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「チップス先生さようなら」 チップスの人徳と戦時下の学校

風と共に去りぬが席捲した1939年のアカデミー賞。圧倒的なパワーの中でも、それ以外のいくつかの作品が各賞に名を連ねています。この作品もその一つで、ロバート・ドーナットが、風と共に去りぬのクラーク・ゲーブルを抑えて、主演男優賞に輝きました。ヒルトンの小説に基づくこの作品は、サム・ウッド監督により、1939年に製作されました。

あらすじ
83歳になったチッピング先生(ロバート・ドーナット)は、長年教師を務め、すでに退職したパブリックスクールの始業式に来賓として出席しました。そして、学校の近くの下宿先に戻ると、夕暮れ時の暖炉の前で、過ぎ去りし日々の想い出にふけるのでした。

25歳のチッピングは、新任教師としてこの学校に着任しました。初日から生徒達の悪ふざけの洗礼を受けた先生は、校長先生からもプレッシャーをかけられ、教室内に厳格な規律を導入して対応したところ、エースがクリケットの対外試合に出られなくなってしまい、憎まれる存在になってしまいます。
時が過ぎ、中年になったチッピングは、ドイツ語教師マックス(ポール・ヘンリード)からオーストリアでの徒歩旅行を強引に誘われ、登山中に出会ったキャサリン・エリス(グリア・ガースン)という女性に恋心を抱き、キャサリンの帰国の見送りの時に、彼女にプロポーズ。二人は帰国後結婚することになりました。キャサリンは生徒達を家に毎週のように招待し、先生を「チップス」と呼んで、真面目一辺倒の夫の殻を破ります。授業中に冗談をもいう様になったチップスに、生徒は親しみを持ち始めるようになりました。キャサリンはいつの日かチップスは校長にもなれると信じていましたが、残念なことに、彼女は出産時に母子ともども亡くなってしまいました。

ある年、新任のラルストン校長(オースティン・トレヴァー)がスクールの「近代化」を目指し、古い考えの老教師チップスに退職を勧告しますが、彼は伝統を失うべきでないと主張し、理事会もチップスを支持。「近代化」を主張するラルストン校長を改心させ、第一次世界大戦の時期まで現役教師を続けます。そして、いったん引退したチップスですが、戦争の長期化による教員不足から終戦までということで校長に再就任。爆撃の中で授業を行いながら、戦争で死亡した名誉戦死者名簿にある、かつての同僚や教え子たちの名前を毎週日曜日に読み上げる日々が続きました。そして、1918年戦争が終結し、再び退職しました。

1933年、死の床にあるチップスは、見舞いに来た人物が身寄りのない彼を哀れんでいるのを耳にして、「何千人もの子供たちがみんな私の息子なんだ」と返答するのでした。



チップス先生さようなら

ジェームズ・ヒルトンの小説として有名な物語です。小説の成立は1934年。そして、映画は1939年にロバート・ドーナット主演で製作され、この年のオスカー主演男優賞に輝きました。1939年は、風と共に去りぬの年で、受賞の前評判は低かったようですが、見事ロバート・ドーナットが賞を射止めました。そして、中盤で登場するグリア・ガーソンもこれが映画初出演作品でした。そんな記念すべき作品を、かつて親しんだ新潮文庫のイメージを思い出しながら見始めました。

ロバート・ドーナットが、一人で希望に燃えた新人時代、結婚のエピソードが中心の中年時代、そして退職前後の老後と、一人で3つの時代を演じ分けます。とは言っても中年時代と老後は、両方とも髭を生やしているので、見た目にそれほど大きな違いは無いのですが、そこは演技の差で際立たせているという感じでした。チップス先生は真面目で人情のある立派な先生で、その雰囲気が良く出ています。生徒たちに愛されている先生。人徳というものがにじみ出ますが、それをグレア・ガーソンが発見し、見初めたということです。

終盤は、戦地に赴く教え子や元同僚、そして次々と入る訃報とチップス先生の対応が描かれます。チップス先生が読み上げる訃報から、戦場を描かずとも戦争の不条理さが強く表現されます。そして何代にもわたってチップス先生の教え子となった家族たち。それを誇らしげに語る先生。教師冥利に尽きる一生を送ったチップス先生の晩年です。こういった、末期に一生を誇りをもって穏やかに振り返る映画にはとても弱いので、大変感動してしまいました。そして、学校を描いた映画はいろいろありますが、難しいことを語らずとも、やはり学校ってみんなの思い出の場所なんだなと感じました。

2019.8.24 HCMC自宅にてAmazon Prime よりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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