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「去年の冬、きみと別れ」 原作、脚本、演技と三拍子揃ったミステリー

飛行機の機内で、最新作を物色するひと時です。選んだのは、「去年の冬、きみと別れ」。これは絶対面白そうな予感。中村文則の小説と言えば、「銃」しか読んだことが無いのですが、これはなかなかの印象を残す小説で、そういった傾向のお話であれば大歓迎です。期待して見てみました。

あらすじ
婚約者の松田百合子(山本美月)との結婚を控えたルポライター耶雲恭介(岩田剛典)は、盲目の美女の焼死事件に目をつける。事件の元容疑者は、世界的写真家の木原坂雄大(斎藤工)だったが、真相が暴かれず、執行猶予の判決が出ていたのだ。耶雲は、その真相に近づくと、木原坂の危険な罠は百合子にまで及び、いつしか抜けることのできない深みにはまっていく…。



謎解きタイプのミステリーなので、あらすじはサラッと、いきましょう。この物語は「第二章」から始まります。気鋭のルポライター耶雲恭介は、出版社に盲目のモデル(土村芳)が写真家・木原坂雄大の家で撮影中に焼死した事件に目を付け、燃えているところの写真が存在するとのネット情報から、今やスランプの木原坂が故意に焼死させ、その写真を撮影したのではないかと目を付け、その取材を売り込みます。これを受けた編集長の小林(北村一輝)は、あまり気乗りしない様子でしたが、現時点の情報では不十分であり、取材を続けて報告するようにと返しました。

耶雲にはもうすぐ結婚を控えた百合子という恋人がいました。婚約して幸せそうにも見える2人でしたが、百合子の想いとは裏腹に、耶雲は事件にのめりこんでいき、百合子との関係をなおざりににしていきます。耶雲は取材のため、木原坂の家に出入りすることを許され、核心をついた際どい質問もしていきますが、一方で百合子のことも話してしまったため、興味をもった木原坂は百合子と会うようになります。そして、耶雲の気持ちが捉えきれない百合子は、とうとう木原坂の家を写真のモデルとして訪れることになってしまいました。

百合子の危険を感じ取った耶雲は、木原坂の家に急行、しかし中には入れないでいるうちに、木原坂の家から出火。強行して乗り込んだ耶雲の目に移ったのは、業火の中で焼け落ちる人影でした…。

というショッキングな場面で、第二章は終わり。そして、その前後の話へと物語は進んでいきますが、そこは映画をみてみましょう。

去年の冬、きみと別れ

さて、第二章はショッキングな映像で終わるのですが、物語の中盤でこういった場面があると、何かあるぞと勘繰りたくもの。なんか焼け落ちる人影って嘘くさいし、何なのだろうかという思いを持たせたまま、ストーリーは過去へと遡っていきます。そして、二転三転する種明かしの展開が待っている訳ですが、目まぐるしく入って来る新しい情報に翻弄されて、正直見入ってしまいました。なかなか面白かったです。この話。オリジナルだとこういうストーリーはできないと思うので、これは中村文則の原作の力でしょうね、と正直思いました。

その原作を迫真の演技で演じた、岩田剛典、斎藤工、そして斉藤工の姉役の浅見れいな、山本美月、北村一輝、土村芳と、みんな良かったです。原作とそれをうまく処理した脚本があると、こうも素晴らしく仕上がるのだなと感心した次第でした。造りも仕掛けも凝っていて、ミステリーの映画として言うことなしの展開でした。その中で語られる、純愛?行き過ぎた愛や、かりそめの愛など、ちょっと異常な感じの愛の形が切なく表現されています。

原作は読んでいないのですが、なかなか映画化しづらい原作をうまく処理して再構成しているとのこと。また、原作を読んでいる人の為にそれなりの仕掛けを仕組んであるようです。つまり、読んでいる人もまだ別の騙され方をして、それでも原作に忠実であるようなことになっているとか。なかなか手の込んだ気合の入った一本という事の様でした。そして、この映画は、原作あってのものでありながら、原作、脚本、そして出演者の演技の力の相乗効果で再構成された、素晴らしいエンターテインメントと言えるのではないかと思いました。

2018.8.1 JAL JL759 機内にて
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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