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「三池監獄 兇悪犯」 三池集治監の鉱山労働と東映スター

日本の石油ショックの頃の映画。この時期に、こういったタイプの映画をいくつか見ているはずですが、ほぼ覚えていません。というわけで、当時の雰囲気を懐かしむためにも見てみました。1973年東映京都の製作。監督は、小沢茂弘です。

あらすじ
日露戦争前夜、三池炭鉱では囚人を労働力として利用していた。しかし、その労働は苛烈極まるもので、囚人の半数は死亡したという。ある日、囚人の人心を得ている郡司班長の元に、囚人たちが団結することを切り崩すため、北海道から折り紙付きの囚人北海常が連れられてくる…。



囚人の脱走場面でスタート。良人坑道に逃げ込んだ囚人は女性労働者を犯しつつ外に逃げるも全員銃殺され、班長の石堂(大木実)は配下に脱走者を出したことで処分を受けます。しかし、炭鉱会社側からの要求で増産を開始することになり、頭目で囚人たちから信頼の厚い郡司(宍戸錠)の了解もあって、囚人も増産を受け入れました。一方集治監側では、郡司の元に囚人が団結するのを恐れ、北海道から応援の名目で、極悪犯の北海常(鶴田浩二)ほか20名を移送し、看守長の河津(天津敏)は北海常に郡司にとって代わるよう言い聞かせます。

郡司たちの房に入った北海常は、その夜郡司の子分から襲われますが、素手で首を折って殺してしまいます。ある日、重労働と搾取に耐えかねた囚人を代表して郡司と石堂たちが脱走について話している時、北海常が登場。3日後に脱走をすることにしますが、看守たちは囚人を選んで拷問をしつつ、計画を察知。当日は看守の先回りにより北海常は拉致、他の囚人は坑道の奥に籠城することになりました。監獄側は北海常を懐柔し、立てこもっている囚人たちに投降させるよう命じます。再び坑道内に戻った北海常は、郡司と一時は対峙しますが、生きるために協力していくこととなりました。

郡司たちの班は、落盤の危険が迫っている石堂の班が採鉱していた第一抗に回され、石堂たちの班は安全な新しい坑道に移されます。これに疑問を持った郡司は石堂が裏切って内通したことを察知し殺害。しかし、その場に到着した河津の銃弾を浴びて殺されてしまいました。その直後、突如落盤が始まり、囚人たちは次々と下敷きになっていきます。その囚人たちを虫けらのようにとり扱う看守たちに、北海常の怒りは頂点に達し、残った囚人たちに仲間の発見と救出をさせ、自らは河津たちを銃殺、ダイナマイトを携え、坑道外で銃を持って待ち構える看守たちの前に躍り出るのでした…。

三池監獄 兇悪犯

なかなか迫力のある映像と、鶴田浩二、宍戸錠、大木実たちの演技を楽しみました。しかし、ラストが物足りないという印象がぬぐえません。これで終わるのであれば、せめてラストの銃撃とダイナマイトの手順を逆にして、最後に鶴田浩二がアップで終わった方がすっきりするというもの。でも、それは小手先の話して、ここまでやるならもっと、大掛かりな脱走劇を期待しました。しかし、小競り合い的な小規模の打ち合いで終わってしまいます。ストーリー的には、宍戸錠と鶴田浩二のバランスが悪く、話の展開からどうしても態度のはっきりしない鶴田浩二より、人心を集める宍戸錠に感情移入してしまいますが、ラストに活躍するのは逆で、どうもラストが居心地が悪いのはそういうことだろうと思いました。

冒頭の、東映的なぐちゃぐちゃのオープニングから始まって、全体的に、坑道の中の汗や油にまみれた暗い映像。俳優たちは熱演です。看守長の天津敏も憎たらしい悪役ぶり。その中で、女性二人堀越光恵、ひし美ゆり子が輝いています。このあたりの対比、なかなかいい演出だと思います。郡司と北海常は任侠の世界、私が数年住んだ北九州にもこういう雰囲気がありました。ぼた山の風景も含めて懐かしい感じがします。それだけに、ストーリーにもう一捻り欲しいと思い、ちょっと残念でした。

明治時代、九州や北海道を中心に集治監が作られ、炭鉱や北海道開拓などの過酷な労働にあたっていました。勿論、どこの集治監もこういった事が起こっていたわけではなく、地域開発と共に発展していったところもあったようです。しかし、炭鉱労働は後年近代化されたあとでも、事故が後を絶たず大きな犠牲が伴うもの。この時代、日清日露の戦勝と国が発展していく中で、その一部はそれが手ごろな労働力として集められた人々の犠牲の上に会ったことも事実だと思います。多少大げさではあるとは思いますが、それはそれで良く認識できた映画でした。

2019.5.3 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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