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「昭和おんなみち 裸性門」 作家性の高い日活ロマンポルノ

日活ロマンポルノと一言で言っても、中には作家性の強い作品とか、単純に娯楽だけとかいろいろです。この作品はその中でも作家性の強いものにあたるのではないでしょうか。1973年の曽根中生監督、大和屋竺脚本になる作品です。

あらすじ
時は大正時代。桂川実篤(長弘)は政財界の大物でしたが、子宝には恵まれませんでした。実篤は護衛役の藤堂(江角英明)に将来の地位を約束し、その恋人しの(梢ひとみ)を強引に妾にすると、しのは男女の双生児を生みます。男児は桂川家に世継ぎとして引きとられ、女児はしのと共に追い出され、藤堂は出生の秘密が漏れないよう、監視役として桂川家を出ました。

それから十九年後のある日、藤堂は臨終のしのからの手紙を受け、しのの許へ急行しますが、しのは間もなく息を引きとり、しのの娘の鏡子(梢ひとみ・二役)を連れ帰ります。ある日鏡子は、娼婦になりたいと言って藤堂の制止をきかず家を出、一度は説得に娼館に向かいますが、彼女の決意を変えることはできませんでした。しばらくして、娼館に現れた桂川浩義(沢田情児)という青年と知り合い、互いに双生児という関係を知らず、愛し合うようになります。ある日、鏡子は浩義の招きで桂川家へ遊びに行くと、実篤は鏡子を見て、しのの娘であることを悟り、藤堂を呼び寄せる一方で、鏡子を消そうとも図りますが、藤堂は実篤が放った刺客から、鏡子を守り、初めて鏡子に出生の秘密を告げると、単身で桂川家に乱入しますが、返り討ちに会います。そして鏡子も桂川家を訪れ、車の中の実篤を見つけると、深くナイフを突き立てるのでした。



昭和おんなみち 裸性門

日活ロマンポルノの一作ですが、曽根中世・大和屋竺によるストーリー性の高いもの。話の展開や、挿入されるエピソードなどはかなり凝っていて、興味深く見られました。ただし、エロス度はあまりにもボカシが多くて、少々興ざめ。もう少し何とかならんかという感じ。しかし、前景の剣術の防具の奥から浮かび上がってくる、藤堂と鏡子のセックスシーンとか、海辺のボート上でのセックスシーンとか、普通のロマンポルノの濡れ場映像とは一線を画した、素晴らしい官能表現の絵になっていました。そういった、かなり凝った場面がいろいろと埋め込まれ、感心した次第です。

娼館の立ち並ぶシーンは、宮下順子の赤線玉の井…のセットを思い出しますが、ちょっと違うのかな?娼館のシーンはいろいろと愛憎劇の面白い場面も多かったのですが、乱闘になるとさすがに師範。藤堂が強すぎです。いくつかのエピソードは、女性の情の深さが強烈な印象を残します。また、老いた「しの」の恨みの表情や、先の藤堂と鏡子のセックスシーンなど、一つ一つの場面が、画面の迫力もさることながらも、強い情念がほとばしるので、さすが曽根・大和屋コンビと思いました。

全体ストーリーを通して見ると、鏡子の動機などちょっとわかりづらい部分も有ったりして、時々悩みますが、運命のいたずらや、女の情を巧みに表現した映画で、なかなか面白く感じました。若松孝二監督ともつながり、強い個性の曽根監督と大和屋竺の作品。当時のアングラな雰囲気としての、日活ロマンポルノが楽しめました。こういった流れの中の作品は、いろいろと作られていると思うので、また機会があれば、是非見てみたいと思います。

2019.9.3 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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