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「越境者」 無駄なく美しい映像にすっかり魅了される

久しぶりのピエトロ・ジェルミ、そして、久しぶりのイタリアのクラシック映画の鑑賞になります。「越境者」は、ピエトロ・ジェルミの初期の作品。フェリーニも原案・脚色と名を連ねています。そして、ベルリンの銀熊賞受賞作品。1950年の作品。原題は直訳すると、「希望の道」といった意味になるようです。

あらすじ
シシリアの硫黄鉱山のある町では、鉱山の閉山が鉱夫たちの抵抗も空しく実行され、多くの家族が収入を失うことになってしまいました。町にやってきたブローカーがフランスでの仕事の斡旋を始め、元鉱夫たちはなけなしの家財道具を売り払ってブローカー(サーロ・ウルツィ)に渡し、一行は違法な出稼ぎの旅へと出発します。

リーダー格は、三人の幼児を連れたサロ(ラフ・ヴァローネ)。そして、ならず者に落ちぶれたヴァンニ(フランコ・ナヴァラ)の内縁の妻バルバラ(エレナ・ヴァルツィ)など一行は約20人。途中バルバラの手配でヴァンニを拾い、本土に渡ると汽車でローマへ。しかし、ブローカーがナポリで旅費を預つたまま逃げようとした所をヴァンニが発見し、脅して連れ戻しますが、ローマでブローカーは混乱を発生させ逃走してしまいました。この騒ぎで、ヴァン二も逃走、一部の村人ははぐれてしまい、皆は警察に検挙され、帰郷を命ぜられます。

帰るにも帰ない一行は、トラックを雇いエミリアに向かい、一時的に農園のアルバイトに雇われますが、これは農場のスト破りとしての雇用だったことから、地元の農民たちが騒然となり、再び出発を余儀なくされました。絶望した一部の村人はシチリアへの帰路につき、残った数名がアルプス山麓の町まで到達します。これまでの道中で、バルバラはサロと打ち解け、3人の子供を母親代わりに面倒を見てきましたが、この町で再びヴァン二が合流。サロとヴァン二は雪の中で決闘になり、サロはヴァンニを刺し殺してしまいました。

一行は、吹雪の国境の峠に挑み、ここで鉱山の会計係であった老人を失いますが、ついにフランス側に到達、フランスの国境警備兵も彼らの惨状を悟ると無言で去り、一行は希望に向けて進んで行くのでした。



越境者

素晴らしい映像を堪能しました。これは、映画を見る醍醐味の一つと思います。全く、どのカットも雄弁に物語を語り、細かく計算され、惚れ惚れするような映画でした。ストーリーは、職を失った村人たちがブローカーに騙され、不法な出稼ぎに行くその苦難の道中で起こる事件を描いたものですが、展開に無駄がなく、また当時の世相も明晰に描かれ、きっちりと仕上がってます。そして、思えば、この内容。時代を経ても、世界中のどの地域でも未だに起こっている、普遍的な問題ということを改めて感じました。この映画は、ベルリンの銀熊賞以外にも、カンヌでもノミネートされていました。ネオレアリズモの流れの中での、ピエトロ・ジェルミの初期の社会派作品ですが、彼の作品はこの後鉄道員、刑事へと続いていきます。

そして、ここでは、エレナ・ヴァルツィが素晴らしいと思いました。美しく撮られているという事もありますが、複雑な役にいろいろな表情を添えて演じています。そして、やはりこの映画、或いはこの集団に入っているのが違和感があるくらい美しいと思います。彼女は後にこの映画のサロ役でもあった、ラフ・ヴァローネと結婚。その後は、家庭に専念したために引退してしまいました。残された映画は多くないのですが、また機会があればと思います。

頻繁に見る訳ではないのですが、でもその少ない機会のたびに、イタリアの古い映画はいいなぁと思ってしまいます。特にイタリア内で撮影された映画なのですが、明るいし、美しいし、人情味あふれているということでしょうか。見た本数も決して多くは無いので、まだまだこれからではあるのですが、ここにはこれからも楽しみが沢山あるような気がしています。そして、また次の機会を楽しみにしているのです。

2019.9.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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