FC2ブログ

「くちづけ」 増村保造監督のイタリア帰りのデビュー作

増村保造監督のデビュー作です。やはり、ファンとしてはこれは外せないということで、かなり期待をもって見ました。イタリアでの修行から帰ってきての、監督第一作ということで、いろいろと思い切り作っていることと思います。さて、どうでしょうか。1957年の映画で、大映の作品です。

あらすじ
父(小沢栄太郎)の面会に拘置所に行った欽一(川口浩)は、同じく面会に来ていた章子(野添ひとみ)と出会う。意気投合した2人はオートバイで湘南に行くが、章子の仕事先の息子大沢(吉井莞象)と出会い乱闘になる。一方、欽一も章子も父の保釈金を工面しなくてはいけないという状況にあり、おまけに章子は母(村瀬幸子)の入院費も得なければならなかった。欽一は別居中の母(三益愛子)から保釈金を工面できたが、保釈はかなわず、一方章子は借金を大沢の息子に頼み込むが、彼の狙いは章子の体であった…。



欽一は父との面会のために拘置所を訪れます。父は選挙違反で勾留されていて、罪の意識が無く不遜な態度をとりますが、別れ際に保釈金を10万用意して欲しいと頼みました。欽一は帰り際に、章子が父の食費の支払いに困っているのを見て、金を置いて立ち去りますが、章子は追いかけてきてお金を返したいと言い、そのお金で車券を買って大穴を的中。お互いに住所を交換しました。そして、二人はパッと遊ぶことにして、欽一の友人の修理工場でバイクを借り、江ノ島の海に向かいました。

江ノ島の海で遊んでいると、欽一はしばらく別れて暮らしている母を見かけます。章子を待たせて母と会う欽一。その間に、章子は仕事で付き合いのある大沢から声をかけられますが、傲慢な誘いを章子は断ります。欽一は母に父の保釈金の工面をお願いしますが、もう離婚した夫に愛は無いということでこれも断られます。その夜、ダンスホールに行った2人は大沢に絡まれ、欽一と喧嘩になってしまい、その後の飲み屋で愛を確かめる章子ですが、欽一は素直に答えませんでした。すねた章子は欽一とは別に帰ると言い、欽一も行きがかり上、章子を置いて帰ってしまいました。

章子は母の見舞いに行くと、父の保険が下りず、入院費用が上がることを知らされます。母は夫が拘置所にいることを知らず、不安になっており、章子は来週父を連れてくると約束します。欽一は母を探し当て、返せなかったら自分が母と住むという条件で10万円を借り、弁護士を訪ねますが、すぐに保釈される見込みはないとの返事。一方章子は、両親を合わせるため、父の保釈の為の10万円を大沢に求めます。その夜章子に家に10万円を持ってきた来た大沢は、強引に章子に迫ろうとします。そこに、使い道の無くなった10万円を渡すために欽一が現れ、大沢と乱闘に。欽一の気迫に押された大沢は立ち去りました。

章子は、「なぜ私にくれるのか」と迫り、欽一は「理由がなければ受け取れないのか」と強引にキスをします。欽一は「これで理由ができただろう」と言うと、章子は思い切り欽一にビンタをし、泣きながら「愛してると言ってほしかった」と訴えました。欽一は、章子に「好きだよ。大好きだ」と答え、泣き崩れる章子を抱きしめるのでした。そして、拘置所から保釈されて出て来た章子と父、それを車の中から見守る欽一と母はその様子を見届けていました。欽一の母はその様子に納得し、車を出して二人を追いかけると、章子と父を車に乗せたのでした。

くちづけ

冒頭、川口浩のかなりつっけんどんな演技で、多少違和感を覚えました。これは、徐々に気にならなくなりましたが、ストレートにこの役柄を表現していると思います。目を見張るのは、バイクで湘南に向けて疾走するシーン。この映画の名場面の一つですね。当時のイタリア映画らしさを感じましたから、きっと増村監督がイタリアから帰ったばかりという事も影響しているのでしょうか。野添ひとみも積極的な女性を演じていて、川口浩との相乗効果で若々しさを感じます。

章子に10万円をわたしてからのラブシーンは良かったです。この映画のクライマックスですね。古今のラブシーンでも思い出に残るものの一つと思いました。この映画は当時は評判にならず、大映幹部からも不評だったとのこと。市川崑監督は認めていらしたようですが。しかし、いかにも増村監督らしい、人物描写を前面に出した気合の入った一本と思いました。イタリア修行帰りの初監督作品という事からしても、相当な思い入れがあったことと思います。

川口浩と母親役の三益愛子は実際の母と長男であり、野添ひとみは、3年後に川口浩の妻となる人ですので、この映画川口ファミリーでできています。この当時は、母子出演という事でした。実際の母子が、役柄も同じで共演するというのはどんな感じだったのでしょうか。興味は尽きません。そして、増村監督のデビュー作のこの映画もお気に入りの一本として、まだ見ていない他の作品も見つけ次第見ていきたいと思いました。

2018.11.19 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR