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「黒衣の刺客」 唐代安史の乱後の混乱を背景とした女剣士の物語

キネ旬ベスト10を見るシリーズです。今回は、2015年外国映画第5位の「黒衣の刺客」にしました。久しぶりに見るアジアの映画です。劇場公開時にも見ることを考えたこともありましたが、ちょっと優先順位が低かった。中国の史劇はあまり得意分野ではないので…。2015年台湾・中国・香港・フランス共同制作の、侯孝賢監督の映画で、カンヌでは監督賞を受賞しました。

あらすじ
唐代の中国が舞台。姉の道士・嘉信(許芳宜)の元に預けられ、刺客として修行を積んだ聶隠娘(舒淇)が、かつての許婚者であり、今は地方の権力者となった田季安(張震)を倒す任務を帯びて帰ってきた。しかし任務中、彼女は敵対する勢力から、出会った鏡磨きの青年(妻夫木聡)とともに、父の聶鋒(倪大宏)や田季安を助けることになる。そして、彼女に暗殺を命じた姉の道士と再び対峙することになるが…。



まずは、白黒の映像で隠娘の修行から、姉の嘉信に田季安を暗殺するよう命を受けるまでが描かれます。そして、節度使の田季安や、家族のいる魏博に戻ってきました。ここからカラー映像。

ある夜、田季安の館に何者かが忍びこみ、それが隠娘だと知った田季安は、暗殺の前に挨拶に来たのだと悟りました。かつて、朝廷から嫁いできて、田季安の養母となった嘉誠公主(許芳宜・二役)は、隠娘と田季安を婚約させましたが、田家と元家の同盟の必要性から破棄され、隠娘の身を守る為、嘉信に彼女を預けたのでした。ある日、隠娘の伯父田興(雷鎮語)が、朝廷寄りの発言をしたことで怒りを買い左遷されることになると、隠娘の父・聶鋒が護送を担当します。道中、元家が送りこんだ刺客たちに襲われますが、通りかかった鏡磨きの青年と、駆け付けた隠娘に助けられました。

隠娘はその後、仮面の女刺客・精精兒(周韻)に襲われ傷を負い、後を追ってきた鏡磨きの青年の治療を受けます。青年は日本から遣唐使としてやってきましたが、今は鏡磨きをしながら旅をしていました。田季安の館では、田季安の妾である瑚姫(謝欣穎)が、廊下で倒れ込み、そこに忍び入っていた隠娘は、呪術に苦しむ瑚姫を救います。彼女は、慌てて駆けつけた田季安に瑚姫の妊娠を告げ、田季安は正妻の田元氏(周韻・二役)が呪術師を雇い、瑚姫を苦しめようとしたのだと知ります。呪術師は射殺され、田季安は田元氏をも斬り捨てようとしますが、とっさに母をかばう息子を前にして思いとどまりました。

嘉信の元に帰った隠娘は、田季安暗殺の命令を遂行できなかったと話します。嘉信は暗殺者としての技術は完成しながらも情を捨てられなかったのだと叱り、隠娘と一戦を交えますが、隠娘の剣術の腕前はすでに嘉信と互角になっていました。隠娘は剣を収め、新羅へ向かう鏡磨きの青年と合流し、いつも変わらぬ山々の中、草原の彼方へと去っていきました。

黒衣の刺客

まずは、見てもなかなかストーリーが頭に入ってこないという映画でした。そこで、時代背景を確認すると、こんな感じです。
唐代の安史の乱の後、その根拠地であった河朔三鎮は、最終的に反乱軍の武将たちを節度使として登用しました。彼らは、中央政権の威を借りつつも、半ば独立国的な運営を行っていきます。朝廷との関係、北方を接する契丹との関係等、複雑な情勢の中で、周囲とのバランスを取りながら統治をおこなっているという状態でした。その河朔三鎮の一つが魏博で、渤海湾岸から黄河北岸の一帯。今でいう河北省東部に該当するエリアです。

そんな中でのストーリーなんですが、登場人物の多様性やメイクの関係もあり、一人二役もありで、それぞれを理解に至るまでがまた難しい。やはり、中国の史劇になれてないとこうなります。で、最後まで見てみれば、まぁ背景が判れば、話の筋はそれほど難しくはありませんでした。冒頭のさわりは白黒で、その後はカラー、回想シーンはワイドと使い分けられています。館の中は、ちょっと紗がかかったような映像もありますが、外の自然の中の風景はクリアでなかなか綺麗です。そして、物語は余計なセリフななく、映像で語るスタイルです。このあたり、通俗的な話をベースにした映像表現であれば、話を追う必要がないのでいいのですが、私はさすがにこのあたりの歴史は疎いのでなかなか見るのがつらいのです。2回目はきっといいと思います。

さて、感想ですが、まず隠娘は、孤高の女剣士という雰囲気で、なかなかかっこよく描かれています。また、鏡磨きの青年の回想としての、日本の映像がありましたが、これはちょっと違和感がありやはり不要では?日本向けのサービス映像かも知れませんが。また、後半に出てくる女性たちの舞踊は中東系の踊りを思わせますが、河朔三鎮の節度使は、基本突厥や契丹系のテュルク系が出自だったらしいので、その流れを引くものかと思いました。そういう事なので、物語を知っていれば、目は芸術面に向かう事ができ、映像やアートの雰囲気をじっくり味わうことが出来るのではないかと思います。一度さっと見て終わりにするには、なんとも解りづらい映画だと思いました。

2018.7.22 HCMC 自宅にて Huluからパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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