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「明日は月給日」 往年の家族群像コメディに感動する

古い邦画の鑑賞です。最近はそれほど積極的に見てなかったのですが、久しぶりにじっくりということで。松竹の昭和20年代の映画で、川島雄三監督のもの。娯楽・コメディ系の映画が多いと思います。1952年松竹大船製作です。

あらすじ
会社の月給日を翌日にひかえた石原家では、大家族のいろんなドラマが見られている。会計課長である鉄太郎は、銀行から給与支払いの為に引出した現金を、外国商社への手付に転用することを命じられる。二男の英二は恋人はる子との結婚の承諾を貰おうと奔走。長女の夏代はの夫のへそくりを見つけておかんむり。次女龍子は夫婦喧嘩で大阪から帰京、などなど。さて無事に給料日が迎えられるかお楽しみ…。



大家族の物語で、かつ群像劇風に作られた、コメディとなっています。簡単にご紹介します。

月給をもらって喜ぶ古垣(渡辺篤)ですが、帰宅してへそくりを妻で石原家の長女夏代(望月優子)に発見され大騒動になりました。実家の次男英二(高橋貞二)が仲裁に入りますが、夫婦喧嘩はエスカレートします。石原家では、戸主の鉄太郎(日守新一)と妻の雪乃(英百合子)を中心とする大家族。それぞれにいろいろな課題を抱えていました。

長男亡き後、新橋で飲み屋を営む長男の嫁の由美(幾野道子)に、鉄太郎は良縁を薦めています。それは、鉄太郎の会社の専務(北龍二)が由美を気に入っているからでした。鉄太郎は、会社の会計課長で、給料日前に銀行から従業員の給与を下ろしてくると、社員は期待して大はしゃぎですが、専務は給料の支払いを伸ばして、原料輸入の手付にまわせと命じます。そんな中で、同じ会社で働く次男の英二は、結婚相手を父に紹介したいと持ち掛けました。

英二と付き合っているはる子(紙京子)は、家の事情から結婚を悩んでいました。父と娘の2人暮らしのはる子は、父である落語家の今昔亭なん馬(古今亭今輔)の借金と跡継ぎの問題があったからです。英二は事情は分かるがとにかく父と会うように、強引に話を進めていきます。新橋の由美の店で落ち合う予定の、鉄太郎と英二・はる子のカップルはすれ違ってしまい、店では、大阪に嫁いだ次女の龍子(井川邦子)が家を飛び出した様子で、夫の清水(大坂志郎)が追いかけてきていました。そして三男の敬三(鶴田六郎)は由美の店にテープレコーダーを売り込みにきたりと、大賑わいでした。

龍子は人がいなくなるのを見計らって、由美の店を訪れます。どうも龍子は妊娠している様子。でも、月給袋を渡さない夫が許せず、逃げ出してきたとのこと。由美は翌日訪ねてきた夫の都合のいい話を、テープレコーダーで言質を取り、夫にこれからのことを約束させます。原料購入の手付に金を回すことで悩んでいた鉄太郎は、その取引先が怪しいと、銀行に勤める古垣から聞き、現金払いから手形払いに独断で変更。これを知った専務は鉄太郎を糾弾し、馘まで覚悟させますが、亡くなった長男の友人田中(須賀不二男)と、英二たちの活躍により、この取引が詐欺であることを突き止め、損失を未然に防ぎました。そして、社員たちは無事給与が出て大喜びでした。

田中と英二が徹底調査をしている間、当の鉄太郎は姿をくらましていましたが、由美からはる子のことを聞いた鉄太郎は、はる子の家に、嫁に貰いたいと直談判に行っていました。これは無事成就。また、由美も田中からプロポーズを受けます。そして、末子の初月給に喜ぶ石原家、最後は大団円の写真撮影に、敬三の彼女のユキちゃんも登場となりました。

最後に縁側で佇む、鉄太郎夫婦。お茶を入れに席を立とうとする雪乃に、「もう少しぼんやりしていようじゃないか」という鉄太郎の言葉が印象的でした。

明日は月給日

古い普通のコメディを予想して見始めましたが、かなり裏切られました。良い意味で。ここには、戦前からの松竹の伝統があり、小津安二郎とは違ったタッチの、娯楽性を高めた上質のコメディでした。そこには、今の日本が忘れてしまったかもしれない、家族の絆やひたむきさが感じられます。中国や、東南アジアの国々では当たり前のように、会社よりも重要視される家族。日本もかつてはそうだったという事を改めて感じます。大変プリミティブな社会の姿だと思います。

大家族の集合は、一つの夢であり、家族にとっては至上のひと時。中国語で、集合写真を全家福と言いますが、ラストはまさにその字の通りの写真でした。大家族の映画は、最近は「家族はつらいよ」など作られていますが、時代の違和感が少々あるというハンデもあり、この作品の構成や情緒には及ばないではないでしょうか。解りやすく、娯楽性に富んだ家族群像劇でした。

川島雄三監督の作品は、DVD化されているものが少なく、今では多くの作品が見る機会が少なくなっています。でも、この様なしっかりした作品であれば、いろいろと見てみたいと思いました。小説も好きなので、「青べか物語」とかぜひ見てみたい。また、他の家族物のコメディもなかなか面白そうな気がします。初めて彼の作品に接し、かなり衝撃的でした。主役級の2人の高橋貞二と紙京子が若々しい感じで好演です。

2019.2.17 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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