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「不滅の女」 美女を巡る嫉妬と欲望、はたして現実は?

アラン・ロブ=グリエの映画が、一気にAmazon Primeで公開されていました。昨年、日本でも古い作品が一気に公開されていましたが、その不条理感が大好きなので、さっそく鑑賞してみたいと思います。せっかくなので古い作品から順を追って。まずは、不滅の女。アラン・ロブ=グリエの初監督作品で、1963年の作品。ベルリン国際映画祭での金熊賞ノミネート。フランスでは、ルイ・デリュック賞の受賞作品です。

原題 : L'immortelle (不滅)

あらすじ
イスタンブールにやってきたある男性教師(ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ)は、休暇中に自宅の窓から海峡を眺めるうちに、謎めいた美女と知り合います。彼女(フランソワーズ・ブリオン)にイスタンブールをあちこち案内をしてもらいながら、デートを重ねることになりますが、親密になるほど男は彼女の素性を知りたがるのに対し、彼女はうまくはぐらかしてばかりいます。そして、ある約束に日彼女は現れず、家でも待ち続けた男は街に出て、今まで出会った関係ありそうな人物を辿って尋ね歩きました。

ある日繁華街で彼女を見つけた男は、彼女に消えた理由を問い詰めますが、ここでは話せないと車に乗り、遠くへ出かけようとした途中で、犬を避けようとして木に激突、彼女は死んでしまいます。男は、警察から釈放されると、彼女について調べて回る中で、彼女との過去を回想し、出会う関係者からは、人身売買や監視、男も死んだなどいろいろと示唆せれます。彼女の言葉を回想し、イスタンブールの現実はすべて欺瞞であることや異邦人として監視されてていることなどの発言を思い出し、事故車を買い戻した男は、事故現場に車で向かうと、やはり犬を避けようとして木に激突、命を落とすのでした。そして、船の上で嘲笑するような彼女のシーンで終わります。



不滅の女

アラン・ロブ=グリエは、前衛的な小説家として成功したあと、アラン・レネ監督の「去年マリエンバートで」の脚本を手がけ、この作品で映画監督としてデビューしたことになります。映画でもその前衛的手法はいかんなく発揮されていると思います。

今まで、後期の作品はいくつか見てきましたが、初期の作品は日本ではなかなか見ることが難しくもあって、見たのは「快楽の漸進的横滑り」を海外BDを取り寄せて英語字幕で見ただけでした。今回それがまた、一気に公開されたという事で隔世の感を感じています。いずれにしても、私には明確にこうだと、理解することのできない作品ばかりで、映像が綺麗かつ斬新とか、不条理感が面白いとか、美女とエロスとかを楽しんでいたということですが、まぁ、それがアラン・ロブ=グリエだということで、ご容赦を。

この映画は、フランソワーズ・ブリオンのアップが度々登場する、不可解な導入で始まります。鎧戸の間から覗き見るような構図も多用され、ヒッチコックみたい。と思っていると、なにやら常時監視の目が強調され、不穏な進行です。人物の動きも静止状態に加えて、動かすものだけ動かしたり、局所的なアップなどを多用したりと、不思議で不条理感漂う映像が続き、これぞアヴァンギャルドという感じで進みました。そして、イスタンブールの街の映像が大変美しく切り取られていて、異国情緒が漂います。ダンサーと観客の動と静の画像の対比にも魅了されます。そういった、美しい画像を堪能しながら時間が経過し、その底に横たわっている監視の目を意識しつつ、思わせぶりなエロティックな表現が増えてくると、彼女が消えてしまいました。

男は彼女を求めて街を訪ね歩き、異国の地での危険な雰囲気が増していき、町の人々のよそ者に対する反応に居心地の悪さを感じているうちに、彼女と再会と思いきや、自動車事故で死亡。ここからは、過去の映像が細かく繰り返し出現。何が事実だったかということを、解き明かしていく段階となる訳ですが、そこはアラン・ロブ=グリエで、そう簡単にはいかず、いろいろな人の口と、自分の回想と組み合わされた、事実と空想や幻想の組み合わさったパッチワークからは結論らしいものは得られず、男は自動車事故で亡くなりました。最後に笑う彼女。いったい何だったのか…。

見ている方も、いろいろ先読みしながら見るので緊張感は持続します。しかし、その先読みは報われるものではありません。同じような映像が何度も繰り返されますが、その一つ一つが微妙に違っていそうで、その辺にトリックがあるのか?とも思いますが、そこまで謎解きをするのはちょっと大変。いろいろなエピソードの中で小出しにされる哲学的な話や、美女と付き合うほどに取り込まれていき、しきりに素性を知りたがる男の性と、謎の美女の態度、異国における行動の問題などを警句ととらえながら見終わってしまいました。まぁ、そんなもんだろうと思って納得します。とにかく、映像の美しい映画です。事実と幻想、それぞれの視点の違いなどが入り組んだお話で、でも、比較的展開が単純なので、判りやすいのではないでしょうか。

後年の映画から察するに、地下の監獄には鎖につながれた彼女がいるのではないかと想像していました…。

2019.11.10 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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