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「山河遥かなり」 ジンネマンによる戦後のヨーロッパの映像

フレッド・ジンネマンの映画ということで、興味を持って見始めました。というのも、ジンネマンの作品を見たのは遥か昔の事。少なくとも、真昼の決闘はいろんな描写が鮮烈に心に残っています。1948年アメリカ映画。廃墟のヨーロッパで撮影されました。

あらすじ
第2次大戦後のアメリカ統治下のドイツ。収容所から救出された少年カレルは、その悲惨な経験から、喋ることもできなくなっていた。救済所からも逃亡してしまったカレルと、瓦礫の中から彼を救ったアメリカ兵のスティーブンソン。2人の絆が育まれる頃、カレルの母ハンナは息子を探して長い旅をしていた…。



第2次大戦の終結後、ヨーロッパの復興に力を注いでいたアメリカなど連合軍は、占領下のドイツで戦時中ナチスの収容所に入れられていた人々の救出を進めていました。この日も、国連救済所に収容所から救い出された子供たちが送られて来ましたが、彼らの中に何を聞かれてもドイツ語で「知らない」と答えるだけの少年がいました。彼はカレル・マリク(イファン・ヤンドル)といい、チェコの裕福な家庭に育ったものの、占領下で家族は離散し、父と姉は殺され、母のハンナ(ヤルミラ・ノヴォトナ)と一緒に収容所にいたカレルは、母と無理やりに引きはなされ、その後カレルは、その悲しみの為喋ることもできなくなっていたのでした。

精神に大きな傷を負ったカレルたちは、救急車で特別な施設へ送られることになりましたが、救急車に乗れば毒ガスで殺されるという経験から、途中脱走を計ります。そして、カレルたち2人の少年は川辺に逃れましたが、もう一人の少年は溺死。カレルも行方不明になっていました。一方で、カレルの母ハンナはカレルを探してあてどなく施設を巡る旅を続けていました。そして、カレルがいた救済所にたどり着き、責任者のマレイ夫人(アリーン・マクマホン)から遺品を見せられ、行方不明になったことを知らされます。ハンナは一時気を失い、恢復までその施設で働きながら、カレルの消息を辿ることにしました。一方、放浪していたカレルは、アメリカ兵のスティーヴンスン(モンゴメリー・クリフト)に拾われ、彼の世話で次第になついきます。

スティーブの世話で、簡単な会話もできるようになったカレルは、同居していたアメリカ兵の本国からやってきた妻子を見て、急に母が恋しくなり、母を探しに家をとび出してしまいます。スティーブは彼を探し出すと、母親は死んだといいふくめ、米国へ一緒に連れ帰る約束をします。一方ハンナは元気を取り戻し、カレルを探して次の町へと汽車に乗った頃、スティーブはカレルを一時預かってもらうため、救済所へ現れました。マレイ夫人は、彼がハンナの息子であることを気付き、停車場へ駆けつけたましたが、汽車は既に出発していました。しかし、ハンナは別の列車で新たに連れてこられた大勢の子供を見て、自分の役割は子供たちを世話することだと思い立ち、汽車を降りでいたのでした。そしてハンナは、子供たちの中にマレイ夫人が連れてきたカレルを見つけるのでした…。

山河遥かなり

「山河遥かなり」という邦題は、何となく「母を訪ねて三千里」を思い出させるものですが、原題は「The Search」という単純なものでした。実際、ジンネマンのこの作品は、いかにも余計な抒情に流れず、あっさりしている感じがあって、「The Search」の方が、雰囲気は近いかもしれません。特に余計なことを語らないあっさりしたラストは、もう少し何かあってもいいのではないかと思う一方で、この引き締まった物語のラストとして、いい終わり方だなとも思いました。

もう一つ、この映画の印象に残ったのは、戦勝国による視点の様なものをあまり感じさせず、あくまでも真摯に物語を描いていることで、その部分も好感が持てるものでした。そして、当時の廃墟となったヨーロッパの実像が、同時代に撮影されたフィルムとして残っていることにも、貴重な映画だなと感じた次第です。このあたりもフレッド・ジンネマンの映画製作のあり様をを物語っているのではないかと思いました。

役者さんでは、モンゴメリー・クリフトは、いかにもハリウッド映画という感じで、ちょっとこの映画の中では異彩を放っている一方で、アリーン・マクマホンのマレイ夫人に何となく好感が持ったという次第です。この時期のアメリカの映画って、西部劇を中心に見てきたので、こういったドラマはあまり見ていないのですが、改めて映画の世界の広大さを感じることになりました。当たり前のことではありますが…。いろいろと興味が尽きないです。

2019.6.22 HCMC自宅にて、Amazon Prime よりパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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