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「ケイジ」 人間の精神力を感じるドラマ

あらすじからして大変暗い話ですし、またポーランド→ドイツというシチュエーションも、あまり画面に明るさを感じないのですが、何か面白いところもあるだろうと見始めました。GAYO!の無料動画による視聴です。

あらすじ
経済は低迷、地域産業も停滞したポーランド中部の街。だが、若く美しいマリオーラは、ひとすじの希望を見出していた。幼なじみでドイツに移住したアルトルと再会、彼と結婚する見込みが出てきたからだ。同居する祖母に置き手紙を残し、三週間の留守を告げたマリオーラは、恋人の車に乗って彼の親が暮らすケルンへと向かう。しかし、一日目に宿泊したベルリンで、彼女は人身売買組織に売り渡され、売春を強要されることとなった…



冒頭は、彼女たちの豚の解体工場での入社試験の場面。この仕事につくのもなかなか難しいようで、就職難が窺い知れます。無事就職の決まったマリオーラが、友達と3人で部屋で乾杯しているところに、恋人のアルトルが現れ、一緒にアルトルの親の住むケルンに行くことになります。マリオーラは祖母と2人暮らしですが、心配する祖母に女友達と一緒に行くと嘘をついて、アルトルと2人で出発しました。

ベルリンで夜となり、アルトルの友人の部屋で一泊することになりますが、部屋に入ると殺風景でいやな雰囲気。すぐに3人の男が現れ、アルトルに金を渡し、売春婦として売られたと告げられます。その場ですぐにジャスティーネという名前を与えられ、暴力的に犯され、一味の一人ニコが指導役となり、10日で物になれば売春婦としてニコが使い(マネージメントし)、だめならオマーンに売り飛ばすということになりました。

監禁された部屋は地上からかなり高い位置にあり、脱出もできず、周囲に声も届かない状況で、最初はいろいろと試しますが、脱出不可能なことを悟ります。それに、何か不都合があれば、最愛の祖母がただではすまないと脅されていました。万策尽きて呆然とした時間を過ごすうちに、自分がジャスティーネだと言い聞かせるようになり、初めて自らニコにサービスをしました。そこへ、一味がやってきて、マリオーラの売り先が決まったと告げ、話が違うとニコが発砲、マリオーラをつれて逃走し、ドイツ北部の町に部屋を借りて、ニコと共同で新聞広告も出し、売春することになりました。

ところが、ある日アルトルがマリオーラを追って部屋を訪れ、祖母の不幸を知らせると共に、ニコをノックアウトしてマリオーラを連れ帰ろうとします。マリオーラは、持っていたナイフでアルトルを刺殺。3年間服役し、ポーランドに帰ることになりました。帰りの汽車では、私はマリオーラと自分に言い聞かせるようにつぶやき、ポーランドに帰って、すでに結婚している2人とともに、仲良し3人組で浜辺に遊び、いつか自分にも幸せが来るのだろうかと願うのでした。

ケイジ

やはり、全編中欧の暗い雰囲気で統一され、重苦しい雰囲気の映画でした。明るかったのは、ニコが開業した売春用の部屋くらいでしょうか。それに、中盤過ぎまで、ずっと監禁部屋内での場面が続くので、余計に閉塞感を感じます。ラストシーンのポーランドの海も、決して明るいという雰囲気ではありませんでした。ただ、砂浜を走る彼女たちには明るさを感じました。

そういう雰囲気がずっと続くので、この監禁だけで物語が終わりで、後に何か面白い展開が無ければ、いったいこの映画の売りは何なのだ?と思いつつ見ていたのですが、有ったような、無かったような…。確かに、東欧から連れ去られ、人身売買されるという実態は確かに存在するようで、それを告発したドキュメンタリータッチの映画というやり方もあるかもしれませんが、「闇の子供たち」のように児童買春や臓器売買ならインパクトはあっても、成人の場合、ただ監禁を追っただけでは、映画にならないでしょうし、我々は、すでにもっと厳しい事実を連日ニュースでみているご時勢です。

結局、邦題は「ケイジ」と付けられていて、何か監禁物であり、ひょっとすると猟奇的かもよ!と思わせるような題になっていますが、それが大きな間違いで、この映画のテーマは、「Masz na imie Justine」(あなたの名前はジャスティーネ)なのです。原題も、フランス語も、英語もその直訳で付けられています。「ケイジ」なんてちょっと捻ったつもりで、監禁の話で、あわよくばホラーだというような誤誘導するから妙に混乱してしまいました。

マリオーラから、ジャスティーネへの転換、ジャスティーネからマリオーラへの転換。その心情の変化の過程を、主人公のマリオーラの行動や演技からじっくりと見取っていく。そこで初めて、こういう人身売買の酷さを浮き彫りにする。彼女の場合は、立派に転換できているので、この映画の大きな救いになっています。最後の仲間たちの中に駆け寄っていくシーンはとても素晴らしいと思います。そして、一度は自殺しそうになりますが、最終的に、生きて行くことを追求する彼女の心の強さを表現される。そんな映画だと思いました。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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