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「ゲームの規則」 貴族社会への風刺と二転三転のラスト

名画としても名高い「ゲームの規則」がAmazonで見ることができたので、さっそく鑑賞です。ルノワールの映画を見るのは十数年ぶりになるかもしれません。久しぶりの当時のヨーロッパ映画の雰囲気に浸ろうというものです。この映画は1939年、ドイツがポーランド侵攻を開始した年に制作されています。

あらすじ
大西洋横断飛行を成し遂げ英雄として帰還したにもかかわらず、ジュリユーの顔は暗かった。それは飛行中彼女の為と思い続けて、心の支えにしていたクリスチーヌにが現れなかったからである。ジュリユーは友人のオクターヴを通じてクリスチーヌとの再会の機会を作ってもらうが、それはクリスチーヌの夫、ロベール公爵の屋敷での集いであった…。



大西洋横断飛行を23時間で成し遂げたジュリユー(ローラン・トゥータン)を迎える群衆の中に、彼が飛行中にずっと思い続けていたクリスチーヌの姿がありませんでした。彼はインタビューで不満を漏らし、彼女を幼いころから世話をしているオクターヴ(ジャン・ルノワール)に悩みを打ち明け、クリスチーヌとの再会の調整を依頼します。クリスチーヌ(ノラ・グレゴール)は、公爵夫人で、夫のロベール(マルセル・ダリオ)は、結婚後も愛人ジュヌビエーブ(ミラ・パレリー)と関係を続けていましたが、それはロベールから別れを切り出し、ジュヌビエーブはそれを受け入れないという状況でした。そんな中で、オクターヴのとりなしもあって、ロベールの領地コリニエールの屋敷で行なわれる狩猟の集いに、ジュリユーもジュヌビエーブも招待されることとなったのでした。

パーティーに集まった夜。ジュリユーもクリスチーヌも、身をわきまえてそつなく過ごしますが、フラストレーションがたまっているようです。そして、狩猟の日、ジュヌビエーブと妻のクリスチーヌを愛するロベールは、皆と離れて二人きりで別れ話。そして最後のキスをという事になりますが、それを偶然に望遠鏡で目撃したクリスチーヌの目には、密会としか映りませんでした。その夜、クリスチーヌはジュヌビエーブを咎めず、一方で、彼女に愛を打ち明けるサン・オーバン(ピエール・ナイ)と姿を消します。ジュリユーはサン・オーバンを殴りつけ、クリスチーヌと愛を語り合います。すぐに連れて逃げてというクリスチーヌに対し、手順を踏むよう説得するジュリユー。しかし、そこに夫のロベールも現れ乱闘騒ぎになりました。

混乱のあと、平静を取りもどしたロベールとジュリユーはお互いに和解し、ロベールはクリスチーヌをジュリユー譲ることにします。そして、クリスチーヌの侍女リゼット(ポーレット・デュボー)を巡る発砲事件を起こした当事者の、リゼットの夫である森番(ガストン・モド)と使用人のマルソー(ジュリアン・カレット)を解雇します。その後、上流社会の中にあって自分の身分に悩むオクターヴは、クリスチーヌと悩みを打ち明けながら二人で温室に入り、ついに2人で逃避行をすることに決めますが、それを見ていた森番は、クリスチーヌが自分の妻のリゼットのマントを羽織っていたことから、妻の不倫と勘違いし、鉄砲を取りに帰りました。オクターヴは一旦屋敷に戻り、出発しようとしていたところで、リゼットに諭され、クリスチーヌをジュリユーに譲り、ジュリユーは温室に向けて駆け出します。しかし、そこにはリゼットとの不倫を疑った森番が待ち構えていて発砲。一撃でジュリユーの命を奪います、屋敷から出てきたロベールは状況を把握すると、職務に忠実な森番が密猟者と誤認して誤って射殺した事故としてその場を締めくくるのでした。

ゲームの規則

この映画は、最後に二転三転するのですが、もしそれが無くても、上流社会を揶揄する風刺ドラマとして一流の映画だと思います。そして、最後の展開によって、それがより重く表現された格好になっていました。戦禍がすぐそこまで来ている時代に、停滞する上流世界を皮肉ったこの映画は、すべて彼らが一定のルールの中で、旧態依然とした個人の愉しみの中で生きている。この映画の中で何度か出てくる社交界のルールという言葉。それが具体的に解説されるわけでは無いようですが、一定の階層以上の中での身の振り方の暗黙のルールみたいなものでしょう。

彼らの狩りのシーンは、容赦なく獲物を撃ち殺していくのですが、全く同じように仕留められたジュリユーは、終わってしまえば彼らの中ではウサギやキジとさして変わらないようです。そういったヨーロッパ社会、あるいは人間の行動に対する皮肉を称えたこの映画は、当時の上流階級への風刺というだけでなく、当時のどんな階層にも当てはまる普遍的なヨーロッパの人々の行動をも見ることができますし、女性にあってもそれを平然と受け入れているという状況も描かれています。そして警鐘にもかかわらず大戦へと進んで行きました。

これらの内容は冒頭の引用にもあるように、ボーマルシェの貴族風刺から受け継がれている命題でもあります。そういった慣れ親しんだ主題でもありながら、1ケ月で不謹慎につき上映中止になったということは、時勢という事があるとしても、この時代にあって、よほど人々の琴線に触れたという事でしょう。ジャン・ルノワール自身が扮するオクターヴは、上流社会に身を置く身分では無いながらも、彼らと交流を続けていますが、大衆とともに立ち上がろうとしたという過去を持ちながら、年老いて胸中に矛盾を抱えて生きているようです。そういった群像劇の中に、いろいろな感情が散りばめられているとも思います。さすがに見どころの多い映画だと思いました。

2019.6.1 HCMC自宅にてAmazon Primeからのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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