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「宇宙人東京に現わる」 自虐的で他力本願であることを感じてしまう

楽しそうな題名だったので、思わず見てしまいました。日本の1956年のカラーSF映画。まだまだ日本ではこの分野の作品も多くはなく、SF自体が黎明期という頃のこと、どんな作品が作られていたのか興味津々なのです。

あらすじ
世界中で謎の飛行物体が目撃され、科学者はその正体を巡って盛んに議論をしていた。さらに、日本ではヒトデ形の宇宙人が出現。彼らは、地球の原水爆開発に警告を発するために友好目的で来訪した宇宙人だという。彼らは、日本の科学者たちに新天体 Rの地球への接近を警告、日本の科学者たちは世界に対策を求めるが相手にされず、ついに新天体Rの接近が確認され、その影響で地球上に天変地異が起こり始めるが…。



とある私鉄駅前の居酒屋で晩酌をする小村博士(見明凡太朗)は、天文台に勤務していました。その夜、娘の多恵子(永井ミエ子)の恋人であり、同じく天文台に勤務する磯辺徹(川崎敬三)が訪ねて来て言うことには、世間の話題になっている謎の飛行物体を、望遠鏡がとらえたという話でした。そして、この飛行物体は世界中の天文台でとらえられていて、その正体を巡って議論が沸騰します。さらに東京にはヒトデ型の宇宙人が出没するようになり、人々はその姿を見て恐れおののくのでした。その頃飛行物体の中では、自らを「パイラ人」と呼ぶ宇宙人たちが議論していました。彼らは、地球の原水爆開発を警告するために友好目的で来訪したとのこと。そしてなんとか意図を伝えるために、トップスター青空ひかり(苅田とよみ)の姿に変身して、地球に再び向かうことにします。

記憶喪失の美女銀子として降り立ったパイラ人は、松田博士(山形勲)の家に住むようになります。銀子は、松田博士が原水爆以上の破壊力をもつ元素「ウリウム101」を研究しているのを知り、その危険性から研究の停止を訴えます。その頃、新天体Rが地球に衝突する軌道に入っており、パイラ人はこのままだと近く衝突してしまうことを伝えました。日本の科学者たちは世界に核兵器の提供を求め、これを発射して軌道をそらすことを提案しますが、全く相手にされずさらに松田博士はウリウム101の情報を狙うスパイに拉致監禁されてしまいます。

そしてついにRの接近が望遠鏡で確認され、その影響で地球上では天変地異に見舞われ始めました。人々は都市から避難しますが最終的にはなすすべのない中で、監禁された松田博士も危機に陥いっていきます。ようやく危機感を持った核保有国は核ミサイルを次々と新天体Rへ撃ち込みますが、全く効果は無く、これで地球も終わりかと思われたころ、パイラ人は松田博士から聞き出した方程式を元に製造したウリウム101の爆弾を、新天体Rに向け発射。すると新天体 Rは木っ端みじんに四散し、ついに地球は救われるのでした。そして、人類は核兵器の無い世界で、新しい生活を始めることとなったのでした。

宇宙人東京に現わる

ストーリーは、この通りで、娯楽系のSFになっています。見た感想として、ストレートにストーリーを追った展開であり、原水爆禁止をテーマにしていて、それ以外の感興に乏しいのが残念と思いました。まだ、SFが成熟していない、あるいはこういうスタイルの娯楽が成熟していない時期だったのでしょうね。いろいろなものを盛り込んで、それをなぞっているのですが、あまりにも突っ込みどころが多いのと、まぁ、それは目をつむるにしても、奇抜なストーリーをつくって、奇抜なものをカラーで見せましたという感じで、それ以上のものがありませんでした。それが、当時の日本のSFの実力とは思いたくないですけれども…。

SFの本家の英米では、現代のSFという意味では、1940年代からハインラインやクラークが活躍していて、映画としても50年代にいろいろと名作が作られていたのですが、日本のSFはやはり充実したのは60年代以降かな?そんなことを改めて感じてしまいました。ただ、パイラ人やいろいろな仕掛けは、それほど悪くもないと思います。というかほのぼのしていていいくらいです。そして、「宇宙軒」の雰囲気は大変良かったです。この映画の中で、一番いいのは、ここかもしれません。

ストーリーを見れば、この映画かなり自虐的ですね。ハリウッド映画であれば、「ディープ・インパクト」とか、「インデペンデンス・デイ」みたいの、ヒーローが現れて撃退するのですが、日本のこの映画は、あまりに他力本願ではありませんか。こういう思想で戦後が支配されていたので、この映画ができたのでしょうか。大国にお願いして、ダメだったのであとは死を待つのみと思っていたら、パイラ人が助けてくれて、理想の世界が訪れましたという骨格。そう単純に類型化して片付けることもできないことですが、主題はそんな感じがします。いや、そう思わせるのも、この映画が人間を描いていない結果かもしれません…。

2018.11.6 HCMC 自宅にて パソコンで鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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