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「喝采 (1929)」 名歌手ヘレン・モーガンの迫真の演技

歌姫ヘレン・モーガンの初のタイトルロール作品。クラブシンガーで注目を浴びた彼女は、ミュージカル「ショー・ボート」で名声を確立しました。そんな絶頂期に撮影された作品です。1929年の作品で、監督はルーベン・マムーリアンでした。アルコール依存症で苦しんだ彼女ですが、そんな悲劇の歌姫と重なる映画でもあります。

あらすじ
ニューヨークの場末の劇団の看板女優キティー・ダーリング(ヘレン・モーガン)は、一人娘のエプリル(ジョーン・ピアース)との二人家族でした。キティーは一度はブロードウェイの舞台に立ちたいという夢があったのですが、娘にはこんな仕事はさせたくないと、小さいころから彼女を修道院に預けます。キティーは一人の寂しい生活を、一座の三枚目役者のヒッチ(フラー・メリッシュ・ジュニア)との付き合いで紛らわしながら過ごしてきたのでした。

そして、エプリルも17才となり、元来女好きであったヒッチは、エプリルのことを知ると修道院から呼び寄せ、キティーと暮らし始めます。しかし、ヒッチの目的はエプリルで、母親の不在にヒッチは度々エプリルに言い寄りますが、エプリルはヒッチを拒絶し、母親に訴えます。そんな日々の中で、エプリルが街で絡まれた時、船乗りのトニー(ヘンリー・ウォズウォース)に助けられ、二人はお互いに恋するようになります。母親も、エプリルが荒んだ生活から離れ、幸せな生活を送ることを願っていたので、二人を認め、エプリルはプロポーズを受けようとします。

しかし、エプリルはキティーがヒッチからも過去の芸人と罵られ、母の生活を助けるためには、好条件のオファーを貰っていたエプリルが舞台に上がって助けるしかないと考え、愛するトニーとの結婚を断り、今まで軽蔑していた舞台に立つ決心をします。一方、その時娘の幸せを見届けたつもりのキティーは、自分にはもう先が無いと、毒を飲んでしまい、劇場支配人はキティーが調子が悪いと見ると、エプリルを代役に立て、彼女は一生に一度の観客の大喝采を浴びました。舞台裏には、別れて航海に出たはずのトニーが彼女を迎え、その時母親はひっそりと息を引き取っていたのでした…。



喝采(1929)

ブロードウェイの名歌手ヘレン・モーガンの主演による、舞台裏テーマの作品。1929年の映画ですが、彼女のモダンな迫真の演技に驚きました。古い映画は頭の中を古い映画に合わせてみないと、違和感が付きまとうことが往々にしてあるのですが、このヘレン・モーガンの自殺に至る演技には、逆に古いハリウッド映画に切り替わっている頭が、ストレートに意表を突かれました。彼女の映画初主演として出演したこの作品の中での鬼気迫る演技は、元々の舞台の芸術家としてのポテンシャルの限りのない高さを感じた次第です。

このほかにも、ジョーン・ピアースとヘンリー・ウォズウォースの別れ話のシーンとか、あまりに自然過ぎて、ガチな別れ話になっています。作ったような映画が多い中で、この自然さはちょっと驚きました。ハリウッドの映画に何かリアリズムのようなものを感じます。そして、次の電車がすぐに来るという、ホームの男性のウィットに富んだセリフには思わずにんまりしてしまいます。

その様に、途中途中に大変に見どころの多かった映画でした。ちょっと残念なのは、ラストがあっさりしすぎで、オイオイという感じで終わってしまったこと。もう少しじっくり仕上げることができたのではと思うと、途中が素晴らしかっただけに、少し残念でした。でも、全体としてはストーリーもしっかりしていて感動的な映画だったと思います。いい映画に出会えたと思いました。

さて、ヘレン・モーガンは、ミュージカルショウ・ボートの初演メンバーになる訳ですが、このオリジナルメンバーを起用して制作されたのがショウ・ボート(1936)。これが、ヘレン・モーガンにとって最後の映画作品となりました。

2019.9.19 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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