製作のイギリス映画で、監督はピーター・コズミンスキー、主演はジュリエット・ビノシュによるものです。

あらすじ
荒野を行くエミリー・ブロンテ(シンニード・オコナー)が朽ちた屋敷を見て、どんな物語があったのか想像する。そんな彼女の語りで物語は始まります。

ロックウッド氏(Paul Geoffrey)は嵐の中で道に迷い、嵐が丘の屋敷にたどり着きました。主人から宿泊を断られますが、少女に誘われ古びた部屋を与えられます。嵐は吹きすさび、突然窓が割れると、若い女の亡霊が現れるのでした。これは、そこに住む住人たちの物語なのです。

昔、嵐が丘には、主人のアーンショー(ジョン・ウッドヴァイン)、アーンショー夫人、その子供のヒンドリー(ジェレミー・ノーザム)とキャシー(ジュリエット・ビノシュ)が住んでいました。ある日主人は外出先から身寄りのない男児を連れて帰り、彼をヒースクリフ(レイフ・ファインズ)と名づけて自分の子供のように可愛がります。ヒースクリフはキャシーと仲良くなりましたが、アーンショー氏が死ぬとヒンドリーが継ぎ、彼はヒースクリフを下男にし、教育も受けさせず虐げました。それでもヒースクリフとキャシーは仲が良いまま、お互いに恋心を抱きます。ある日2人は近くのリントンの屋敷を覗きに来ていました。リントン(Simon Ward)、リントン夫人、その子供のエドガー(サイモン・シェパード)とイザベラ(ソフィー・ウォード)が住んでいました。キャシーは優雅な暮らしが羨ましく覗いていましたが、家人に見つかって逃げるときに足を怪我してしまい、その家でしばらく世話になると、ヒースクリフを必要としつつも上流に憧れを抱いていたキャシーは、エドガーの求婚を受けてしまい、失意のヒースクリフは姿を消してしまいます。

ヒースクリフは裕福になり、復讐の為戻ってきます。ヒンドリーの妻は子供のヘアトン(ジェイソン・リディングトン)を出産した後亡くなり、嵐が丘では父子とメイドのエレン(ジャネット・マクティア)の生活でした。妻を亡くし荒れた生活を送っていたヒンドリーはヒースクリフとの賭けに応じ、嵐が丘をそっくり奪われてしまいます。嵐が丘の主人となったヒースクリフはヘアトンを下男にすると、エドガーとキャシーの住む屋敷を訪れます。心の中でキャシーへの愛と憎悪がせめぎ合うヒースクリフは、イザベラを篭絡し結婚します。しかし、二人の間に愛はなく、妻を虐待する日々でした。イザベラは嵐が丘を離れ、一人でリントン(ジョナサン・ファース)を出産します。ヒースクリフはキャサリンと密会を続け、愛と憎悪をぶつけ続ける中でキャシーは病に伏し、娘のキャサリン(ジュリエット・ビノシュ二役)を産むと亡くなってしまいました。

リントンの屋敷ではエドガーとキャサリンの生活となり、キャサリンは瑞々しい女性に成長した時、嵐が丘に迷い込むとヒースクリフと出会います。キャシーそっくりに成長したキャサリンを見たヒースクリフは、エドガーへの復讐として、母が亡くなって帰ってきていた病弱のリントンと結婚させ、病弱なリントンとすでに衰弱しているエドガーの死を待ちます。しばらくすると二人とも亡くなり、ヒースクリフはついにエドガーの屋敷と財産をも手に入れることに成功しました。嵐が丘では、ヒースクリフとヘアトン、キャサリンそしてエリンの生活になりましたが、やがてヘアトンとキャサリンの間に愛が芽生え、新しい時代が始まる中で、ヒースクリフはキャシーへの思いに苛まれながら亡くなり、本来の持ち主に戻った嵐が丘にはヘアトンとキャサリンが仲良く駆ける姿があったのでした。



嵐が丘 1992

原作小説の嵐が丘のあらすじを参照する限り、ほぼストーリーのすべて描き出していると思います。内容としては、凄まじいまでの愛憎劇で、愛憎紙一重という言葉では言いきれないくらいの重厚なもの。濃厚なラブストーリーともいえる作品になっていて、ここまでのストーリーと表現はなかなかお目にかかれないものと思いました。坂本龍一の担当した音楽も感動的で、大河ドラマの音楽のような雄弁さは、日本人にとっても身近なもの。何となく伊福部さんの音楽を思い出しながら、四谷怪談みたいな愛憎劇を感じてしまいました。

特異な風景も美しく、その荒涼とした風景が人物像とマッチしていきます。お互いに相手を必要とし愛しあう一方で、憎み合う二人。それぞれ無くてはならない人ではありながら、過去の深い傷から相手に譲れない心。そして、長い二つの家族の物語の中で、全員が二人の愛憎に翻弄されていきます。それによって心や体を病み、死んでいった人々。二人の霊が彷徨っていると言いますが、浮かばれないのは巻き込まれた人たちでしょう。その様子を見続けたエレンは観察者として最も登場人物の姿を理解した人物として描かれていました。

レイフ・ファインズとジュリエット・ビノシュの競演。レイフ・ファインズは猟奇的なまでの凄まじい態度と表情を見せます。対するジュリエット・ビノシュは常に美しく悩み多い姿です。人物構成は一見複雑ですが、映画の展開が解りやすく、すんなり入り込めてはいけました。こういう物語では大切なことだと思います。愛憎の物語を強調しながら、原作に忠実にストーリー全体がよく表現されており、その物語のパワーで惹きつけられ、画面から目が離せない映画でした。

嵐が丘については、1920年代からたくさんの映画化作品がありますが、それぞれにいろいろな工夫がなされていると思います。この激しく技巧的な物語をどう表現しているのか、大変興味が湧いてきます。そして、この映画はストーリーを理解する為にもいいお手本になるのではないかと、現時点では考えています。

2019.12.8 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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