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「お琴と佐助」 抑制された様式美で描く春琴抄

これも国内線の移動のお供に、iPadに入れて持っていった動画です。選択した理由は特にありません。たまたまあったというだけでした。これは、谷崎潤一郎の「春琴抄」の物語。この小説自体は読んだことがあると思うのですが、谷崎文学の映画化であれば外れは無いであろうというのも期待です。1961年大映制作。衣笠貞之助監督によるものです。

あらすじ
薬問屋の娘お琴は九歳の時に失明し、それ以降丁稚の佐助が遊び相手として、生活のサポートをしていた。お琴は勝気な性格で気丈にふるまい、一方で習い事の琴の腕前も、大阪中に知れ渡るものとなっていた。お琴は子を身籠るが父親を明かさず里子に出し、師匠亡き後は、自分が師匠として独立する。お琴を見染めた金持ちの息子利太郎は、お琴に接近するために入門するが、袖にされ顔を気付つけられてしまう。ある日何者かが忍び込み、お琴の顔に熱湯をかけると、火傷をした顔を佐助に見せることを拒み、佐助は自ら自分の目をつぶし、お琴と同じ世界に生きることと決断。お琴は佐助の愛の深さを知るのだった。



基本、春琴抄の物語に忠実なので、ここは簡単にいきたいと思います。

大阪の薬問屋に生れたお琴(山本富士子)は、九歳の時に失明しました。そして琴の道を志し、今や同門でも他の追随を許さないほどの腕前になっています。そして、彼女のサポートをしているのは丁稚の佐助(本郷功次郎)で、忠実に師匠のもとまでお琴の手を引いて通わせていました。佐助も、師匠のところでお琴を待つ間にすっかり曲を覚え、三味線を入手し、夜になり人々が寝静まった頃、一人で稽古を始めるようになっていました。家人は使用人の佐助が三味線を練習することを快く思いませんでしたが、佐助の熱意や、気位の高いお琴の遊び相手として認められ、お琴から教わることになりますが、その稽古は厳しいものでした。

ある日お琴の妊娠が発覚、この子の親をお琴は一切口にせず、生れた子は他所に里子に出されます。そして、師匠が無き人となり、お琴は師匠として独立しましたが、その稽古の厳しいことから弟子も少なく、暴力的なことに対しクレームを受けるありさまでした。そんな中で、お琴の美貌が目当てで弟子になっていた名家の息子利太郎(川崎敬三)が、お琴を梅見に誘って口説こうとしますが、お琴は袖にしたあげく、顔に怪我をさせてしまいます。そして、しばらくして、何者かがお琴の部屋に忍び込み、お琴の顔に熱湯を浴びせ火傷を負わせてしまいました。

その後。火傷は回復していきましたが、お琴は佐助には変わった顔をかくして見せようとせず、繃帯をとらねばならない日になって、お琴は拒みましたが、お琴のことを思う佐助は、縫針で自らの眼をつぶし、お琴は佐助の深い愛情を知り、初めて二人は同じ世界に住み、二人で生きていくことを誓うのでした。

お琴と佐助

比較的、原作に忠実に作られた映画だと思います。また、衣笠貞之助の作品で、「地獄門」のような様式美も見られたと思います。従って、抑制された日本情緒の中で、美しく撮られた映画だなと思いました。ラストシーンとかもいかにも日本的な映像で、古典芸能を見ているような雰囲気もありました。

さて、とはいっては見ても、谷崎潤一郎の文学らしい耽美的な表現かというと、どんなんでしょう。受け取りようなので、大変難しいところですが、ちょっと毒気を抜かれたような気がしないでもない。といった気もします。淡々と描くところが、かえってその異常性を表現するという見方もあるかもしれませんが、パターンに嵌り過ぎてちょっと物足りなかったような感じもしました。

さて、春琴抄の物語、お琴は歴代大女優が演じてきました。田中絹代、京マチ子、山本富士子、山口百恵と三浦友和のコンビなど。他は見たことが無いので何とも言えないのですが、どんなバリエーションがあるのかなというのも興味が湧くところです。機会があれば是非みてみたいです。

2018.11.14 ハノイ→HCMC機内でiPadで鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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