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「私たちの結婚」 悩ましく微妙な後味を残す青春群像

何か、古い邦画でもと思って見始めたわけです。特に予備知識なく、長さが手ごろだったというわけで。この辺りの映画だと、自分がほんの小さい頃の景色に近いものがあるのではないかと思います。そのあたり、ちょっと郷愁も感じつつ楽しみました。1962年松竹大船製作です。

あらすじ
圭子と冴子姉妹の実家は羽田で海苔養殖を営んでいるが、収穫が落ち借金に追われていた。2人の働く川崎の工場で、圭子は冴子の同僚の駒倉と知り合う。一方で、両親のもとにいろいろな縁談の話も来る中で、圭子は今までの貧困を断ち切りたい思いから、収入の少ない駒倉との交際に懐疑的になっていく…。



圭子(牧紀子)と冴子(倍賞千恵子)姉妹の実家は羽田で海苔を作っていました。しかし年々進む埋め立てに、収穫も落ち、生活は苦しく、2人は川崎にある自動車工場に勤めに出ています。圭子は会計課、冴子は製造課で働き、冴子は同じ職場の駒倉(三上真一郎)という生真面目な青年に関心がありました。ある日、駒倉が会計課を訪ねたことから、圭子も駒倉と知り合い、冴子は姉と駒倉の間を取り持ち、駒倉と圭子はいい関係になっていきます。その頃、圭子の周りには、本人の知らぬところで、組合長の息子の後妻に、であるとか、実業家の松本(木村功)からのプロポーズとか、両親(東野英治郎・沢村貞子)のところに話が持ち込まれていたのです。両親は、苦しい生計もあって、組合長の息子の後妻であれば良縁だと思っていたのでした。

奔放な友人とナイトクラブに行ったとき、たまたま圭子は松本と出会います。それがきっかけで、圭子は松本とデートを重ねるようになっていました。そして、圭子は松本が親にプロポーズの手紙を送っていたことを知ります。一方で、圭子は冴子と共に駒倉とも会っていましたが、松本とデートとし始めると少しづつ疎遠になっていきます。圭子は今までの苦しい生活もあり、駒倉との結婚は経済的な基盤が弱いと考えていて、それでも幸せはつかめるという、駒倉や冴子の考え方に圭子は懐疑的なのでした。そして圭子は、両親から組合長の息子の話を聞かされると、松本の手紙を黙っていたことなどで親と衝突。険悪な関係になってしまいます。

やがて、圭子は駒倉には、今のままの2人では生活が無理と別れを切り出し、松本のプロポーズを承諾。冴子は愛が貧乏に負けた打算の結果だとなじりますが、圭子は頑として聞き入れません。圭子はすべてを押し切って松本と共に、松本の実家への訪問に旅立ちます。行きつけのおでん屋で酒におぼれる駒倉は、冴子になぜ圭子をしっかり捕まえて置かなかったのかと問われますが、冴子はおでん屋の女将さんから、実は冴子こそ駒倉のことが好きなんだと指摘されます。それに気づかされた冴子は、次の日また明るく工場に出勤していくのでした。

私たちの結婚

貧困と、恋愛と、結婚を見つめた、漁民と工業地帯が同居する、1960年代の川崎を舞台とした映画でした。今でもこういうテーマは日常的に存在しているのだと思いますが、あまりこういう形で少なくともメジャーな映画で映像化されないような気がします。貧困であればもっと複合的な貧困を描くし、ラブロマンスであればもっと明るく撮るし…。そういう意味絵も、ストーリー的には現実をストレートに映し出して、コンパクトにまとまめた感じです。

姉がなぜ最後に松本を選んだのか?そのあたりは明言しませんが、複合的な打算の結果でしょう。そもそもこの姉は何を考えているか解らないところがあると思います。性格描写をはっきりさせていないのか、あるいは、このままだとしたら、ちょっとめんどくさい奴です。逆に姉は駒倉を本当に好きだったのか、かなり微妙です。駒倉とは意識レベルが違うような気がします。そもそもこの性格では、釣り合いません。駒倉は妹の方とは似合っているようですが、まだこれからいろいろなことがあるのだろうという終わり方でした。

音楽は青春物そのままに明るいもので、内容と比べると能天気すぎ…。内容は、結局あまりすっきりせず、先々の人生を見つめてあえぐ青春と、そこから抜け出そうと選択を迫られる若者。タイミングを逃すまいと掴んだことが正解なのかどうか。打算が入った選択で長続きするのか?これで幸せなのか?という疑問が残して終わります。ハッピーエンドではなく、妥協で終わるという感じが大いに残り、これが人生の選択なのだ、とこの音楽が明るく能天気に締めくくっている。誰がどう幸福になれたという感覚が無いまま、恋愛と生活の葛藤を見せてつけてこの映画は終わっています。妹の様に、人生天真爛漫で、あまり深く考えないのが一番という結論なのかもしれません。両親の二人の熱演が、決して裕福でない家族をよく表現していて印象深いと思いました。この演技があって、映画が締まっていると思いました。

2019.4.28 HCMC自宅にて、パソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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