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「兵隊やくざ」 全9作の起点となったコンビの妙の面白さ

これは、手元にあった動画を、ちょうど2時間ほど空き時間ができたので、観たという映画です。何かと名前をよく聞く映画ではありますが、内容はあまりよく知りません。ただ、増村保造の映画であることと、彼の監督した戦争映画もなかなか一筋縄ではいかない良さがあるので、楽しみでした。1965年の映画です。

あらすじ
極寒のソ満国境に近い関東軍の兵舎に、やくざの用心棒をやっていた大宮貴三郎(勝新太郎)が入隊してきた。そして、彼の指導係を命じられたのが、インテリの三年兵・有田(田村高廣)であった。貴三郎の倣慢な態度は上等兵達の敵意を買い、なかでも腕に覚えのある砲兵隊の黒金伍長(北城寿太郎)は、彼を徹底的に痛めつける。貴三郎は、数日後単身黒金と相対し、かけつけた有田の出現もあって、黒金は指の骨を折られてしまう。復讐に燃える黒金は再度貴三郎を襲い、歩兵隊と砲兵隊の喧嘩にまで発展してしまい、外出禁止の罰を受けるが、それでも貴三郎は兵舎を抜け出し、遊郭へと駆け込んでしまう。そんな中で、戦況は悪化。貴三郎のところに、南方へ出動命令が下されるが…。



この物語は、三年兵の有田の言葉で語られます。有田は、インテリながら軍隊組織と距離を置き、古参兵として幹部を目指すでもなく、うまく立ち回り満期を待つ兵士でした。そんな兵舎に新兵が数人配置されることとなり、その中で手を焼かせることで有名になっている貴三郎の指導係を命じられ、すべての指導を彼がするということで承諾します。貴三郎は浪曲師を目指しながらやくざの世界に入り、用心棒を務めていた、一本気な男でした。

貴三郎は、軍隊においても自分都合で行動するところがあり、ある日一人で風呂に入っていると、そこに砲兵隊の連中が入ってきました。新兵の貴三郎を見ると彼らは寄ってたかっていじめようとしますが、喧嘩の強い貴三郎は彼らを返り討ちにします。面白くない砲兵隊の黒金伍長は面目にかけて彼に仕返しをしようとしますが、そこに有田が登場し、インテリの言動にうまくやり込められ、黒金の指を折られてしまいました。そして、これは砲兵隊と歩兵隊の果し合いに発展。派手な喧嘩が始まりますが、これが上層部にばれて、外出禁止を食らってしまいます。

しかし、それも気にせず貴三郎は兵舎を抜け出し、将校向けの芸者屋で懇意の音丸(淡路恵子)の元に通う始末。引き取りに来た有田も、今やすっかり打ち解け、兄弟の契りを交わします。そんな中で、戦況が悪化、少なくない兵が南方に駆り出されることとなり、貴三郎にも命が下りますが、貴三郎は故意に営倉入りしてそれを逃れ、有田に恩返しということで、有田に温めてきた脱走の計画を提案。そして、大隊全員に転進命令が下ったとき、客車から機関車に抜け出した2人は、部隊の列車を切り離すという荒業で無事脱走を果たしました。

兵隊やくざ

このお話は、先にも書きましたが、インテリ古参兵の有田の回顧として語られていきます。ということは、主人公たちは戦火を潜り抜けて生き残っているという安心感が前提で話が進んでいく訳です。有田は、いかにも世渡り上手な役柄で、自分の立ち位置を利用し、うまく立ち回ります。その有田と、一本気な貴三郎とのコラボレーション。この組み合わせの面白さが、この映画の妙といったところでしょうか。

基本的なストーリーとは別に、印象が残る点をいくつか。まず、痛い場面が多い。最初から風呂場での裸の殴り合い。これは、想像するだけでも痛そうです。あとは、貴三郎に挑む敵役のネチネチしたいじめと、満身創痍の貴三郎の反撃。どれも痛そうです。次に、淡路恵子が大変色っぽい演技です。惚れ惚れするような艶っぽさで、さすが増村監督というところもあるのでしょうか。そして、軍隊に蠢く有象無象をことさらコミカルに描いているところがとても面白いと思います。あまり型にはまらず、深刻にならず、かといって、滑稽に落ちることもなく。絶妙の塩梅だと思いました。

これを機にシリーズ化された、兵隊やくざですが、このコンビの妙で面白いシリーズなのでしょうね。残念ながら、一つも見ていません。最後第9作だけが、カラーで、大映配給ではなく、しかも増村保造監督とのこと。ちょっと興味がわきます。いずれにしても、機会を見つけてまた楽しみたいシリーズだと思いました。これで、増村作品を見るのは12作目。現状は、けっこう気軽にみられる位置に置かれているのか、日本人監督の中で、現在断トツのトップの位置であります。

2018.7.27 HCMC 自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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