FC2ブログ

「誰もがそれを知っている」 登場人物の整理に苦労しました

イランのアスガル・ファルハディ監督によるスペイン映画です。2018年の映画で、カンヌのコンペティションでプレミア上映されました。ファルハーディー監督の映画、最近ではセールスマンを見たのですが、人間模様の描写が素晴らしく、今回も期待しての鑑賞です。

あらすじ
ラウラ(ペネロペ・クルス)は、娘のイレーネ(カルラ・カンプラ)と、幼い息子ディエゴ(イヴァン・チャベロ)を連れて、妹アナ(インマ・クエスタ)の結婚式のため、アルゼンチンから故郷のスペインにやってきました。ラウラは、父アントニオ(ラモン・バレア)や、ホテルを営む姉のマリアナ(エルビラ・ミンゲス)とその夫フェルナンド(エドゥアルド・フェルナンデス)、その娘ロシオ(サラ・サラモ)たちと、再開を喜びます。結婚式にはラウラの幼馴染で元恋人のワイナリー経営者パコ(ハビエル・バルデム)と、その妻ベア(バルバラ・レニー)も参加し、ベアの勤める更生施設の少年たちが撮影係を務めました。しかし、結婚式の後のパーティーで、イレーネが停電の中、姿を消していまします。

翌日、ラウラのもとに誘拐犯から脅迫メールが届きました。ラウラたちは、フェルナンドの知人で元警官のホルヘ(ホセ・アンヘル・エヒド)に相談すると、ホルヘは身近な人物の仕業ではないかと推測します。やがて誘拐犯から身代金を要求するメールが届き、ラウラの夫アレハンドロ(リカルド・ダリン)も駆け付けてきました。しかし、今は到底払える金額ではありませんでした。その頃、パコは農場を売ろうと考えていました。ラウラはイレーネの実の父はパコだったと告白し、農場を売るように頼みます。パコは売る決意を固めますが、ベアはラウラに騙されていると反対。誘拐も土地目当ての狂言ではないかと疑い始めました。ベアはラウラを訪ね、金が欲しくて嘘をついているなら、アレハンドロにこのことを話すと迫りますが、ラウラは夫はこのことを知っていると答えます。

ホルヘは、なぜ幼いディエゴでなくイレーネなのかを疑問に思い、パコの存在から内部事情に詳しい者の犯行と断定します。イレーネの父の件は、実は誰もが知っていたのです。パコは、ベアの反対を押し切って農場を売ってしまいます。夜になって、ロシオは密かに、森の廃墟へと向かっていました。そこには、ドイツに仕事を探しに出たはずのロシオの夫ガブリエル(パコ・パスター・ゴメス)の姿がありました。ロシオ夫婦が、誘拐犯だったのです。ガブリエルはロシオの頼みで、イレーネを翌朝に開放することに決め、ロシオは自宅に戻ります。しかし、マリアナはロシオの靴に泥がついているのに気づいてしまいます。翌朝、イレーネから電話を受けたパコは、金を持って指定された場所に向かい、交換にイレーネを連れ戻しました。ラウラはイレーネを抱きしめ、アレハンドロはパコに必ず金は返すと約束します。しかし、パコの家にはもうベアの姿はありませんでした。ラウラ一家はアルゼンチンへと戻っていき、フェルナンドは一家を見送ります。そして、居合わせたマリアナは、フェルナンドに真相を語り始めるのでした。



誰もがそれを知っている

最初は、なかなか物語に入っていけませんでした。登場人物がいっぱい出てきて、それも親類関係が複雑で、日本人にとってみれば、誰も髭を生やし、顔が似ている気がして、なかなか関係性や性格、役割が入ってきません。正直言ってこの手の一気にたくさんの登場人物が展開していくスタートは苦手です。そして、物語が展開して、犯人が解ってと続きますが、あれ、この人誰だっけ…という風になりました。順を追ってしっかり考えてみると、ああそうか、ということなのですが、頭がフル回転してしまいました。たぶん映画館で見ていると、もっとこの世界に集中できるので、そうはならないのでしょう。映画館で見るべき映画でした。

しかし、見終わってみればなかなか面白かったことは間違いありません。イレーネが誘拐されてから話は急展開していきますが、次々と微妙に変わっていく人間関係や過去の暴露話が噴出し、ついになかなか言えない告白まで。それが、静かな展開の中で突き刺すように語られていきます。このあたりは、ファルハディ監督の得意とするところと思います。ラウラの一族のおかげで、破壊されたてしまったのはパコの家族で、家庭も生活手段も破壊されてしまいました。そもそも血縁関係が無いこの家庭は今後どうなってしまうのでしょうか?

微妙なラストが決まっています。これもやがて誰もが知っている事実となって、ある時また亡霊のように表にでてくることでしょう。そのような、一族の中でのタブーと、疑心暗鬼になる心情を細かくとらえていて、大変よくできたストーリーになっていると思いました。テーストはセールスマンと同じで、家庭や人間関係の崩壊の瞬間を切り取っていく映画です。覆水盆に返らずという諺を、非情に映像化していくようなストーリーの中で、ペネロペ・クルスハビエル・バルデムの演技は良かったと思いました。この難しい心情の吐露を、いかにも自然に演じていて素晴らしいと思います。

2019.11.25 JL759 NARITA-HCMC にて機内鑑賞
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR