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「ベリッシマ」 母と子の美しく輝く瞬間をとらえる作品

ベリッシマは、1951年の映画で、ルキノ・ヴィスコンティによる作品。ヴィスコンティを見るというよりも、この時期のイタリア映画の雰囲気を楽しんでみようという気持ちで見始めました。舞台の一つとなっている当時のチネチッタの雰囲気も味わえます。ベリッシマとは、「もっとも美しい女性」の意味のことです。

あらすじ
ローマ郊外のチネチッタでは、映画会社が募集した子役少女のオーディションが行なわれていました。そこには、わが子をスターにと、母親たちが列をなしています。マッダレーナ(アンナ・マニャーニ)も、そんな母親のひとり。彼女は、大の映画ファンで、ハリウッド映画を見てはスターに憧れ、それは貧しい生活の中でのわずかな楽しみでした。

娘のマリア(ティーナ・アピチッラ)をスターにするため、彼女のあらゆる努力を始めます。演技指導を受けさせたり、衣裳を購入したり、撮影所に勤めるアルバート(ワルター・キアーリ)をコネにつけようとしたり…。彼に賄賂を贈ったマッダレーナですが、調子に乗ってアルバートが彼女を誘惑すると、今度はきっぱり断りました。マリアは一次選考を通過したものの、二次選考で、カメラの前で泣きだしてしまい、そのフィルムを見た監督やスタッフが笑いころげている様子を、忍び込んだ映写室から見たマッダレーナは、その時はじめて、自分のしてきたことの愚かさを悟りました。ひとしきり監督たちの前で啖呵を切ったあと、マリアを連れてチネチッタを出たマッダレーナは、人気のないベンチで、眠りこけるマリアを抱いてしみじみ泣き崩れます。その頃チネチッタでは、なんとマリアが一位に選ばれ、スタッフたちが契約書を持ってマッダレーナの家を訪ねて来ていました。そこヘ彼女が帰ってくると、彼女は契約をきっぱり断り、大事な娘を非情な大人たちの手には渡せないと宣言。そして疲れ切ってベッドに横たわるマッダレーナを、夫があたたかく抱擁した時、野外劇場から聞こえてくる映画の音から、バート・ランカスターの声を言い当てるのでした…。



ベリッシマ

とにかく、アンナ・マニャーニが凄まじいとしかいいようがありません。その発言と行動は機関銃並みの迫力です。夜に部屋で見ていましたが、思わずボリュームを下げてしまいましたよ(笑)。ものすごい自己主張で驀進し、そして、我に返った時の落差がすごい。それでも、バート・ランカスターの声に反応するところは可愛らしい。題名のベリッシマとは、最も美しい女性とのことで、そんな主人公の姿を、イタリア女性の典型的な姿として賛美する映画、そのような姿に女性讃歌の意味が込められているのでしょう。

最後は、母親として契約を断ってしまいますが、そこまでやったのなら、受ければいいのにとは思ったものの、でも本当に子どもを愛していて大切ならば、母親としてこの世界の人々と出会って体験したことを整理し、少女がこの世界に入って起こることを考えると、間違っていないと思いました。人の子なら羨ましく見ることになりますが、大切な自分の子供であれば、やはりリスクにさらしたくないのは、当然のことと思います。お金よりも名誉よりも尊いものです。ただし彼女が、もしそれでも契約してしまったら、今度はスタジオで毎日大騒ぎする母親が目に見えるようですが…。

決して楽ではない生活を強いられている彼女の唯一の楽しみが、ハリウッド映画というのがちょっと楽しいところでした。この家の横で野外映画をやっているので、ここに住んでいると、自然に映画が向こうから入ってくるような感じですが、それでも映画の世界に入ると彼女の表情が変わっていくところが、いくら騒々しい女性であっても、憎めなくてとてもいいと思います。上映されていた映画は、ハワード・ホークスの「赤い河」とのことです。

2019.9.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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