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「忍ぶ川」 幸せになれる純愛ラブストーリー

日本に一時帰国中に見た映画です。いつも帰っても、せわしなくバタバタしていて時間が結局取れないということが多いのですが、今回はしっかり計画して見に行きました。それも新作ではなく、かなりレトロな作品。最近ずっと古い邦画を見てきているので、その延長でもあります。1972年東宝配給。熊井啓監督。この年のキネ旬ベストテンでは、本選も読者選出も1位を獲得しています。

あらすじ
大学生の哲郎(加藤剛)と、料亭忍ぶ川の住み込みの看板娘志乃(栗原小巻)は、哲郎の学生寮の送別会の日に、忍ぶ川で知り合った。お互いに惹かれるもののあった二人は、東京の思い出の地を巡り、自分の過去を語る。必ずしも恵まれた境遇とは言えない二人であったが、哲郎はその境遇にとらわれ世間を避けていた。一方、志乃は現状を受け入れ戦っていた。そんな二人は出会いを重ねるたびに、お互いの秘密を知りつつ愛を深めていくが、ある日哲郎は志乃に男がいると友人から知らされる…。



路面電車の中のいい雰囲気の哲郎と志乃の場面から。2人は、学生寮の送別会の夜に、みんなでなだれ込んだ料亭忍ぶ川で知り合い、その夜の約束通り翌日哲郎は店を訪れます。哲郎は、6人兄弟の末っ子でしたが、次女の自殺を期にそれに触発された格好で、長男長女も自殺。次男もいずこかへ逃走。故郷では目の不自由な姉と父母が残り、哲郎はその様な血が自分に流れていると世間を避けたような暮らしをしていました。デートの約束をした二人はお互いの思い出の地を訪れることにします。哲郎は木場で自分の過去を語り、志乃は遊郭のある洲崎での子供の頃の生活を語ります。そして、戦中に志乃一家は栃木に疎開したのでした。

ある日、故郷に帰ることになった学生から、志乃に婚約者がいると知らされます。いてもたってもいられなくなった哲郎は忍ぶ川に駆け付け、志乃を連れ出し問いただすと、志乃を見染めたお客さんとの望まぬ結婚との事。志乃の父も反対していることから、婚約を破断にし、二人が結婚することを約束します。そして時は過ぎ、志乃の父親の容体が急変。志乃は哲郎に父に自分の夫になる人を一目見せたいと哲郎に同行を頼み、哲郎も父の臨終の場に立ち会い、身内だけの葬儀に参加しました。住むところもなくなってしまった志乃の兄弟たちは散り散りになり、志乃は哲郎と共に暮らすことになりました。

そして、哲郎は志乃を連れて3人の住む雪深い郷里へと向かいます。哲郎の実家は、年老いた父母と、精神の不安定な盲目の姉の3人の家。ついぞ笑いや団らんの途絶えた家でしたが、その家で家族だけの結婚。哲郎の家族に久しぶりに家族らしい笑いが訪れました。そして、初夜。雪の夜ぎこちない二人と外の馬ぞりの音。夜が明ければ、緊張していた二人も打ち解け、普通に愛し合います。そして、新婚旅行への車窓から見える哲郎の家を見て、志乃は「見える、見える、あたしのうち!」とまわりの乗客にも冷やかされながら、はしゃぐのでした。

忍ぶ川

あまりにも濃厚な純愛ラブストーリーを、二枚目の加藤剛と、美女の栗原小巻で熱烈に演じきった映画でした。この濃厚さは、韓流ラブストーリーを思わせるくらいですが、手紙で伝える愛情、日本的でもあります。それに、この映画汚い場面や諍いの場面が一切カットされているというのも徹底してます。ストーリーをたどれば、自殺はもちろん、婚約者に別れを通告するところなど、若干修羅場になりかねない部分ですが、全く出てきません。いつの間にか終わっています。いいところばかりを。濃縮しています。

栗原小巻の演じる志乃。理想的な女性ですね。木場の桟橋で兄が消えてしまった話を聞いて恋人の前で静かに合掌する。これで、性格を決定づけていますが、こんないい人っていないですよ普通。いたら、誰もほっておかないです。結婚式で父が高砂やを歌い、久しぶりに酒が回ったであろう父に、家族が諫めるところなど、久しく笑顔の無かった家に訪れた幸せです。そして、最後に窓から自分の家だとはしゃぐ志乃。洲崎を離れて11歳の頃から自分の家が無かったという境遇を考えると、泣けてくるくらいの幸福感です。とにかく、純愛と幸福が詰まっています。

初夜のシーンはこの映画の白眉で、ぎこちない導入から、すっかり打ち解けた翌朝まで、おなか一杯という感じでした。なんだか思い切り美しいものを見せて貰ったような、そんな映画でした。さて、いろいろと鉄道が出てきますが、9600形の牽引する普通列車で、下車駅の西米沢駅は米坂線ですね。イメージはもっと北の方かと思ったのですが、米沢あたりとは少々意外でした。帰郷する時の客車は61系で、ニス塗りの木の内装が懐かしい。栃木に行くのは浅草発の東武の準急電車。あとは都電が多数出現。と、あまぁ、いずれにしても懐かしい時代の美しく、濃厚なラブストーリーで満足でした。

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品

2018.11.24 国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールにて
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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