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「肉体の悪魔」 1986年版。見どころは、マルーシュカ・デートメルス

久しぶりの映画鑑賞。なんとなく、まとまった時間が取れなくて、ご無沙汰していました。で、買い置きのDVDからです。今日は、「肉体の悪魔」。これは、ラディケの有名な小説ですが、1986年版は、マルコ・ベロッキオによる、大幅に翻案したものになります。といっても原作は読んだような、読んでいないような…。読んでいれば、映画を観ているうちに思い出すのでしょうけどね…。1986年イタリア・フランス制作。監督は、前述のとおり、マルコ・ベロッキオです。

あらすじ
高校での詩の授業中、向かいの屋根の上で女性が今にも飛び降りようとして叫んでいた。その騒ぎで目覚めた中庭に面した家に住むジュリア(マルーシュカ・デートメルス)に、学生のアンドレア(フェデリコ・ピッツァリス)は、一目惚れしてしまう。ジュリアには、テロリストとして裁判中の婚約者プルチーニ(リカルド・デ・トレブルーナ)がいたが、その裁判にアンドレアはジュリアを追って立ち会うようになり、二人は深い仲になっていく。そんな二人の様子に気づいた、プルチーニの母と、アンドレアの父が二人を引き離そうとする中で、やがて判決の日を迎えることになるが…。



中庭に面した高校での詩の授業の最中に、若い女の叫び声が響き渡り、クラス中が窓際に集まりました。中庭の上の屋根の上で、今にも飛び降りようとしている女性。彼女はやがて我に返り、助けられますが、その時起きだしてきたジュリアに、高校生のアンドレアは目を惹かれます。アンドレアは授業を抜け出してジュリアを追って、裁判所の審議中の法廷に入りましたが、そこではジュリアの婚約者の審議が行われていました。ジュリアは父をテロで亡くし、婚約者はテロリストとして審議中、そしてアンドレアの父は精神分析医で、ジュリアは父の患者でもあるようでした。

婚約者のプルチーニは改心したと扱われ、出獄できる可能性が高い中で、プルチーニの母と、ジュリアは結婚後に住むことになる家を準備しています。一方で、アンドレアは法廷に通いはじめ、何度かジュリアと会ううちに、二人は深い関係となり、プルチーニとの新居で夜を過ごすようになっていきます。面会の時に、微妙な心変わりを訝しむプルチーニ。二人の関係を知った父は、精神的に不安定なジュリアとの交際を反対。また、プルチーニの母(アニタ・ラウレンツィ)は、大変な時期を乗り越え折角つかみかけている息子の幸せへの妨害の出現に悲しみ、二人の間を発展させないようにアンドレアの父に抗議します。

奔放で、不思議な魅力を持つジュリアは、アンドレアを翻弄し、ますます深みにはまるアンドレア。父に咎められたアンドレアは、もう会わないというジュリアの伝言を無視し、夜中に彼女の家に潜入。出会った二人は、やはりお互いに求めあい、ますます深い関係に。そして、彼女はアンドレアの頭の中を占有したい、そしてひと時もアンドレアを離したくないという様子でした。やがてプルチーニが釈放され、彼女との結婚式を控えた日、ジュリアはプルチーニの元には現れず、アンドレアの卒業試験の会場に現れ、真摯な学生といった様子で口頭試験を受けているアンドレアを涙ながらに見守るのでした…。

肉体の悪魔

冒頭、屋根の上の女性の場面から、この映画を微かな狂気が支配します。それは、激しく現れるというよりは静かに支配する雰囲気でした。裁判所で、改心者とそうでない者を区分けした2つの檻。改心者でない方では、審理中にセックスを始めるものがいました。ジュリアは精神分析医であるアンドレアの父の患者。父の妄想に突然全裸のジュリアが現れます。そして、アンドレアとジュリアの間も、普通の純愛以上の狂気がそこはかとなくついて回っています。優しい顔のジュリアと、何かに取りつかれたようなジュリアの表情の違い。このあたりは見事だと思いました。

一方で、ラディケの小説は結局思い出さないのですが、この映画のテーマが、狂気の入ったラブストーリーだとしたら、この映画の中の行動は、狂気ゆえの必然となる訳で、不貞とかそういった情緒は無くなります。すべて、ちょっと奔放過ぎて行動が極端なジュリア、一方で愛してしまったら、とことん男を独占しようとするジュリアの様子など、物語の主題はそちらに移る訳で、微妙な心変わりとか、背徳とかそういったものは打ち消されていました。そして、最後の涙は狂気から醒め、普通に戻る瞬間を表しているのでしょうか。だとしたら、その後の2人の関係に不透明感を残しながらのハッピーエンドということになります。そういう話なので、女性の怖さが前面に立ち、全体的には情緒的なところが今一つなのと、途中の話の展開が緩いので、ストーリー的なインパクトがあまり残りませんでした。

映画としての雰囲気は、前半導入には良くできていたと思いました。ちょっとアバンギャルドな雰囲気がありました。映像など、時折ハッとするような美しいアングルもありました。そして、マルーシュカ・デートメルスはとても美人でした。彼女を見るだけでも価値があるというものです。1962年生まれなので同級生です(笑)。1986年といえば、日本だと社会人2年目といったお年ごろですね。すっかりファンになってしまいました。マルコ・ベロッキオ監督は、最近「甘き人生」が日本でも公開されましたが、この「肉体の悪魔」が作られた時代から現在までの30年を扱った作品。まだ、見る機会がありませんが、ぜひ見てみたいと思います。

2018.10.28 HCMC 自宅にてDVDのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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