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「湿地」 北欧のどんよりした大地に展開される重いミステリー

アイスランドの映画を見るのは、「ひつじ村の兄弟」以来になります。どんよりした北欧の風景と、いかにもヨーロッパの寒村という感じの、朴訥な雰囲気の映画でしたが、きっとこれも同じ雰囲気ではないかと思います。2006年のアイスランド製作の映画で、アイスランドのエッダ賞受賞作です。

あらすじ
アイスランドのレイキャビクで、湿地の上に建てられた民家から、他殺体が発見される。捜査官のエーレンデュルは、机に隠された墓標の写真をもとに捜査を開始すると、長く埋もれていた30前の事件に行きあたっていく…。



遺伝子の研究を行っているオルン(ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン)は、5歳の娘・コーラを遺伝子疾患の難病で失いました。

湿地地帯にある住居で、老人の他殺体が発見されました。被害者は住人のホルベルク(ソルステイン・グンナルソン)で、死後2日経った死体と、床下からの異臭の影響で、部屋は強い臭気が漂っていました。ベテランのエーレンデュル刑事(イングヴァール・E・シーグルソン)は、引き出しの裏から「ウィドル」という少女の名が記された墓標の写真を発見。そして、ホルベルク自身も、幼い頃に妹を6歳で亡くし、身寄りの無い男でした。

ウイドルという娘を調べたところ、コルブルンという女性の娘だと分かりました。ウィドルは脳腫瘍で4歳で亡くなっていて、その後、母のコルブルンが自殺、父親は解りません。エーレンデュル刑事は、伯母・エーリンに会いに行きますが、彼女は警察を毛嫌いしており、ルーナル元刑事(テオドール・ユーリウソン)に関する話を彼に聞かせます。 それは30年前、ホルベルク・グレータル・エットリデの3人組が、コルブルンをレイプした事件。コルブルンはルーナル刑事にレイプのことを訴えましたが聞き入れられず、逆にコルブルンは売春をしていたという偽証まででっち上げます。そしてそのレイプによる子供が、ウイドルでした。

彼は3人組の捜査を開始。グレータルは30年前からずっと行方不明で、エットリデは刑務所に服役中でした。エットリデに聞き取りを行った結果、レイプはもう1件あったことが解ります。彼はわずかな手掛かりを元に、もう一人の被害者の探索を開始。そして、グレータルの失踪についても、ルーナル元刑事が担当しており、彼は事件をもみ消そうとしていたことを突き止めます。

ホルベルクの検死結果から、ホルベルクの脳には良性腫瘍があり、ホルベルクの妹も、幼少の頃に死んだこととの関連性があることから、レイプされてできた娘・ウイドルの墓を掘り返しますが、その白骨化死体からは脳が取り除かれていました。彼は遺伝子研究所に足を運び、そこにウイドルの脳を発見します。彼女も遺伝病である、神経線維腫症にかかっており、これは、発症した場合は幼少期に脳腫瘍で死に至るというものです。そして、一部は発症せず普通に生活を送ることができますが、その場合は「保因者」となり、発症しなくても、病気は遺伝します。コルブルンをレイプして妊娠させたのは、ホルベルクであり、ホルべルク自身は保因者ということになります。

ホルベルクの自宅を再び捜索するエーレンデュルは、床の軋みから臭いの元が、グレータルの遺体ではないかと推定。床下を剥がすと、グレータルの白骨化した死体と共に、30年前のネガが見つかります。そこにはもう一人のレイプ被害者の写真がありました。3人組は、レイプに隠匿をルーナル元刑事も依頼し、ルーナルは見返りに彼らに汚れ仕事を押し付けていたようです。そして、増長したグレータルは疎まれて、殺害されたということでした。そして、そのネガこ写っていた女性は、オルンの母。オルンが結婚して生まれた孫娘・コーラが、遺伝性の難病で死んだことから、彼女は、オルンの父がホルベルクだという可能性に思い至ります。オルンも、娘・コーラの死の原因を、家系図まで作り突き止めようとしていました。そして、彼もウイドルという少女にたどりつき、彼女が義妹だということを突き止めていたのでした。

ホルベルクが父親だと気付いたオルンは、母を問い詰めて、レイプ事件のことを知り、ホルベルクの家に行って口論の末、父親であるホルベルクを殺害したのでした。警察が突入し、オルンの家を捜索。切断された銃身も残されており、オルンが銃を持ち歩いていることがわかります。ウイドルの伯母・エーリンから、墓地に誰かいるという知らせを受け、エーレンデュル刑事は急行。オルンは死体安置所から持ち去った妹のウィドルの遺体を埋めると、持っていた銃で自殺したのでした。  

湿地

あらすじが長くなってしまいました。省略すると解らなくなってしまいますので…。内容はこの通り、なかなか重厚なミステリーで、それが北欧のどんよりした背景にじっくりと語られていきます。話の中で、遺伝とか親とか兄弟とかがいろいろと出てくるので、結構頭が混乱してしまうのですが、最終的には内容はすっきりとまとまっていて、明快でした。遺伝病の保因者がレイプ犯となり、悲劇の連鎖が生まれるという物語で、内容はズシリと重いものがありました。

出てくる風景は、どんよりと曇っていたり暗かったりと、晴れた日の無い映画で、色彩も派手な色が出てきません。その中での荒涼とした風景が背景となって、異国情緒の雰囲気が存分に味わえます。こういった風景の中でずっと生活することを考えると、少々気がめいってくるのですが、実際は晴れた日もたくさんあるのではないかと思います。アイスランドでは姓が無く、人名は、名前と父の名+ソン(男)または、ドッティル(女)であらわされるとの事で、俳優さんの名前を見てなるほどと思った次第。めったに見ない国の映画を見ると、ついでにこういう勉強にもなったりします。

ミステリーとしては、こういった病気や、レイプ等の過去からの因縁がもたらす悲劇を題材にしたものは、古今東西に多数あると思いますが、これもアイスランド風に表現されるとこうなります、ということで興味深く見ました。登場人物や俳優さんもみんな素朴な感じ。その中で、オルンの母親は年を重ねた中でも上品さがあって目立ちました。そのほかの登場人物は、アイスランドの生活感が色濃く漂っているように感じました。それがこの映画の全体の雰囲気になっているかもしれません。

2019.3.23 HCMC自宅にてAmazon Prime Video よりパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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