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「そこのみにて光輝く」 改めて自分の立ち位置を考えさせられる

比較的最近作のキネ旬ベストテン1位の作品です。その他アカデミー賞外国語映画賞部門出品、モントリオール世界映画祭最優秀監督賞などいくつかの賞に輝いたものです。心して見てみましょう。ところで、キネ旬ベストテン作品見ていない作品も多く、この機会にしばらく精力的に見て行こうかと思いました。2014年の映画で、監督は呉美保です。

あらすじ
事故をきっかけに仕事を辞め、ふらふらしていた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で拓児(菅田将暉)と知り合う。人懐っこい拓児は達夫を家に呼び、姉の千夏(池脇千鶴)がチャーハンを作って二人に食べさせる。拓児の家はかろうじて建っているようなバラックで、そこには寝たきりの父親(田村泰二郎)と、その世話をする母親(伊佐山ひろ子)も住んでいた。達夫と千夏はそれぞれの身の上を理解するうちに惹かれあっていくが、ある日千夏の不倫相手中島(高橋和也)とのトラブルが発生する…。



無為な生活を送る達夫のシーンからスタートしました。ある日、パチンコ屋でのライターの貸し借りから拓児と知り合い、早速拓児の家に誘われ、拓児の姉の千夏が作ってくれたチャーハンをご馳走になります。拓児の家は海辺の貧相な物で、脳梗塞になり性欲だけの人となった父と、介抱する母、そして拓児と姉の4人構成でした。そして、拓児は仮釈放中で、姉の不倫相手の植木屋で働かせてもらっているという状態でした。ある日酔って入ってスナックに入った達夫は、その店で売春している千夏と鉢合わせし、達夫は思わず侮辱的な言葉をぶつけてしまいます。

その後、達夫は千夏に謝り、関係を深めて行きますが、それと同時に千夏は不倫相手の中島と別れようとします。一方で、達夫は千夏に売春を止めるように説得します。中島は千夏をあきらめきれずストーカーのように付きまといますが、見るに見かねた達夫は中島に直談判し、同行した拓児は植木屋をクビになり、達夫は中島と喧嘩になりました。そんな中で、千夏と将来の約束を交わした達夫は、死亡事故の責任を感じ遠ざかっていた発破の仕事に戻る決意をし、拓児のたっての頼みで、仕事に一緒に連れていく事を決めました。

そして、祭りの当日、まだ、千夏をあきらめきれない中島は、千夏を半ば強引に連れ出し、騒ぐ千夏を殴り強姦してしまいます。それを知った拓児は祭りに参加している中島に会いに行き、挑発的な中島の発言に切れてしまい、包丁で中島を刺してしまいました。知らせを受けた達夫は拓児を探し、結局達夫の家まで来ていた拓児を伴って自首させます。再び拓児が逮捕されてしまって悲嘆にくれる千夏と母。そこに父の母を求める声がしました。千夏は母を外に出し父の寝床に入っていきます。無事拓児を自首させた達夫は千夏の家に向かい、異常を感じ父の部屋に飛び込むと、千夏が父の首を絞めている所でした。すんでのところでやめさせ、千夏は家の前の海岸に走り出します。追いかける達夫。そして向かい合った二人を朝日の輝かしい光が照らしていくのでした。

そこのみにて光輝く

どん底から抜け出そうと、もがき続ける託児の家族と達夫のストーリーでした。それぞれの境遇を割り切って生きているので、直接的な悲痛の叫びを上げるというものではありませんが、背負ったものの中で生きていくことの難しさが、静かに語られていきます。確かにそういう生活があるという事は頭では理解できますが、それを見ている自分の目線がどこにあるのか?ということを感じます。きっと上から目線でしか見られないでしょうね。だから、この映画を面白いと思ってしまっている。文芸的志向でみればみるほど、そう思えてしまいました。

それぞれの登場人物について考えても、あまりにも自然でありのままに描かれているような気がして、良い悪いを言っても仕方が無い様な気がします。ただ、そこに生活している人がいるというだけ、というような雰囲気を出してきています。そういう意味で立派に成功している作品と思いました。こういった作品が作られる時期や世相というものがあるのでしょうか?現象としては、自然主義の文学であったり、プロレタリア文学であったり、あるいは70年代のロマンポルノの一部の作品や、この作品が作られた時代。世の中の繁栄のピークを過ぎようとしている時代かもしれません。きっと、一億総中流と言われた時代には作られず、格差社会と言われる時代に作られる作品ではないかと思いました。

という訳で、文芸的要素や作家性といったものが強く押し出され、それが見事に成功した感じですので、キネ旬1位は頷けます。役者さんたちは皆さん好演。文句はありません。ラストは相当に決まっていて、光り輝いています。結果としてとても面白く、また記憶にも残る作品だと思いました。キネ旬ベストテンの作品、最近でも結構取りこぼしています。昨年は全滅状態でした。手ごろな作品を見ることが多いのですが、あえてそのあたりの作品を一つ一つ見ていくのもいいかなと思った次第です。しばらく、このテーマで走ろうかな…。

2018.7.6 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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