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「恐怖の報酬」 当時ヨーロッパの賞を総なめしたサスペンス

昔、リメイク版をテレビで見た記憶が、かすかに残っています。そして、こちらは1953年に製作された、今でも高い評価を受けている、サスペンス・アクション映画。カンヌではグランプリ(当時は最高賞)と、ベルリンの金熊賞を獲得。そして、英国アカデミー賞作品賞と錚々たる受賞歴も持っています。アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督による作品です。

あらすじ
ベネズエラのラス・ピエドラスという町には各国から流れ者が集まってきていました。マリオ(イヴ・モンタン)もその一人。酒場にたむろし、何をするでもない日々を過ごしていましたが、そこに食いつめた札つき男のジョー(シャルル・ヴァネル)がやってきて、マリオと親しくなります。ある日町から離れた山中にある油井が火災を起こし、石油会社ではニトログリセリンを現場に運び、その爆風で鎮火させることにしました。高額の報酬に誘われ、わずかな振動でも爆発するニトログリセリンの運搬に応募した流れ者たち。トラック2台に4人の運転手が採用され、マリオとジョーは同じトラックに乗って出発しました。

しかし、いざ走り出してみると、ジョーは意外にも意気地なしで、震えあがっていつでも逃げ出そうとする風情。マリオはジョーを叱咤しながら、危険な運転を続けていきます。いくつかの困難を何とか切り抜けた時、先行するもう一台の車が大爆発。跡形もなく失われました。爆発現場は、送油パイプから石油が漏れ出して池の様になっています。通り抜けようとしますが、嵌ってしまい、脱出の過程でマリオは油の池に倒れてしまったジョーの脚の上を通過。ジョーを助け上げ再び出発しますが、ジョーは目的地に着いた時には息絶えていました。ニトログリセリンのおかげで消化が成功。そして、膨大な賞金を手にしたマリオは、嬉々として運転していた帰路でカーブでハンドルを切り損ね、遥か崖下に転落していったのでした。



恐怖の報酬

内容は、ほぼ前半のベネズエラのラス・ピエドラスという町の情景、後半は緊張するニトロの輸送となっていました。見ている時は、前半はかなり長く感じましたが、逆に後半のサスペンスに向けて、この町の置かれた状況が丁寧に描かれており、ストーリーを重厚なものにしていると思います。地の果ての様な救いようの無い町の情景が重層に表現され、この仕事への応募の伏線となっている訳ですが、人も町もどん底という情景描写が徹底していて、やはりヨーロッパの映画だなと思わせます。

後半は、羽振りの良かったジョーが、一転臆病者になってしまうという逆転劇。その臆病さの表現もこれでもかと、あきれるくらいの徹底の仕方です。そして、ルイージたちが一瞬にして消滅してしまう無常観。そして、空中に突き出た旋回場所などでの緊張感など、いろいろな要素が詰まったサスペンスになっていました。ラストはまぁ…、これまでの幾多の苦汁から解放されたというのは解りますが言わば自爆。もう少しサラッと終わった方が好みでした…。

ということで、いろいろな場面をじっくり楽しむことのできる名作でした。どちらかというと、普通にアクション映画を見る気分で気軽にだらだらと見ていたのですが、そこかしこの表現の面白さを、見終わって初めて感じている次第で、何度も見て楽しめる映画だと思います。このストーリーでカラーの場面の断片が子供の頃の記憶として、心の底に引っかかっているのですが、それはリメイク版の方。そちらもオリジナル版が昨年再公開されたようですので、改めて見てみたいと思います。

2019.6.30 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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