FC2ブログ

「ボーダー 二つの世界」 充実し意外な展開のファンタジー

日本に帰った時、新しい映画を見ようと思って決めたのがこれ。ちょうど時間の都合が良かったということもあります。カンヌのある視点部門グランプリ。なかなか面白い映画でした。2018年製作。イラン系スウェーデン人の、アリ・アッバシ監督による作品で、スウェーデン・デンマークの合作になります。カンヌでの上述の受賞のほか、オスカーではノミネートが一つ。その他多数の映画祭での受賞があります。

あらすじ
スウェーデンの税関職員ティーナ(エヴァ・メランデル)は、人の感情を嗅ぎ分け、違反者を摘発する能力がありました。しかし、人とは違う容姿のせいで、孤独や疎外感も抱えています。ティーナは森の中の自然に囲まれた家で暮らし、森を裸足で彷徨うのが日課。同居中のローランド(ヨルゲン・トーソン)は、犬の調教に夢中で、ティーナに養われながら浮気をしたりと、怠惰な日々でした。ある日、ティーナは男の荷物を確認して児童ポルノ動画を摘発、また、みすぼらしい服の男(エーロ・ミロノフ)を呼び止めますが、今度は何も発見できず解放しました。しかし、ティーナは、彼に何かを感じていたのです。休日には老人ホームの父(ステーン・ユンググレーン)を訪ねたりもします。

ティーナは、警官のアグネータ(アン・ペトレン)から、児童ポルノ作成者摘発の協力要請を受けます。後日、みすぼらしい服の男が再び入国。荷物検査では何も発見できず、身体検査で彼には女性器があり、腰に傷跡があるとの事でした。ティーナは自分も傷跡があることから不思議に思いつつ、男性に検査させたことを詫びると、彼は、自分はヴォーレで、虫を採集しており、ティーナの家の近くに泊まる予定だと話しました。その日、ティーナは隣人の産気づいた妻を病院まで送り、家ではローランドに求められますが、できないと跳ねのけます。自宅近くでヴォーレに出会った彼女は勧められて虫を食べ、離れを貸すことにします。そして、夜に一人で森に入ったヴォーレは横たわるとうめき声を上げ始め、股間から何かを産み落としたのでした。

ティーナは児童ポルノの捜査に同行し、アパートの一室から赤ん坊への性的虐待動画の入ったビデオカメラを発見します。また、ティーナとヴォーレは、隣人の生まれたての赤ん坊を見せられますが、大泣きされてしまいます。そして、ローランドの留守中、二人は森の中で激しく求め合うと、ティーナの股間から伸びた男性器をヴォーレの女性器に挿入されました。混乱するティーナに、ヴォーレは、自分たちはトロールだと答え、腰の傷跡は、尻尾を切除したあとだと説明します。トロールはフィンランドで放浪生活を営んでいるとのことです。両親たちは人間に捕まり実験材料にされ、子供たちは施設に入れられたとのこと。翌日老人ホームを訪れたティーナは、父親に問い質し口論になってしまいます。ある日ティーナは、ヴォーレの部屋の冷蔵庫から生きた赤ん坊を発見。冷蔵庫の中でも生きており、か細い声を発していたのでした。

赤ん坊への虐待で逮捕された男は、護送中に引きずり降ろされ殺されます。ヴォーレの仕業だと気づいたティーナは、冷蔵庫について問いただすと、自分の未受精卵のもので短命だと説明。未受精児を人間の赤ん坊とすり替え、児童ポルノブローカーに売っていたのでした。人間への復讐と語るヴォーレに、ティーナは激怒します。ティーナは、隣人の赤ん坊もすり替えられたことに気づき、ヴォーレを探すと、フェリーで待つと置手紙を残して姿を消していました。そして、フェリーで警官がヴォーレを追い詰めますが、彼は海へ飛び込み姿を消してしまいます。ある日ティーナが自宅へ戻ると、大きな木箱が送られてきました。中には尻尾がついた赤ん坊のトロールと、フィンランドのコミュニティーからの絵ハガキがあり、ティーナはむずかる赤ん坊にコオロギを食べさせると、機嫌を直して笑顔になり、それを見たティーナも思わず笑顔になるのでした。



ボーダー 二つの世界

上映時間帯が、ちょうど都合が良かったので見に行きました。もちろん、カンヌのある視点部門グランプリということで期待しての鑑賞です。最初は、国境の税関を舞台にした、外見が良くないけれど、特殊な能力を持った女性のサスペンスドラマかと思いましたが、いやはや意外な展開に…。かなり意表を突かれました。これは、ファンタジーだったのですね。そのあたりの展開が一段落して、二人の事情が分かってなんとなく終息感を迎えると、さらにもう一展開して山場が訪れました。

なるほど…。という感じで、ストーリーとしても大変面白かったですし、その上、トロールのメイクも凄い。久しぶりに面白い映画を見たという感じがしました。トロールといえば、自分の最初のイメージはやはりドラゴンクエストで、HPが高く魔法を使わない、体力勝負のモンスターというイメージです。この映画でも、かなり力は強そうな感じでした。そして、不純な物を感知する、特殊能力を持っていました。

全体として、サプライズなファンタジーという形をとりながらも、ボーダーという表題と併せていろいろと示唆するものも多く、善悪の境界や、人と妖精の境界、親子の問題、児童ポルノ、異形の人と周囲の反応などなど、いろいろと思い起こさせるものの多い映画です。ある視点と言わず、様々な視点で見られる映画だと思いました。今年見た映画の中でも傑作の一つです。

2019.11.24 ヒューマントラストシネマ有楽町にて
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR