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「荒野のダッチワイフ」 ピンク映画枠を借りたヌーヴェルバーグ

シネマヴェーラ渋谷で映画を見ました。ユーロスペースはよく行きますが、こちらの方はあまり行きません。今日は、「日本ヌーヴェルバーグとは何だったのか」という特集で、1960年代から70年代にかけてのカルト的な作品を連続して上映しています。今回見たのは、荒野のダッチワイフ。1967年国映製作。太和屋竺監督による、いわゆるピンク映画に分類されている作品です。

あらすじ
殺し屋のショウは、不動産屋の中に仕事を依頼される。ナカの恋人が誘拐され、ブルーフィルムが送り付けられてきたのだという。主犯格の男がコウであることを知ったショウは、コウに殺された自らの恋人のために、彼への復讐を心に誓い、依頼を引き受けるが…。



荒野(的な場所)でタクシーを降りた、殺し屋ショウ(港雄一)は、不動産屋の中と合流、中から殺しの依頼を受けます。中は自分の事務所で事情を説明、恋人兼事務員の女(辰巳典子)が辱しめを受ける映像を見せられます。娘の父親は、ショックでダッチワイフを相手に過ごす白痴化していました。ショウは、相手の中にかつて自分の女(渡みき)を殺した因縁の男、殺し屋コウ(山本昌平)を発見。中の依頼の、ビデオの中の男たちの抹殺を引き受けることにしました。そこに電話をしてきたコウの一味は「明日の3時、バーの「門」に来い」と通知してきました。

都会の雑踏で、コウの手下を捕まえたショウは、翌日の決闘の場所である、バー「門」に現れます。ショウとコウの2人っきりになり、翌日に向けて精神を高揚させていく二人。ショウはホテルの部屋に戻ると、道であしらった街娼が待っていました。罠かと思ったショウでしたが、そうでも無いようで、そのまま銃をチラつかせて女を抱くショウ。翌日の決闘の日、バー「門」で敵を倒していくショウですが、コウは殺さずに映像の撮影場所へと連れていきます。そして、そこにいる男たちも一網打尽にしたあと、目的の女を中の事務所に運びますが、誰もいず残金がもらえない状況に…。そして女は目を覚ましません。

ショウは、いつしかホテルの部屋に戻っていて、街娼はそのままベッドに残っていました。そこへ倒したはずのコウたちが侵入してきます。そしてショウは不意を突かれ、コウの投げナイフで斃されてしまいました。どうやら、コウたちを斃したのは幻想の中のことのようでした。街娼は起きだしてコウを罵るが、寝返って、ショウの銃から弾を全部抜き切っていなかったことから、「払下げ」の為の注射を打たれ眠らされます。再び、最初の荒野の情景。冒頭と同様に、中が別の殺し屋と会っています。中はこの仕事が片付いたら街の観光名所のダッチワイフの娼館を訪ねたらいいと進めます。そこは、事務員や街娼のように、眠らされて反応の無い女たちがならんで寝ている娼館なのでした。

荒野のダッチワイフ

面白かったです。こういうのいいなぁというような感じで。冒頭の荒野の光景は、西部劇のような、日本離れした面白い構図。角度を変えてみると、すぐ先に大通りが見えるのはご愛敬です。そこにモリコーネの音楽を流せば、当時流行りの「荒野の…」にマッチするのですが、そこに重なる音楽は、山下洋輔の鮮烈なジャズというのが、ヌーヴェルバーグでした。進んでいく話の中で、実験的な映像がいろいろと出てきますが、これはすべてが回収され、解明される訳でも無く、実験的な映像はある意味、ヌーヴェルバーグ的雰囲気の効果というところが大きいのでしょうか。

ストーリーを追っていけば、最終的にはかなりの部分が、ショウの妄想だったということになるわけですが、自己都合で頭の中で結ばれたサクセスストーリーの映像の数々。見ている方は妄想とは解らず話が進んでいきます。そして、実際はあっという間に形勢逆転。アレアレという感じ。最後に、この映画がピンク映画であることを象徴する、この町の名物のダッチワイフということになる訳です。その現実感はさておいて、それもある意味妄想の世界の中の出来事と思えばありか…。ということで…。

この3週間は「日本ヌーヴェルバーグとは何だったのか」というお題の特集でした。普段はなかなか見られない作品も多く、この手の作品が、これだけ揃うと壮観でした。そして、この時期にこの映画の様な、大手5社以外の、クライムサスペンス的な激しい映画がまだまだ沢山あるのでしょうね。興味は尽きません。この映画はその中でもカルト映画として有名なので、ビデオ化され、DVDも出ているようですが、スタンダードサイズにカットされているのでは?という話です。

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品

2019.2.9 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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