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「8時間の恐怖」 峠道のバス内に当時の日本を世相を凝縮

昔のサスペンスものを、ちょっと気になって観てみました。1957年の日活の作品で、鈴木清太郎(後の鈴木清順)監督の作品です。鈴木清順監督の映画はあまり今まで見る機会が無かったので、ちょっと楽しみ。実は初めてだったりします。「ツィゴイネルワイゼン」とか、昔盛んに宣伝していた記憶がありますが…。さて、どんな映画でしょう。

あらすじ
駅に停まっている列車は、災害でこの先運行の見込みが立たない様子。待合室には、足止めを食った乗客が駅員に盛んに苦情を申し立てていた。一同はバスで別の駅へ出ることになるが、行手は激しい峠道。その上、出発を前に、この辺りに二千万円を強奪したギャングが潜伏しているとの情報が入る。それでも行くという乗客を乗せ、老朽化したバスは一路夜間の峠道に入っていくが…。



昔の国鉄の駅です。駅のホームには、C5835の牽引する客車列車が停車していますが、災害のために立ち往生で、車内ではいつ動くともわからない列車に文句をいう乗客たちがいました。そして、待合室では、それぞれの事情を声高らかに叫び、駅員をやり込める人々がいました。駅の手配で、山を越えた駅までバスを出すことになりましたが、暗い夜道を走り、明日の昼に着く行程で、そしていざバスが着いてみるとちょうどその時、銀行強盗のギャングがこのあたりに潜伏しているという情報が入ります。それに恐れをなした乗客が脱落する中、残った14人が夜道の林道のバスの乗客となりました。

以後の話は、この15人を中心に展開することとなります。会社社長夫婦(深見泰三、三鈴恵以子)、愛人と遊びに来た2号さん(志摩桂子、中原啓七)、学生運動家(二谷英明、香月美奈子)、幼女を抱えた母(南寿美子と赤ん坊)、オンリー(利根はる恵)、女優志望の娘(福田文子)、農夫の夫婦(永井柳太郎、原ひさ子)、護送中の殺人犯と刑事(金子信雄、成田裕)、下着セールスマン(柳谷寛)。そして、バスの運転手(山田禅二)。これで全部です。魑魅魍魎におびえながらの夜の道中を経て夜が明けますが前途多難。崩れそうな橋、自殺騒ぎ、身の上の暴露などいろいろなことがあって、ついにギャングと遭遇します。

ギャング2人(植村謙二郎、近藤宏)は拳銃を手に一気にバスをジャックします。刑事はすぐに身分がばれて斃されてしまい、ギャングに怯え、敵対し、連携し、あるいは仲間割れをしながらの道中になりました。そして、バスが泥にはまった時、オンリーの夏子の機転で子分を斃し、もう一人も置き去りにしますが、途中のがけ崩れ現場で追いつかれ絶体絶命に。しかし警察の出現の報に驚いたギャングと乗客は乱闘になり、ギャングは銃を奪われ、バスを奪って逃亡。しかし、運転を誤り崖下に転落します。そして、やっと現れた警察のトラックに揺られる乗客たちの眼下に、バスの元々の目的地あたりを走行する列車が見えてくるのでした…。

8時間の恐怖

サスペンス・アクションものの娯楽作として、ストーリーは堅実なものだと思います。導入部で不安感を含めた雰囲気を作り、15人の密室状態を構築。夜の峠道という恐ろしさと、銀行ギャングのアクション。スムーズに進行しました。また、この映画の中には、当時の世相を表すというか、社会風刺的なところも込められていました。待合室での議論。学生運動家の熱弁や、国鉄労働問題。オンリーへの視線。戦地から帰還した軍医と妻の不義。西部劇にあこがれる少女。そして会社社長や、2号さんまで、何でも盛りだくさんでした。バスの車内を当時の日本の縮図にしたかったのでしょうか。

この映画のロケ地はどこなんでしょう??橋本駅までという地名からは神奈川の丹沢なんかを思い出しますが、バスの社名は、「静中乗合自動車」。列車のサボは、〇川行。〇が解りません。物語の中の地名は、架空のもののようです。災害区間は田井~金子間となっています。金子といえば八高線ですが、物語からして、そういう雰囲気では無さそうでしたが…。駅の運賃表から類推するに、東海地方静岡以西のどこか。ここまでのヒントで思いつくのは二俣線のどこか。列車は掛川行。これでどうでしょうか?C5835が当時運用されていたのがどこかで推定できるかもしれません。そして、この雄大な林道はいいですね。当時の日本の峠越えの林道風景を見られてのは良かったです。しかもバスが走っている林道風景!

いろいろな役者さんが出ていますが、私はあまりなじみがありませんでした。ちょっとオーバーアクションで、興ざめするような部分もありますが、それぞれ面白い役を演じています。運転手の山田禅二、殺人犯の金子信雄、赤ん坊の母の南寿美子あたりが印象に残りました。運転手が、オンリーとして蔑まれる利根はる恵に、こっち来て座りなっていうセリフはいい感じです。シーンとしては、ギャングを罠にはめる一連のシーンが面白かったですが、ちょっと間違えると自分がはまりそう。そういう意味では、利根はる恵と、金子信雄が一番活躍しているんですね。振り返っても、なかなか興味の尽きない盛りだくさんの映画でした。
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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