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「沈黙 サイレンス」 神はなぜ苦難を与え沈黙を守るのか

マーチン・スコセッシ監督が、日本文学の名作を監督した作品。遠藤周作の沈黙は、キリスト教に関する小説という事以外、内容はよく知らないのですが、かなり重厚な純文学作品と思うので、心して見ました。2016年の映画になります。

あらすじ
尊敬する恩師のフェレイラが日本で棄教したという噂を聞いたロドリゴとガルぺは日本に潜入しフェレイラの消息を辿る。しかし、その存在は長崎奉行の知るところとなり、捉えられると目の前で信者を次々と殺害することによってロドリゴに棄教を迫るが…。



江戸時代初期、イエズス会の神父ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ神(アダム・ドライバー)は、日本に布教に向かった、尊敬する師でもあるフェレイラ神父(リーアム・ニーソン)が棄教したという噂を耳にします。事の真相を確かめるべく、日本に向かった2人は、マカオで出会ったキチジロー(窪塚洋介)の手引きでトモギ村に入りました。そこでは隠れキリシタンが弾圧に苦しみながら細々と信仰を守っており、2人は村人と交流しながら、布教を行っていきます。キチジローはかつて弾圧を受け、家族の中で自分だけ踏み絵を踏み、自分以外の家族は全員眼前で処刑されたという経歴の男でした。罪の意識を背負うキチジローは自分の村にも2人を招きます。

トモギ村に戻ると、キリシタンの噂を耳にした長崎奉行・井上筑後守(イッセー尾形)が訪れ、村人達のうちキチジローを含む4人を代表させて棄教を迫り、キチジロー以外は棄教を拒み3人処刑されました。ロドリゴは自分たちを守ろうとする信者たちを見て、「なぜ神は我々にこんなにも苦しい試練を与えながら、沈黙したままなのか?」と苦悩します。その後、トモギ村の危険を感じた2人はフェレイラを探すため別々に行動し始めます。 ロドリゴは、やがてキチジローの密告で捉えられ、通辞(浅野忠信)から棄教を迫られます。通辞は、ロドリゴの前に、別に捉えたガルペと信者たちの姿を見せ、信者の処刑に思わず駆け寄ったガルペは、ロドリゴの目前で命を落としてしまいました。

ロドリゴは、長崎奉行所に引き出され、井上筑後守との対話が始まります。ロドリゴの目の前で、棄教をこばむ信者が次々と殺されていき、井上はさらに日本で布教することの無駄を説き、さらに棄教を迫ります。そして師のフェレイラとも対面。日本人にとってキリスト教は意味を持つのかという命題を突きつけられます。ある夜、フェレイラの説得を拒絶するロドリゴは、遠くから響く鼾のような音を聞き、それは鼾ではなく、拷問されている信者の声であり、彼らはすでに棄教を誓っているのが、ロドリゴが棄教しない限り許されないことを知ります。究極の選択を迫られたロドリゴは、踏絵の前で神の声を聴き、踏むことを受け入れました。

ロドリゴは、最後の司祭として妻と住居を与えられ、棄教した元神父として一生を日本で過ごします。時折棄教の確認を受ける生活でしたが、全く問題なく対応します。しかし、神の声を聴き深く理解したロドリゴは最後まで神の教えの元で生き抜いたのでした…。

沈黙 サイレンス

かなり、重苦しい雰囲気の映画で、あまりにもリアルな強い表現なので、見るものをいろいろ考えさせるものだったと思います。キリスト教の布教と受難の歴史。日本人の遠藤周作による小説と、マーチン・スコセッシによる映画化と、また状況が複雑になっています。映画自体は小説に沿った内容と思われますが、その演出がまた、激しいものになっていました。長崎奉行は究極の選択をロドリゴにつきつけます。日本人の信者が次々と死んでいくのは、ロドリゴが悪いのだと、あからさまに突きつけて棄教を促すのです。それを見て苦悩するロドリゴと、ロドリゴを売るたびに告解を求めてくるキチジロー。

日本にはキリスト教は根付かないと、映画の中で語ります。それはそうなんでしょう。たぶん、キリスト教のような神の存在が、感覚的に理解できません。私だけかもしれませんが。また、作品中では、殉教は神の為ではなく、ロドリゴの為に死んでいくのだと言われます。日本では、人の為には死ねるが、実体のない神の為には死ねないのです。ということでしょう。つまり、人間と自然が最高位になっていて、そのような絶対的な神の概念が無いとは言いませんが、犠牲の上でも守るようなものではないということでしょう。

さて、ロドリゴを責める長崎奉行は、棄教したキリシタンまで、見せしめに殺害していきます。これはまぁ、一般人の犠牲と同じで、ロドリゴに棄教させることが、当時の国際情勢の中でそこまで価値があったということ、あるいは一般人の命の価値がそれほどに低かったのかということかと思います。このあたり、今の時代ではテロ国家とか人権侵害とかで大騒ぎされるような内容ですが、どこにでもある、人間の歴史の事実であることも明確に表しています。現時点ではこのくらいです。また、いろいろと勉強し体験する中で、また違った感想が出てくることかと思います。

映画自体は、映像は美しく、役者さんの演技も素晴らしく、素晴らしい出来でした。素晴らしかった俳優さんを上げるときりが無いような映画で、時間を忘れて見入ってしまいました。

2010.4.30 HCMC自宅にて Amazon Prime よりパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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